2018.11.26
Report 1/3

11月26日(イイフロの日)にホッとする、
私たちの銭湯の楽しみ方

講師:東京銭湯(日野祥太郎×木村衣里×のらくら)

11月講座では、若者層に銭湯の魅力を伝えるウェブメディア「東京銭湯 – TOKYO SENTO –」代表 日野祥太郎さんと編集長 木村衣里さん。そして銭湯とサウナ、交互浴をこよなく愛するアイドル のらくらさんの3名を講師にお迎え。「いい風呂の日」にちなんで、銭湯の魅力について、たっぷり教えていただきました。

交互浴で体のバイオリズムを整える

銭湯と聞いて、思い浮かべるイメージはありますか? 木造の番台におばあさんがいて、460円の利用料を支払うと、昔ながらの浴場が見えてくる。そんなノスタルジックな場所というイメージとは別に、近頃ではリニューアル銭湯やデザイナーズ銭湯と呼ばれる、スタイリッシュな銭湯も増えているそうです。

例えば、目黒区にある文化浴泉という銭湯には、浴場でジャズ音楽がかかっていたりします。とてもオシャレで、若い人もたくさん利用しているんですよ。(日野さん)

墨田区の御谷湯さんには、温泉も湧いています。水風呂も温泉と同じ性質の冷泉なので、460円という銭湯プライスで、温泉を楽しむこともできちゃうんですよ。(木村さん)

そんな銭湯では、どんな入浴スタイルがオススメなのでしょう。のらくらさんは、「交互浴」という浸かり方を教えてくれました。交互浴とは、お湯やサウナで体を温めることと、水風呂で体を冷やすことを繰り返す入浴法です。温めたり、冷やしたりを繰り返すことは、体にいい影響を及ぼしてくれるのだとか。

体には交感神経と副交感神経というのがあって、交互浴をすると、そのバイオリズムを整えることができます。この「整う」という言葉は、銭湯でのキーワード。屋外と室内の寒暖差を感じたり、風邪気味になったりすることも、体にとってはストレスなんですね。そのようなストレスを感じていて、崩れてしまった体のバイオリズムを整えることに、交互浴は効果があります。(のらくらさん)

交互浴の結果は個人の健康状態や体質などによって変化があるけれど、のらくらさん自身は冷え性が治ったり、発汗性がよくなったり、睡眠の質が上がったという実感があると言います。

デジタルデトックスで頭もスッキリ

また、銭湯の熱いお湯に浸かると、美肌効果があるとも言われているらしく、それはヒートショックプロテイン入浴法という浸かり方で実感していけるのだとか(出典[バスクリン「はぴばす 入浴と健康の情報ページ」])。ヒートショックプロテインというのは、傷んだ細胞を再生するタンパク質。それが熱いお湯で活性化することによって、美肌も望めるようなのです。

ヒートショックプロテインを意識した、温度と入浴時間の目安があります。40℃のお湯だったら20分の入浴。41℃なら15分。42℃なら10分といったように、温度の上昇と反比例して入浴時間は短く済むんです。(日野さん)

お三方とも、入浴時間は1時間を超えるそうで、木村さんに至っては、温泉施設に行った場合に2時間半も利用しているのだとか! 長く銭湯を利用するときには、必ず飲料水を持参することが大事。木村さんの場合は、500mlのペットボトルを2本用意して、体内の水分を全部入れ替えるような気持ちで入っているそうです。

また、銭湯を利用することで、入浴以外にもメリットがあるらしく、それは、スマートフォンを手放せて、デジタルデトックスの時間を味わうことができる、という意外な効能でした。

わたしのように編集を仕事にしていると、パソコンにばかり向かってしまいます。スマートフォンも手放せる時間が少ないですが、銭湯では浴場にスマートフォンを持ち込むことが禁止されている場合が多い。ある意味で、強制的にデジタルデトックスができます。そうすると、日々の悩みから自然と解放されて、例えば、「お母さんに連絡しないといけなかった!」といった、大事なことに思いをはせることにもつながるんですよね。(木村さん)

余白のある暮らし。自分の幸せって何だろう?

講義の後半では、参加者の方々から寄せられた質問に答えてもらいました。

Q.銭湯にはどんな服装で行くのがオススメですか?

わたしの場合は、入浴後にどすっぴんで帰ってしまうんですね。だから、キャップを持参するようにしています。(のらくらさん)

わたしの場合も、入浴した後にお化粧することはないので、マスクを持っていきます。のらくらちゃんが言ったように、キャップも持っていけたら完璧。キャップをかぶっていれば、外に出た後も変な臭いがついてしまう心配はなくて、シャンプーのいい香りに包まれながら睡眠に入ることもできますよ。(木村さん)

Q.銭湯の必須アイテムは?

最近はどこも、有料か無料でタオルがありますし、シャンプーとボディソープも共有のものが置いてあるので、基本的には手ぶらで入浴することができますね。(日野さん)

その上で、女性の場合は、メイク落としや洗顔料、入浴後の化粧水や乳液があるといいかもしれません。わたしの場合は、機会があるごとに試供品をもらっておいて、いつも携帯しています。(木村さん)

自宅で使っているシャンプーや化粧水などは、100円均一で売っている小さなボトルに詰めておいても携帯しやすいですよ。あと、タオルはスポーツタオルを2枚用意しておいたら、入浴中の用途にも、着替えの際に体を拭くことにも対応しやすいと思います。(のらくらさん)

最後に、CLASS ROOM恒例の質問にも答えてもらいました。みなさんにとって、「良い暮らし」とは何でしょう?

いろんな働き方ができる世の中ですから、自分の楽しいライフスタイルで過ごすのがいいように思いますね。(日野さん)

余白のある生活が、良い暮らしなんじゃないかなぁ。興味のあるイベントに出かけたり、たまには銭湯に行ってみたり、そういうことができるのも、余白があってのことだと思うんです。(木村さん)

自分にとって、何が幸せなことなのか。自分で知って、日常的にそうしていける生活が良い暮らしだと思います。日本人は特に、誰かのためにと考えすぎる傾向があるような気がして、でも、生きているのは自分自身なんだから、もう少し、自分の幸せを追い求めてみるような生き方をしてもいいですよね。(のらくらさん)

>>交流会の様子はこちら

東京銭湯(日野祥太郎×木村衣里×のらくら)

日野祥太郎
(「東京銭湯 - TOKYO SENTO - 」代表取締役番頭)

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2012年にデザイン会社スーパーポジションを設立。2015年に銭湯特化型のウェブメディア「東京銭湯 - TOKYO SENTO - 」(tokyosento.com)をローンチ。2016年に株式会社東京銭湯を立ち上げ、並行して同年4月に埼玉県川口市で銭湯「喜楽湯」の経営を開始。2017年9月からデザイン会社デスケル(dscl.jp)の取締役も兼任。

木村衣里
(「東京銭湯 - TOKYO SENTO - 」編集長)

2018年7月に独立し、フリーランスの編集者・ライターに。同時にWebメディア「東京銭湯 - TOKYO SENTO - 」の編集長に就任。フリーランスの編集・ライターのギルド的チーム「Huuuu」にも所属している。全国を飛び回りながらいろんなお風呂にはいるのが好き。

のらくら

福井県出身。年齢非公開。アイドルグループ「まじばんch」のメンバー。メガネがチャームポイントだが、視力は2.5。銭湯とサウナ、交互浴をこよなく愛する、自称「見た目は女だけど中身は上等なおじさん」。社会人経験を生かして編集や執筆活動にも挑戦中。

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