2016.1.27
Report 2/3
講師:芝崎信明(&Premium編集長)、野村由芽(CINRA.NET編集者)、青柳文子(モデル・女優)

青柳さんの3つのキーワード
〈細やかに感じること〉〈しがみつきたい〉〈自由なのに〉

最後は青柳さん、キーワードとして挙げていたのは、まさに詩的な言葉。「私だけ新年の抱負みたいになっちゃってるんですけど……」と言いつつ、映し出された最初のスライドには、寝転んで星を眺めている青柳さんの姿が。

近頃「丁寧な暮らしをしたい」という流れがありますが、上質なモノやスタイルって、そもそも経済状況や住んでいる環境によっては無理じゃない? って感じることもあって。じゃあ等身大で丁寧に生きるのはどういうことかっていうと、「今起きていること」を細やかに感じることなのかなと思うんです。たとえば、さっきの野村さんの手芸の話でも、頭だけで理解してわかった気になっちゃう。「これってあのことに近いな」って、自分の中で勝手にカテゴリーに分けてしまって。でも、それって丁寧じゃないから…………言っている意味、わかんないですよね(笑)。

星を眺めている写真は、青柳さんのいう「細やかに感じること」の具体例。ふだん当たり前のように眺めている日常的な風景を、ちゃんと時間をとって鑑賞する、そんなゆとりを持ちたいと考えているのだそうです。

さっきの話にも通じますが、大人になるとプライドが生まれて、人からの助言を素直に聞けなかったり、知らないことも知ったつもりで調べなかったりしてしまいますよね。「しがみつきたい」っていうのは、知ることをやめたくない、立ち止まりたくないということ。手の届かないところをずっと追い続けたいというか。

「私が言っていること、わかりますか?」と何度も確認しながら話をしてくれた青柳さん、最後のトピックは「自由なのに」。『0円ハウス』『独立国家のつくりかた』などの著書で知られる坂口恭平さんの「お金に依存するのではなくそこにある資源で創造する」という考え方が理想で、いつかは1ヶ月東京で仕事をして、1ヶ月は福岡でのんびり過ごす生活を送りたい、と話してくれました。

「あの人、何やってんの」って思われるかもしれませんが(笑)、そういう暮らしができる時代ですよね。私のような仕事だからできるというわけじゃなく、どんな人でも、お金の稼ぎ方を変えるとか工夫次第で自由になれるはず。「いや、無理だから」っていうのは考えることを放棄しているし、実践しようとしていないだけだと思うんです。

>>続いて後編はこちら

芝崎信明(&Premium編集長)

株式会社マガジンハウスが発行する雑誌『&Premium』編集長。『ポパイ』編集部、『ブルータス』編集部の副編集長を経て、2013年11月、編集長として上質なライフスタイルを提案する『&Premium』を創刊。2015年11月、andpremium.jpをスタートさせる。

野村由芽(CINRA.NET)

株式会社CINRAのエディター。広告会社に勤務後、音楽、アート、デザイン、映画、演劇情報などを伝えるウェブマガジン「CINRA.NET」編集部へ。主にカルチャーにまつわる記事の編集を担当しているほか、シティガイド「HereNow」では東京版のキュレーターとして、街のスポット紹介を行っている。

青柳文子(モデル・女優)

1987年生まれ。モデル、女優、企業商品プロデュースや執筆業など様々な分野で多彩な才能を発揮。2015年には、カルチャーマガジン『あお』(ムック本)を監修し、創刊。2016年1月9日より出演映画『知らない、ふたり』が新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

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