「最高のモデルは和菓子」

「最高のモデルは和菓子」

茶菓工房たろう / 村上太郎さん

和菓子って、いったい何だろう?14年間、進み続けた中でいつも自分の中にその疑問符が響いていました。
和菓子と洋菓子、そのボーダーラインはどこにあるんだろう。味だろうか、形だろうか、
大きさだろうか、パッケージだろうか?

「最高のモデルは和菓子」茶菓工房たろう / 村上太郎さん 01

その中で、辿り着いた垣根は「素材」でした。和菓子の代表的な素材は、餡と寒天。
そのふたつは、どちらも植物性由来のものです。動物性由来のものは、和菓子に寄り添わない。
茶道の文化が根付いている和菓子の街、金沢で今までなかった味わいを探す時、
その答えは洋の素材の中にありました。

それは目新しさを追いかけることではなく、これからの暮らしの中で喜ばれる和菓子を目指す旅でした。
お味噌汁と炊き立てのご飯で始まっていたわたしたちの朝は、焼きたてのトーストとバターに変わりました。
ライフスタイルの中で、洋の素材はもう日常になっています。

「最高のモデルは和菓子」茶菓工房たろう / 村上太郎さん 02

そんな日々の中、コンビニエンスストアのレジ横で、わたしは懐かしい顔に出会い、立ち尽くしました。
それは和菓子の原点のひとつである「ようかん」でした。レジ横にあるものは売れ筋商品に違いない。
だったら、和菓子はもう一度みんなに受け入れられるはずだ。

それはチョコレートやピーナツバターなど、新しいスタイルのようかんを考えるきっかけになりました。
単に素材が珍しいだけでなく、珈琲や紅茶にもなじむなめらかさや味わいの楽しさ。
新しいようかんは、新しい世代にも迎えられました。

「最高のモデルは和菓子」茶菓工房たろう / 村上太郎さん 03

お中元やお歳暮、結婚式の内祝いなど、日本本来のギフトだけでなく、日々の暮らしの中で大切な人に届けたいお土産として、菓子の形状やパッケージも一新しました。
それは自分自身が写真を撮リ始めたことで、ものの見え方や角度、映えるおいしさについて考えるようになったからだと思います。

「最高のモデルは和菓子」茶菓工房たろう / 村上太郎さん 04

でも、その後もみなさんに愛される和菓子を作ることができたのは、工房のスタッフたちの人間力。
人の手と、人の感性、その熱意の結晶です。子どもたちの世代とわたしたち、職人たちと若いお客さんたち、すべてを繫ぐことができる力がきっと和菓子にはあると信じています。

新しい店では、対面販売のショーケースをすべて無くしました。お客さんは自由に店の中を歩きながら、ギャラリーで1枚の絵を選ぶように和菓子と出会う。
新しい和菓子は、きっと新しいストーリーを運んでくれるはずです。

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