さっそくですが、長尾さんにとって自己投資されているモノ・コトとは?
長尾具体的にコレという特定のものはないのですが、感覚的にいいなと思ったことは、すぐに調べて、できるだけ行って、見て、触れて、体験するようにしています。例えば、クラシックバレエやダンスの鑑賞はむかしから好きなのですが、この夏もバレエダンサーの祭典といわれる「ガラ」の公演に行く予定です。映画なら、劇場に足を運ぶのが好き。できるだけ実体験として、リアリティを大切にしたいと思っています。それがわたしの仕事である、「Sister」のディレクションやバイイングに影響することもあります。
最近特にハマっているコトとは?
長尾昆虫ですね。NY留学中に昆虫の標本製作をしていた経験があることや、自然界の色や形にとても惹かれることもあって、もともと標本は好きなのですが、先日、収集家であり昆虫コレクターの方とお会いする機会あり、コレクションを拝見させていただきました。なかでも、生物においてひとつの個体の中に雄の特徴と雌の特徴を持つ、雌雄嵌合体の蝶々の標本は非常に美しくて惹き込まれてしまいました。標本づくりのワークショップにも参加してきました。これからますますハマりそうです。
長尾さんなりの“自分みがき”についてのアドバイスを教えてください。
長尾いまは、インターネットなど情報にあふれているので、自分にとってピンとくるものに出会うきっかけは多いと思います。知った気にならず、実際に調べたり足を運んでみたり、気になることを掘り下げてみてはどうでしょう。好きなお店でかかっている音楽だったり、映画のポスターのグラフィックデザイナーだったり、自分が知らない世界に一歩踏み込むことでさまざまな価値観や感覚に出会えると思います。
秋におすすめの映画は?
長尾“ヌーヴェルヴァーグの祖母“とも呼ばれる女性映画監督の先駆者であり、数々の賞を受賞している映画監督 アニエス・ヴァルダと写真家 JRの『顔たち、ところどころ』です。アニエス・ヴァルダの最新作というだけで、観る価値ありだと思います。残暑も落ち着き涼しくなってきたころ、家でゆっくり観るなら、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』かな。この秋、観たことがない監督や映画にぜひ触れてほしいです。
2008年Sisterオープンし、2018年に前社より独立、7月には渋谷区松濤に「Sister」をリニューアルオープン。国内外からセレクトしたデザイナーズブランド、ヴィンテージ、書籍などを展開。映画とコラボレーションしたグッズなども販売中。