ちょっとしたプレゼント用のカゴを持つ

これはお菓子のボックスです。シュークリームの生地をチョコレートでコーティングした、サクサクしたお菓子が入っています。大きな会社に持っていくお土産に悩んでいた頃に出会いました。陶芸家の鹿児島睦さんという人気の作家さんがデザインしたボックスで、これを持っていくと、会社の人たちで取り合いになってしまうくらい。

だから、このボックスは会社でお菓子入れとして使ってくださいねと伝えるようにしています。そこにあるお菓子なら、おやつタイムに自由に食べられるようにしてもらって。このボックスではないけれど、自宅にも贈り物用のカゴを置いていて。そこには旅先や美術館で可愛いと思った、1,000円以下ぐらいのものを買って溜めているんです。

手ぬぐいだったり、マスキングテープとか、誰かにあげることを想定しないでも、気に入ったものを買って入れておくと、仕事の打ち合わせで誰かに会うときにここからさっと持っていくことができます。簡単な贈り物なんですけど、そっと贈ると相手に喜ばれます。すごく役立っているんですよ。

物語をつくり添える

月に1回、友達同士で食事をするとき、そこで必ずちょっとした贈り物を差し出してくれる友達がいるんですね。その友達も買い物が好きだから、ちょっとしたものを会うたびにくれたんです。次第に交換会みたいになっていったから、すごく楽しい。ポストカードでもいいんですよ。贈り物って、値段じゃなくて気持ちでいいんです。

ちょっとしたものでも、自分がもらって嬉しかった経験ってあるじゃないですか。それだけ自分のことを想ってくれたんだなって。もしも気に入られなかったらどうしようか。不安になる方もいるかもしれませんよね。私の場合は、好きになってもらえるように、エピソードを添えています。そういう意味で、物語のあるお菓子は好きなんです。

でも、物語なら自分で生み出すこともできるんですよ。「鉢の木」のお菓子だったら、バンダナのデザインやお店の人の思いをお話しすることができますし。コンビニエンスストアで見つけた、ときめく形のソフトクリームなら、「こうやって写真をとったら可愛いんだよ」って話しながら、渡したり。あまり語りすぎてもいけないので、ほどよい加減で。

ありがとうの気持ちを示す

だから、まちを歩いていたり、旅先でも、食べ物でも、日々のすべてが贈り物の種になるんじゃないかと想って。「最近は器が好きになりました」って友達が話してくれたら、次に会うときにお皿を贈ってみたりする。人の会話も、よく聞くようになりました。何気ない会話で出た話題を覚えていても、すごく喜ばれるんです。

渋々ではなく、楽しくて贈り物をしているのが一番。自分が買い物をするのが楽しくて、その楽しみをおすそ分けしているようなものなんですね。だから、贈り物を楽しむことと見返りを求めないことは同じくらいに重要なことかもしれません。私自身も、いろいろな方からお土産をいただくんですが、すべてにお返しできているわけではありません。

そういうときに、ハガキや手紙でお礼状を渡すことは大事にしています。ありがとうございますと感謝の気持ちを示すことを大切にしていて。贈り物上手になるっていうことは、お礼上手になるということなのかもしれませんね。気持ちを贈ったり、お返ししたりすることを楽しめるようになると、暮らしも変わってきますよ。

私が好きな、甘く、かわいく、おいしい贈りもの

私が好きな、甘く、かわいく、おいしい贈りもの

講師:甲斐みのり(文筆家)

12月講座の講師は、旅や散歩、お菓子に手土産、クラシック建築やホテル、雑貨と暮らしなど、女性が好んだり憧れるモノやコトを主な題材に書籍や雑誌などで執筆している甲斐みのりさんです。『私が好きな、甘く、かわいく、おいしい贈りもの』と題し、贈りものが多くなる年末・年始に向けて、いろんなモノを見てきた甲斐さんならではの贈りものに対する考え方についてお話いただきます。

日時
2018年12月19日(水)19:30~21:30
会場
カフェパーク(恵比寿)
参加費
無料
定員
60名
※応募者多数の場合は抽選となります。
受付期間
2018年11月22日(木)〜12月9日(日)

甲斐みのり(文筆家)

1976年静岡県生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。旅や散歩、お菓子に手土産、クラシック建築やホテル、雑貨と暮らし。女性が好んだり憧れるモノやコトを主な題材に書籍や雑誌に執筆。