LUMINE MAGAZINE

SCROLL

LIFESTYLE

LUMINE AGRI PROJECT

人と人とをつなぐ「いいじ ISHIKAWA・NOTO in LUMINE AGRI MARCHE」

2024.09.30

ルミネの農業プロジェクト「LUMINE AGRI PROJECT」では、これまでに地域の方や生産者の方に出会える「LUMINE AGRI MARCHE」を開催してきました。
その特別企画として、2024年9月9日(月)〜16日(月・祝)にニュウマン新宿エキナカで行われたのが、令和6年能登半島地震で被害を受けた石川・能登の復興支援イベント「いいじ ISHIKAWA・NOTO in LUMINE AGRI MARCHE」です。
マルシェがスタートして2日目、ともにこの企画をつくりあげた金沢ターミナル開発の加藤ゆり子さんとルミネの加藤美穂に、企画の背景や大切にしたことについて聞きました。

左から、ルミネの加藤美穂と金沢ターミナル開発の加藤ゆり子さん。手に持っているのはマルシェで配布された「応援あんやとカード」。

熱い思いから生まれた共同企画

―まずは「いいじ ISHIKAWA・NOTO in LUMINE AGRI MARCHE」が生まれた経緯について教えてください。

加藤美穂:2024年1月1日の震災以降、石川県出身の弊社代表も常に現地の状況を気にかけており、私たちとしてもなにか少しでもお役に立てることができないかと社内で話していました。時機を見て、5月にLUMINE AGRI PROJECTのメンバーで石川県に行き、金沢駅の商業施設「金沢百番街」を運営している金沢ターミナル開発さんに、一緒にマルシェができないかとご相談したんです。みなさんとお話をするなかで、金沢百番街のテナントさま3ショップをご紹介していただけることになりました。


―最初に相談を受けたときの率直な印象はいかがでしたか?

加藤ゆり子さん:まず、石川県を支援したいという熱い思いを持ってお越しいただいたことがうれしかったです。さらに、単発の“物産展”で終わらせず、これから一緒に息の長い取り組みをしていきたいんだと言ってくださったことが印象的でした。私たちは日々、地元の企業さまやお店の方と関わっているので、商売という観点と、実際に被災された方たちの気持ちの温度感を踏まえて、すごく慎重になっていたところがありました。ルミネさんもそのあたりを気にして考えてくださっていて、それであれば、ぜひ一緒にやりたいですとお答えさせていただきました。

石川県七尾市にある能登ミルクの「のむヨーグルト」。

地元の人が本当に好きなものを取り揃えた

―商品のラインナップについて教えてください。

加藤美穂:金沢百番街の3ショップの商品をはじめ、これまでにLUMINE AGRI PROJECTを通してお付き合いのあるメーカーさんの商品など、石川県や能登の食品を取り揃えています。それから、千里浜にある道の駅「のと千里浜」や、震災の被害が大きかった七尾市の能登ミルクにも訪問させていただき、東京ではなかなかお目にかかれない商品を取り扱うことができました。ケーキやジェラート、プリン、ドーナツ、おせんべいといったお菓子や、お酒、おつまみなど、バラエティ豊かなラインナップになっています。


―金沢百番街からは、星付きレストランのシェフが作るチーズケーキ専門店「PiSO by respiración」、原材料のお米を自社で育てる農家のおやつブランドの「すゞめ」、糀の伝統の地、金沢大野の老舗「金沢・ヤマト醤油味噌」の商品が並んでいます。数あるお店のなかから、どのような視点で選ばれたのでしょうか?

加藤ゆり子さん:ルミネさんにご提案いただいた「女性がひとりで金沢に行きたくなる」というテーマに合うお店を、金沢百番街のお土産ゾーンにある約70店舗のなかから検討しました。そのなかで選定のポイントになったのは、“私たちが本当に好きなもの”ということです。

観光客の方がお土産として買うものと、地元の人がリピートして買っていくものは少し違ったりするので、自分たちのお気に入りで、かつみなさんに知っていただきたいお店を選びました。加えて、県外のお客さまが金沢から買って帰るにはちょっとハードルを感じるもの、たとえば冷蔵のケーキや、割れ物である瓶の商品などもあえて選定しています。


―特におすすめの商品はなんでしょうか?

加藤ゆり子さん:いち押しはPiSO by respiraciónさんのチーズケーキ「しあわせチーズ」です。ミシュランの星付きレストランが作っているバスクチーズケーキで、私も最初に食べたときは感動しました。金沢は和菓子のイメージが強いですし、長距離を持ち歩くのが少し不安なものではあるので、新宿駅で買えたらよろこんでいただけるのではないかと考えました。

加藤美穂:私はサカイダフルーツさんの「ずるいゼリー」でしょうか。通常はオンラインでの受注販売のみなので、実店舗に並ぶのは貴重な機会。東京での販売は初めてだと伺っています。
一般的なフルーツゼリーは加熱した果物を使うのですが、これは生の果物がそのまま入っています。消費期限が2日と短いので、店頭での販売は難しいそうなのですが、サカイダフルーツさんとお話しするなかでチャレンジしてみようということになりました。

金沢百番街に店舗を持つサカイダフルーツの「ずるいゼリー」。

手書きだからこそ伝わる。金沢と東京をつなぐメッセージカード

―店頭では、購入いただいた方に「応援あんやとカード」というカードが配布されています。これはどのようなものでしょうか。

加藤ゆり子さん:「あんやと」は金沢弁で「ありがとう」という意味です。見開きのカードの片面は、石川県への「招待状」のイメージで、マルシェで取り扱っている金沢百番街の3ショップのスタッフさんによる手書きメッセージが印字されています。もう一方は切り離して投函すると金沢百番街に届く「メッセージカード」の仕様になっています。

これは「東京と金沢で相互に“人”と“思い”が行き来するようなことができたら」と生まれた企画です。現地で誰かが待っていると感じてもらうことができれば、より行きたいと思ってもらえるのではないか。そのうえで、人の温かみが伝わるものをつくろうと思い、最終的に「招待状」と「メッセージカード」という形式になりました。

加藤美穂:このデジタルの時代に、スタッフさんたちが手書きでメッセージを書いてくださると聞き、感動してしまいました。東京の人からもメッセージを送れる、まさにお互いに心を通わせられるようなものになったと思います。実際に金沢に行ける方は、このカードを金沢百番街さんに持っていくといろいろな特典が受けられるようになっています。

加藤ゆり子さん:本当はメッセージを書いてくださったスタッフさんたちにも今回のマルシェに立ち会ってもらいたかったのですが、人手不足などの問題があり叶いませんでした。そのかわりにマルシェをご利用されるお客さまに向けて手書きのメッセージを書いてみませんか?とお声がけをさせていただいたところ、快諾してくださいました。

ショップスタッフからのメッセージのなかには、個人名が書いてあるものも。誰かとつながれる感覚をより強くしてくれる。

商品を買うだけではなく、次の行動のきっかけになれたら

―みなさんで企画を詰めていくうえで、どのようなことを大切にしましたか?

加藤ゆり子さん:人の温かみが伝わることと、石川県や金沢、能登に親近感を持ってもらうことです。
実は私は東京出身でして、石川県が好きでいまの会社に就職したんです。私と同じように、ゆかりはないけれど石川県や金沢、能登が好きな方は全国にたくさんいらっしゃると思いますし、そのなかには、被災地の支援をしたいと考えている方もいらっしゃると思います。でも実際には、現地に行って、ボランティアをしてというのはなかなかハードルが高い。今回のマルシェがそういう方々の気持ちの受け皿にもなれたらと、応援あんやとカードの企画を考えました。金沢百番街は商業施設であるとともに、広く人とつながれる存在でもあると思っています。

加藤美穂:本当にそうですよね。店頭に立っていたら、「能登に足を運んでみたいけど、現地の状況がわからない」というお客さまがいらっしゃり、「石川県のwebサイトなどでいまの状況が見られますよ」とご案内しました。商品を買って終わりではなく、次の行動につながる企画にしたかったので、そういうお客さまとお話しできてよかったです。

あんこを餅の生地で包んだかわいらしい「おだまき」は、能登名物の和菓子。

マルシェを通して人とつながり、足を運んでもらいたい

―企画を一緒につくるなかで印象に残っていることはありますか?

加藤ゆり子さん:やはり、ルミネのみなさんが石川県に心を寄せてくださったことに感動しました。企画を練ったり書面をつくったりしながら、ひとりで感極まってしまうこともありました。私たちも、商業施設としてなにができるか?をいつも考えていたので、タイアップのお声がけをいただいたことがまずうれしかったですし、継続性を大事にしたいというお気持ちも本当にありがたいと感じました。これからもご一緒できたらと思っています。

加藤美穂:ぜひよろしくお願いします。私も親戚が富山にいたり、石川県にルーツがあったりするので、より熱が入ったところがありました。
LUMINE AGRI MARCHEとしては、エキナカで開催したのも、復興支援という名目で取り組んだのも初めてだったので、大きな挑戦になりました。


―最後に、このイベントを通してどのようなことを伝えたいかを聞かせてください。

加藤美穂:現地に心を寄せていただき、金沢百番街に足を運んでいただきたいです。行けない方も、あんやとカードを通してぜひ気持ちを届けてほしいですね。

加藤ゆり子さん:震災以降、全国の方にご心配とご支援をいただいたことへの感謝をまず伝えたいです。能登半島に比べると金沢の被害は少なかったのですが、金沢百番街も能登から通勤している方や実家が能登にあるという方は多いので、震災後しばらくは本当につらく、暗い雰囲気が漂っていました。そうした時期を経て、いまは元気にやっています。石川県に来られる機会がございましたら、金沢百番街に遊びに来ていただき、さらに能登にもぜひ応援に行っていただければと思います。


===================
■関連記事
>> いつもの駅に旬の味がずらり。生産者を身近に感じるマルシェ

TOP