Special Interview自分みがきのススメ

Vol.03
NATURE
Takashi Kimura
木村貴史
木村貴史さん
plantica クリエイティブディレクター /
華道家 / フラワーアーティスト

さっそくですが、木村さんにとって自己投資されているモノ・コトとは?

木村母親が趣味で生け花を習っていたことから、家のさまざまな場所に生け花が置いてあり、自分も大学時代から自然に生け花を習い始めていました。そして、銀座にあった「JARDINS des FLEURS」という花屋でアルバイトを始めてからは、自分のスキルを向上させたい一心で、四六時中働いていた気がします。自分のなかで自己投資という概念を持っていたのかわかりませんが、スキルも身につき、お金も貯まり、20代後半に独立しフリーランスとして仕事をはじめることができたので、結果、よかったのかな。プライベートがないくらい、相当な時間を花に費やしてきました。いまでもそのスタイルはあまり変わらないかもしれません。

最近特にハマっているコトとは?

木村いまは、装花をメインに仕事をさせていただいていますが、テキスタイルや染色にも興味が湧いています。生地の上に生花やドライフラワーを直に置いて、蒸気で染色していくお花染めという染色技法があるのですが、水彩のように淡くカラフルな色合いがとてもきれいです。ワークショップがあるたびに参加して、コサージュやハンカチなどを作っています。

お花染めで染めた生地
お花染めで染めた生地

華道、生け花というと気構えてしまいがちですが、鑑賞するうえでのアドバイスがあれば教えてください。

木村本当は自由に感じるまま鑑賞してもらうのが一番よいと思ってはいるのですが、ポイントとして2、3つ挙げるとすれば、アシンメトリー(左右非対称)でもバランスが取れていること。作品の隅々に余白や空間が保たれていること。生け花を構成している花や枝の一本一本がまるで自然に生えているよう活き活き感じられること。秋は、たくさんの花が旬なので、ぜひ自宅でも楽しんでもらいたいです。枝に実が付いたナナカマドやツルウメモドキなど、秋らしい実モノは、花より長持ちするのでおすすめです。難しく考えすぎずに、空き瓶にさらっと枝を1、2本傾けて入れるだけで空間のインテリアになります。

木村さんが生けたダリア(花)とユーカリ(葉)の生け花
木村さんが生けたダリア(花)とユーカリ(葉)の生け花

Profile

約600年続く華道の伝統や美学を意識しつつ、次世代の新たな表現方法を追求し、表現の場をパブリックスペースに求めたり、花柄のファッションアイテムや花器「IKEBANA KIT」からフローラルバスオイル「kusakanmuri」を企画・制作したりなど、生け花の枠に捕われない自由な活動を行っている。