りんかい線「新木場」駅を出て、徒歩3分。とある倉庫の扉を開くと、アンティーク家具が出迎えてくれました。それがCASICAというお店です。2階は撮影スタジオとオフィスで、1階にカフェが併設され、来客を長く受け入れてくれる空間がひろがっています。10月講座の講師・引田舞さんが夫妻でこのお店のディレクションをしています。大型トラックを走らせ、月に2回は買い付けに出る引田さんに、モノ選びから広がる豊かな暮らしについて話してもらいます。

真っ新な気持ちで営むショップ

遡ると、私がラジオの構成作家をしていたときに、一緒にお仕事をさせていただいていた映像制作会社タノシナルさんから「映像制作会社だけど、自分たちの色になる何かを持ちたい」という相談をいただき、プロジェクトがスタートし、タノシナルさんとともに他にはないかたちをお互いに模索しました。

はじめはWebショップをつくって、そこにブログを書いてほしいという依頼でした。でも、私もWebショップで買い物はするけれどネットの世界は消費者の自分からすると飽和状態のように感じていたので、店舗の内装設計をしている夫も加わり、一点物を中心としたお客さんが体験する温度の高いお店を考えてみましょうと話してみたことが、CASICAをつくることになったきっかけです。

最初はや青山、中目黒や東東京なども候補にあがったのですが、どの街にもすでに色がついていて。東京という場所のなかで比較的大きな物件を借りやすいところ、木の経年変化を楽しむ古家具を扱ううえで木の街である新木場という土地に物語を感じました。そして、文化的なイメージが定着してなくて、何もないことが新しいことを始めるうえで強みになると思ったんです。新木場という土地と、現在の建物と出会うことで一気にコンセプトがクリアになり、CASICAはオープンしました。

好きが大前提なモノ選び

夫婦で買い付けからすべて仕事をともにしているので、「格好良いよね」「可愛いよね」って感覚がお互いに似てきちゃうことに危機感を持ってます。CASICAで提案するものに夫や私の個性や幅があったほうが、来た人が楽しめるお店になれるのかな。100人に1人が熱狂的に好きなものを選びたい。99人にウケようとして、お店がフラットになっちゃうと、つまらなくなるというか。

アンティークは本当に一期一会。ちょうど大物家具がドカッとなくなった時期なので、店内はこざっぱりしていますが、トランクが山積みになるときもあって、店内の什器もほとんど販売しているから売れるたびにレイアウト替えをするような感じです。よくある「NOT FOR SALE」みたいな物が嫌で。「あれが一番格好良いからほしくなるよね」ということは、スタートのときに夫とも話しました。

好きが変わっていくことを許してあげる

ディスプレイを不親切な感じにしたくて。レコードとかもそうですけど、掘り出す感覚というか。「見つけた!」みたいな嬉しさを、買い付けのときに私自身が感じているから、あえて物量を積んだり、分かりづらく並べたり、お客さんにも「これ何だろう?」というワクワク感を感じてもらえたら。引き出しの中に商品を入れていたりもするんですよ。宝探しのような感覚で買い物という行為自体を演出できたらと思っています。

ただ、CASICAらしさをがちがちに定義づけることはしたくなくて。それは、私たちの「好き」もときとともに変わっていくだろうし。知識にだけ引っ張られることは避けたいけれど、それでも知れば知るほど昔の家具の良さはわかってきました。例えば、ベニヤ板がまだ流通していない大正時代の家具は、引き出しの見えない部分にも一枚板の良い板が使われていたり。

オーダーメイドでお願いしたら40〜50万円かかるような家具でも、同じくらい当時の人が労力をかけてつくった家具で綺麗にメンテナンスして、かつ経年変化でいい味が出ている古家具を10〜20万円くらいで買えるということもあって。アンティークの世界を知ることでお買い物の選択肢が増えたらいいなと思います。

自分の価値観を磨くモノ選び

自分の価値観を磨くモノ選び

講師:引田舞(CIRCUSディレクター)

10月講座の講師は、新木場にあるショップやカフェ、ギャラリーなどの複合施設「CASICA(カシカ)」の内装やディスプレイ、古道具や古家具の買い付けまでトータルにディレクションするユニット「CIRCUS」の引田舞さんです。国内外問わず様々なところでの買い付けをしている引田さんに、モノ選びをするときに大切にしていることのお話をしていただきます。

日時
2019年10月23日(水)19:30~21:30
会場
カフェパーク(恵比寿)
参加費
無料
定員
60名
※応募者多数の場合は抽選となります。
受付期間
2019年9月19日(木)〜10月13日(日)
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引田舞(CIRCUSディレクター)

アパレルのプレスアシスタント、ラジオの構成作家などのキャリアを経て、現在は夫の鈴木善雄さんとともに、ショップの内装デザイン&ディレクションを行うユニット「CIRCUS」を主宰。新木場の複合スペース「CASICA」のディレクションなどを担当。