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CLASS ROOM

自然とともに生き、心軽やかに。東京から葉山に移り住んで得られた、暮らしの豊かさ

2022.06.29

ルミネが運営する暮らしをもっと楽しむためのカルチャースクール「CLASS ROOM」。さまざまなジャンルで活躍するゲストを招いてお話を伺い、ルミネマガジンとYouTubeルミネ公式チャンネルで配信しています。
2022年6月のゲストは、ギャラリーマネージャーの関田四季さん。かつて住んだ東京を離れ、海辺の街・葉山で暮らす関田さんに、自然を身近に感じる暮らしにシフトした理由や、暮らしを変えることで起きた変化などを聞きました。

>> インタビューを動画で見る:前編後編

関田さんの生活の一部となっている葉山の海とサーフィン

海の近くで暮らすため、東京から葉山へ

―関田さんが、葉山に移住したきっかけを教えてください。

結婚して子供が産まれた後も、リノベーションしながら東京の家で暮らしていたのですが、2人目が生まれるとなったとき、少し手狭になってきたんです。友人たちも葉山や鎌倉周辺に暮らしていましたし、夫婦でサーフィンをやっていたということもあって、海の近くの街での暮らしを考え始めました。実際に1年ほどいろいろな土地を見てまわり、子育て環境を踏まえて検討した結果、今の土地に引っ越すことになったんです。


―サーフィンがお好きということもあり、引っ越し先は海辺の街がマストだったのでしょうか?

そうですね。サーフィンをするから、山側よりは海の近くがいいよねというのは、夫婦の共通認識としてありました。海が近くにある伸び伸びとした環境で子育てしたかったという気持ちもあり、タイミングやご縁もあって最終的に葉山の丘の上に二階建ての一軒家を建てました。


―関田さんのご自宅は広々として開放的な印象ですが、住まいづくりのこだわりはどんなところですか?

もう多すぎるくらい、こだわりがいっぱいです。尊敬する建築家さんやインテリアデザイナーさんの家づくりを勉強してそれを生かしたり、自分たちの好きな色味や素材感を取り入れたり。

例えば、庭の緑が広がるこの大きな窓。これはキッチンやトイレでよく使われるジャロジーと呼ばれるものなのですが、もともと私がハワイのコンドミニアムで出会って大好きになったものなんです。お気に入りの照明も南向きのダイニングに取り付けて、気持ちのいい空間づくりを意識しました。この家を形成する1個1個がどれも愛おしく、こだわりのあるものばかりなんです。


―こだわりのあるものに囲まれて暮らすと、より生活が豊かになりそうですね。その一方で、自然に囲まれながらの暮らしは、住環境のお手入れも大変そうなイメージです。

海風が吹くので窓は汚れが目立つし、虫も多いし、台風が来たら水が漏れることもあります。だけど、それはもう仕方のないこと。自然の中に私たちが住ませわせていただいているので、そういうことに向き合いながら暮らしていくのは当然のことだと思っています。

自然との距離が縮まる海辺での暮らし

―東京から葉山に移り住んで感じる違いはありますか?

20代と30代の前半、忙しく働きながら東京で暮らしていましたが、遊びたいと思ったらすぐ電車やタクシーでその場まで行けるし、本当に便利な場所だったなと思います。葉山ではそういう暮らし方はできませんが、当時の私からしたらその便利さがちょうど良かったんだと思います。自然に囲まれゆっくりとした空気が漂う葉山の暮らしでは、若い私にはきっと物足りなかったはずです。

30代中盤で家族ができて葉山で暮らしてみたら、仕事がバリバリできて、自分の欲しいものやりたいことがすぐに叶えられる東京での暮らしとは違った、生活の豊かさに気づけたように思います。


―葉山での暮らしにおける豊かさとは?

葉山に移り住んで感じるのは、四季の表情の豊かさ。春なら新芽が出始めるし、季節によって日の入り時間も変わるし、食べられる野菜も旬ごとに違います。こうした季節の移ろいを感じられるのは、自然が豊かな土地だからこそ。そんな季節の変化を教えてくれ、生きるうえでの豊かさを感じさせてくれるのも自然なんです。東京の暮らしも豊かだったとは思いますが、自分が歳を重ねて自然の捉え方に変化が起きたから、その豊かさを享受できるのかなと感じています。


―自然との距離が縮まったことで、どんな時に喜びを感じますか?

サーフィンやトレッキング、スノーボードなど、自然の中で遊ばせてもらっているとき、開放感や豊かさを感じます。例えばサーフィンで波に乗ると、自然と一体化しているような、なんともいえない開放感、多幸感に包まれるんです。

あとは自然の中にテントサウナを設営して利用することもあるのですが、そこで使う薪に火をつけて焚いたりと、自然の力を借りることが多いんです。私たちの暮らしには自然の力が必要なんだと気付かされます。自然との距離が近づいたからこそ、そういう恩恵にリスペクトしながら、自然と共存する喜びを噛み締めて生きていきたいと思います。


―自然との関わり方も変わったんですね。

午前中にサーフィンをしに海にささっと行って、暑くなる前に帰ってきて、またハイキングに出かけたりと、自然は生活の一部になりました。とくに海との関わり方はより密になったような気がします。当初は海を怖がっていた子供たちも身構えずに遊べるようになったし、ゴミが落ちていたら拾って持ち帰るようになりました。より身近な存在になったからこそ、もっと大切にしていきたいと思うようになりました。

川&サウナも、自然との距離が近いからこそのお楽しみ

こだわりを手放し、肩の力を抜いて生きていく

―自然を楽しんでいる関田さんおすすめの夏の過ごし方はありますか?

海!とお伝えしたいところなのですが、夏の海ってめちゃくちゃ暑いんですよね(笑)。だから、この夏のおすすめは、川とサウナをキャンプ場で楽しむこと。昨年実際に、川の近くでテントサウナを設営し、サウナに入った後の水風呂を川で楽しんでみたところ、それが最高に幸せでした。だから、この夏は海もいいですが、川遊びがとくにおすすめです。


―そうした自然での遊びは誰かと一緒に楽しむのもよさそうですね。

ご近所の友人家族と庭でバーベキューをしたり、伊豆まで足を伸ばして川遊びしたり。涼しくなってきたら、近くの海に行ってサーフィンしたり、ビーチの貝殻を拾ったりと、自然を介して仲間たちと交流するのは楽しいと思いますよ。「自然に遊んでもらっている」という共通認識があれば、もっと一緒に自然を楽しめてお互いの距離も縮まりますしね。


―子育てをしながら、どのように自然を楽しむ時間をつくっていますか?

私の場合は、サーフィンが好きなママたちと一緒に海に行きますね。子供の面倒を順番に見つつ、波に乗りにいくという感じです。そうやって友達ぐるみで子育てしていくスタイルにしています。

家事や育児、仕事などに行き詰まったとき、海に行くとなんだか心がすっと軽くなって、浄化されるような気がするんです。自然の力を借りて元気な自分に戻っていく。こうして自然を遊び尽くしたほうが、忙しい日々も乗り越えられると思うんです。

庭でのバーベキューは子育ても遊びも共有しあえる仲間たちと

―関田さんのように、自然の中の遊び上手になるコツはあるんでしょうか?

上手な人に教わるのが一番だと思います。サーファーの友達にサーフィンを習うのもいいんですが、教えているうちにどうしてもその人たちは教えることそっちのけで自分で波に乗りたくなって海に出て行っちゃうので(笑)。サーフショップの人に聞くなど、プロに教わるのが会得のコツです。

そうしてサーフィンを習得したら、もっといい波に乗リたくなるので、天気や気候、地形の知識まで身につくんです。サーフィンをきっかけに、どんどん自然と仲良くなっていきます。そこが自然を遊ぶおもしろみでもありますね。


―最後に、関田さんにとってのよい暮らしとは?

よく食べ、よく眠って、よく遊ぶ。この健康的な暮らしをベースにしつつも、インプットとアウトプットのバランスを保ち、少しこだわりを持って生きることだと思います。

自然の中に身を置いて何かをインプットし、そのアウトプットもしっかりどこかで行う。そこに、好きな家具やお客さんに出すお茶など、少しのこだわりを加えることで、生活がより楽しくなっていくんです。執拗にこだわりすぎず、手放せるものは手放す。こうして肩の力を抜いていければ、心軽やかに生きていけると感じています。

関田四季さんおすすめの、暮らしをもっと楽しくしてくれる一冊

『Modern Originals: At Home with MidCentury European Designers』著:Leslie Williamson(Rizzoli)

「ヨーロッパのミッドセンチュリーデザイナーによる革新的な住宅を収録した写真集。
家を建てる時や家具を購入する際に参考にしていた写真集です。家の作りや、インテリア、建具の細部まで見れば見るほどワクワクして想像を膨らませていました。
アイノ&アルヴァ・アアルトのヘルシンキ邸、フィン・ユールの北欧農家など、彼らが暮らしていた当時の空間を垣間見れる本です。」

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<プロフィール>

関田四季(ギャラリーマネージャー)
千葉県生まれ。東京・青山にある『イートミーギャラリー』のマネージャーを務める。『固形洗剤ミスターQストア』代表。趣味のサーフィンを楽しむため、約6年前から神奈川・葉山に家族と暮らす。


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