LUMINE MAGAZINE

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ART

 好きな色を持ち寄って、明日をもっとにぎやかに。

個性豊かでカラフルな世界を楽しみたくなる新年の幕開け

2022.12.26

それぞれの個性を受け入れ違いを楽しめば、世界はもっとおもしろくなる。「Being Unique 世界に一人しかいない、わたし」をテーマに、正解のない時代をポジティブに前進してきた2022年。

2023年にかけての年末年始、ルミネ・ニュウマン各館を飾るビジュアルは、イラストレーターのいとう瞳さんによるもの。いとうさんの普段の作品制作や、カラフルで華やかなムードも漂う今回のビジュアルに込めた想いを聞きました。

みんなが持ち寄ったたくさんの色で、世界はできている

—いとうさんは普段の制作でも色使いが特徴的なイラストを描かれていますが、作品に共通するテーマなどはありますか?

基本的に色合いは明るめのものが多いのですが、カラフルな中に、黒やちょっと渋めの色などを入れることが多いです。暗い色を入れると逆に明るい色がきれいに見えたりして、色の印象が変化するようなところが好きなんです。作品全体も、全てがポップで明るい方向ではなく、その中に何パーセントか不思議な感じやダークな雰囲気が入っていたりします。


—今回の年末年始ビジュアルのテーマについて、どのように捉えてどう解釈を深めていったのでしょうか?

まず、ルミネやニュウマンのお客さまのイメージとして、年齢や生活のスタイルが違ったり、肌の色も様々な人たちという前提がありました。それが「みんなそれぞれ違う色を持っている」ということなのですが、もともと私も、色で人のイメージを捉えていたということがあり、自分のホームページや個展のタイトルに「COLOR PARTY」という言葉を使っています。例えば、隣に人がいたら、相手の色によって自分の色の印象が変わってくることがあると思うんです。引き立て合うような色や馴染む色もあれば、混ぜると黒くなる色もあるし、色んな人がいるというのは、そういう様々な色が集っているようなイメージでした。なので、今回のお題をいただいたときも、みんなそれぞれに色を持っているというテーマはスムーズに捉えることができたんです。そこに私自身のテーマでもあった、違う色の人との関わりで自分の色の見え方も違って見えるという表現も、こっそり含ませてもいいんじゃないかなと。それで、隣り合っている人同士の色を絡ませるようなことはしたいなと思っていました。

カラフルな世界観とちょっと不思議な雰囲気を併せ持ついとうさんの作品

Being Uniqueな風景をそのままに

—実際の制作のプロセスでは、スムーズにアイディアが出てきたでのしょうか?

制作にあたっては、まず新宿駅やルミネ・ニュウマンの店内の感じをイメージしました。それから、外のコンコースや上から線路が見える通路。コーヒーを買ってちょっと座るのにいいんですよね。ルミネもニュウマンもお店が幅広くて、様々な年齢層のお客さまがいます。上品で洗練されたものも多く、一人でも入りやすい。そして飲食店やパン屋さんもある。そんなふうに新宿のあの辺りをイメージして、最初に出てきたのがセンターでお茶をしている女の人でした。こんな風に一人で座っている人がいてもいい場所だなと。そこからどう広げていこうか試行錯誤しましたが、ルミネとニュウマンなので、ファッションを楽しんでいる人と、メイクしている人。みんなそれぞれの顔の色で自分のことをしています。この3人の人物を描いて、それをどうやって一つの絵に合わせていくかということをしばらく考えていました。ファッションのところには、お洋服を合わせているイメージで鏡を描きましたが、自分がもう一人いるという感覚でも面白いかなと思います。


—新宿のリアルな風景や、ルミネやニュウマンで実際に起こっていることを絵として立ち上げていくと、まさに「Being Unique」というテーマにぴったり当てはまっていったということですね。

駅ではたくさんの人に紛れてしまうような、ほんの一瞬すれ違うだけの人も、実際には仕事や生活の環境がそれぞれにあって、誰もが大勢の中の一人ではなく、一人ひとりが主役でその人の色があるんだろうなと。ニュースになるような人も、実は背景には人には見えない物語があったり、特に目立たないシンプルなファッションでも、人によってはものすごくこだわりを持って服を合わせていたり、ということもありますよね。今回のビジュアルに登場する人物たちも、ファッションやメイクやお茶というささやかな行動かもしれないけれど、それぞれに背景があり、本人にとっては1日の中の大切な楽しみや癒しの時間かもしれません。そんなことを考えながら制作していました。

色面を意識しながら描き上げるいとうさんのラフ画

遊び心と新年の祝祭感を

—着色前の線画だとまた全然印象が違いますが、よく見るといとうさんの様々な遊び心が見えてくるようです。

ラフは、私自身が木版画をやっていたこともあって、色面のスペース確認の意味合いも大きいんです。木版画は、色別で版をつくり、版が重なったときに全体のフォルムが見えてくるというつくり方なので、色面を囲っているような線画の描き方になっています。

完成したビジュアルを見ると、パッと見で人がいるというのは認識できるかなと思います。あと、お正月といえばということで、「一富士二鷹三茄子」や干支のウサギを、全体の世界観に馴染ませるように入れました。歩きながらこのビジュアルが視界に入ってきて、ちょっとだけ立ち止まるとこの“お正月感”を見つけられる、もう少し見ていると絵の要素がどんどん見えてくる、というのも楽しいかなと思います。


—ご自身の作品に背景のゴールドやコピーが入り、完成したビジュアルを見たご感想はいかがですか?

原画を描いている段階では、ここに背景やコピーが融合するという前提で描いているので、出来上がったビジュアルを見ると一安心というか、「ああ、落ち着いた」と感じています。

背景のゴールドは原画では表現できない、印刷ならではの面白さですね。ちょっと“和”な感じもしますし、華やかでお正月感も出て新鮮です。グラデーションの入り方や周りとのコントラストが強調される黒の使い方は、日本では浮世絵など昔からデザインに取り入れられていましたし、特に美術に興味のない人でも和を感じるようなビジュアルになったと思います。

着色し、鮮やかな世界観が広がる原画

街の一部として、ポジティブな記憶となる作品を

—今回はニュウマン新宿のアートウォールにも作品を展示されますね。

アートウォールについては、街中に溶け込むビジュアルとして、一つひとつに意味を込めるというよりも、もう少しライトな感覚で描いています。たまたまパッと目に入ったビジュアルが、何かしらポジティブなものとして意識に残ってもらえたら、と思っています。今回のキービジュアルでも普段の制作でも割とそうなのですが、私は人物を描くときに目などの感情を投影するパーツを描かないことが多いんです。顔の表情は割と作品全体の印象を方向づけてしまうので、登場人物の感情は見る人に委ねて、見る人によって印象が変わるといいなと思っています。
いとうさんが捉えたルミネやニュウマンの“今”を映した年末年始のキービジュアル。カラフルな世界を楽しみ、それぞれの違いを味わいながら、新たな一年をスタートさせてみませんか。

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<プロフィール>

いとう瞳(イラストレーター)
1973年千葉県生まれ。武蔵野美術大学油絵学科版画コース卒業。
PALETTE CLUB SCHOOLを経て2000年頃よりイラストレーターとして、主に広告や書籍装画などで活動中。
現在エージェント・ルモンド所属 / TIS(東京イラストレーターズ ソサエティ)会員。
作品はアクリルガッシュによる手描き制作が中心。色が醸し出す独特な景色や空間をテーマにすることが多く、個展、企画展等で作品発表を続けている。

http://www.hitomiitoh.com
https://www.instagram.com/color_party_itoh/

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