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肩肘張らずにアートを楽しむ。表参道のギャラリーさんぽ

2023.10.24

2023年11月4日・5日、ニュウマン新宿5Fのルミネゼロでアートフェア「LUMINE ART FAIR –My 1_st Collection Vol.2–」が開催されます。日常に取り入れやすく、部屋に飾りやすいサイズ・雰囲気・価格の作品を揃えるなど、これまでアートを購入したことがない人も参加できるようさまざまな工夫がされています。

アートフェアのほかにも、気軽にアートに触れられる場所として「ギャラリー」があります。ギャラリーには「展示室がコンパクト」「在廊しているスタッフと会話できる」「入場料が無料」というところが多く、カジュアルにアートが楽しめるのです。さらに、アート作品が購入できることも大きな特徴のひとつ。そこで今回は、多くのギャラリーが点在する街、表参道にある3つのギャラリーを巡ってみました。今度の休日、アートさんぽに出かけてみませんか?

NUMEN/FOR USE Exhibition “TAPE TOKYO” Photo: Junpei Kato Courtesy of SPIRAL / Wacoal Art Center

カフェやショップと共存。ビルごと楽しめる「スパイラルガーデン」

まず訪れたのは、複合文化施設である「SPIRAL(スパイラル)」。「生活とアートの融合」をテーマに、館内にはギャラリー、カフェ、多目的ホール、レストラン、生活雑貨のショップ、ネイルサロンなどのスペースが共存しています。
その1階にあるのがギャラリー「スパイラルガーデン」です。エントランスから2階へと続く大階段と、スパイラル(螺旋)状のスロープが設置されたアトリウム(吹き抜け)からなる空間で、主に現代のビジュアルアートやデザイン、ファッション、パフォーミングアーツ、映像、さらにはそれらを横断するクリエイションなど、多ジャンルの展示が行われています。

スパイラルガーデンが展示やイベントを企画するうえで常に意識しているのは「スパイラルガーデンで、今しかできない企画であること」。ホワイトキューブではない特徴的な建築、アート好きな人だけではなくいろいろな人が訪れる開かれた空間、青山という街のカラーや歴史、そして今その作家や作品を紹介する意義、あるいは、その企画を行う意義などを、みんなで考えながら企画をしているのだそうです。

螺旋階段を歩きながら、カフェでお茶をしながらと、自由にさまざまな角度から作品を見ることができるスパイラルガーデン。スタッフの方に「静かでなければならない環境でもないので、おふたり以上で来られて、話しながら鑑賞するのも作品への理解が深まってよいかと思います」と教えてもらいました。

ひとりで訪れるときは、大階段にある青山通りを向いたイスに座って、作品についてゆっくり考えるのもおすすめ。自然光がたくさん入り、昼と夜とで作品の表情が異なるのもポイントです。時間の過ごし方も、アートとの触れ合い方も自由自在。何度も訪れたくなる、お気に入りの場所になりそうです。

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スパイラルガーデン
11:00〜20:00
不定休
東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F
https://www.spiral.co.jp/

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◼️次回展示
「Spiral Xmas Market 2023」
クリエイターが手がけたアイテムと、多彩なアート作品を展示販売。会期は3期にわたり、PART1とPART2ではクリエイターによる生活雑貨やファッションアイテムなど、クリスマスギフトにもぴったりの品々をブース形式で紹介。PART3では、今注目の若手アーティストを中心としたアート作品が一堂に会します。

PART1:12/8(金)〜12(火)、PART2:12/14(木)〜17(日)、PART3:12/21(木)〜25(月)
*12/8(金)のみ17:00〜20:00

アパレルショップに併設された「アニエスベー ギャラリー ブティック」

フランス・パリ発のアパレルブランド アニエス・ベーは、さまざまなアーティストのサポートをしたり、作品をコレクションしてきたことで知られています。今回訪れた「アニエスベー青山店」2階にある「アニエスベー ギャラリー ブティック」は、ニューヨークと香港に続き、同ブランドがフランス国外で運営する3つ目のギャラリー。映画や音楽といったカルチャーとアートをミックスした展示をはじめ、ブランドの創始者であるアニエス・トゥルブレが愛するアート、特に写真やグラフィティのアーティストたちの展示も行われています。

もともとはプレスルームだったという空間は、部屋の全景が見渡せない形をしていたり、小部屋があったり、存在感のある大きな柱が立っていたりと、いわゆる“ホワイトキューブ”とはまったく違う造り。一見使いづらいように感じますが、そのことが反対にアーティストの創作意欲を刺激するのだそうです。既存の作品を展示するよりも空間にあわせて新作がつくられることが多く、まさにここでしかできないアート体験をすることができます。

展示室の一角にはブックコーナーも設けられ、アニエス・トゥルブレと関わりのあるアーティストなどのアートブックが揃っています。アート作品を買うのは少しハードルが高いと感じている人は、まずはアートブックを購入してみるのもおすすめ。実際に、階下を訪れた人が階上のギャラリーを見つけて立ち寄り、そこではじめてアートブックを手にするケースもあるのだそうです。

「アートは限られた人たちだけの嗜好ではなく、すべての人の日常生活のなかに存在しているもの」と考えるアニエスベー。だからこそ「ギャラリースタッフに気軽に話しかけてください。展覧会概要だけでは伝えきれないことや、作品の制作秘話をスタッフから聞くことができます。お話をしたあと、もう一度展示をじっくり見直すお客さまもたくさんいます」とスタッフの方は話します。カジュアルな雰囲気のなかで、アートとの偶然の出会いを楽しんでみてください。

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アニエスベー ギャラリー ブティック
12:00〜20:00
月曜休廊
東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山 アニエスべー青山店2F
https://tinyurl.com/25nr4nsm

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◼️次回展示
「盛 圭太『眠たい名前』」
パリ在住のアーティスト、盛圭太は、線の起源を糸とする仮説から、糸によるドローイングシリーズ: Bug report を展開してきました。糸のドローイングには建築設計図のように緻密で幾何学的な形状が現われます。本展では、ギャラリーの空間に合わせた新作インスタレーションを披露。購入可能な同シリーズの既存作品とあわせて展示されます。

開催中〜11/5(日)

アート初心者も安心。対話を楽しめる「hpgrp GALLERY TOKYO」

最後に訪れたのは、ファッション雑貨や家具などを販売しているアッシュ・ペー・フランスが運営する「hpgrp GALLERY TOKYO」。1カ月に1企画のペースで開かれている展覧会では、ペインティング、彫刻、インスタレーションなどのジャンルを問わず、独自の世界をつくり出している若手アーティストの作品を中心に紹介しています。

飲食店が連なる地下階にあるので、食事の前後に立ち寄るのにもぴったり。実際にそのようにして訪れる人も多く、時には小さなお子さんがギャラリーとは知らずに入ってくるという、かわいらしいアクシデントもあるそう。大きなガラス窓から中を覗くことができ、開かれた雰囲気だからこそ起こることかもしれません。

ポリシーは、「『ギャラリー』という敷居は低く、『アート』の質は高く、ファッションや音楽を楽しむようにアートに触れてもらえる機会を提供すること」。まず入りやすい空間にすることはもちろん、お客さまとの対話も大事にしているそうです。アーティストが作品に込めた想いや人となり、制作のエピソードなどを聞くことができ、アートの知識がなくても大丈夫。はじめて訪れた人にもわかりやすく解説してくれます。

スタッフの方にアートの味わい方を尋ねると、「作品を『感じるままに見ればいい』というのは意外と難しいと思います。どのように見ていいかわからない場合は『答え』ではなく、『なにを問いかけているのか』を考えてみると見やすいと思います」と鑑賞のヒントをもらいました。一見難解に感じるアートも、わたしたちと同じ現代を生きる作者に思いを馳せてみることで新しい発見がありそうです。

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hpgrp GALLERY TOKYO
12:00〜19:00
日・月・火曜定休
東京都港区南青山5丁目7−17 小原流会館B1F
https://hpgrpgallery.com/

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◼️次回展示
「OTHERWISE INVISIBLE: LANGUAGE OF THE BIRDS Julie Wolfe」
アメリカ、ワシントンDCを拠点に活動するアーティスト、ジュリー・ウルフの個展。ウルフ氏の作品は、私たちの周りの世界をより深く理解するために収集された多くのイメージやデータに基づいており、人間の知覚や内面世界の本質的な側面を明らかにしようと制作されています。本展は4つの異なるシリーズで構成。それぞれがアイデンティティ、芸術の非現実性、夢、非現実的な空間という要素を軸としています。

開催中〜11/18(土)
*11/3(金・祝)・4(土)は臨時休廊


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LUMINE ART FAIR -My 1_st Collection Vol.2-
生活に、気軽にアートを取り入れたい。そんな想いをかなえるLUMINE ART FAIRが4年ぶりに開催されます。会場に並ぶのは、いま注目されている国内外のアーティスト約30名の作品。自宅やオフィスなどに飾りやすいサイズや、手に取りやすい価格帯のものを多く取り揃えます。アートコンシェルジュが飾り方や保管方法などをアドバイスしてくれるので、はじめての方も安心。アートとともに暮らす、はじめの一歩を応援します。

開催日:
2023年11月4日(土)11:00~19:00
    11月5日(日)11:00~17:00
   ※11月3日(金・祝)18:00~20:00はご招待制のプレビュー

会場:
ルミネゼロ(ニュウマン新宿5F)

>> 特設サイトはこちら



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