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いつか旅するときのために。オンラインで出会った、佐渡島の人と特別な景色

2020.10.28

魅力あふれる日本の地域とのステキな出会いをつなぐプロジェクト、旅ルミネ。2020年9月6日(日)、その一環として開催された「おうち旅ルミネ meets 佐渡島」に参加しました。

それは、実際に訪れる前にする“旅じたくのための旅”。全国からオンライン上に集まった旅仲間とリモートで佐渡島を巡り、島の人たちのお話を聞いたり、おしゃべりしたりする新しいスタイルの旅の第1弾です。

開催2日前、自宅に「旅じたくボックス」が届きました。中に入っていたのは、想像をかき立てられる「旅のかけら」と、中身が見えないようにパッキングされ、SADOGASHIMA#01-08と書かれた8つの秘密のアイテム。なにやら旅のしおりには「これらの品は当日お楽しみいただくものです」とあります。

そうしてワクワクしながら迎えた当日。そこには、たくさんの出会いと初めての体験が待っていました。いつもとは少し違う、日曜日の1日をリポートします。

事前に自宅に届いた旅のかけら(左)と秘密のアイテム(右)。

13:20 佐渡島の素材を使ったおにぎりで腹ごしらえ

いよいよ迎えた当日。まずは旅のしおりに従って、旅じたくボックスに入っていた佐渡島のお米とお水でごはんを炊き、パソコンの前にスタンバイします。

Zoomの画面にフェリーの映像が流れるなか、参加者たちが続々とログインしてくる様子に、期待と少しの緊張でソワソワ。全国から49名が集まり、旅がスタートしました。

まず登場したのは、米農家の相田さんご夫婦です。島の自然や文化を紹介してくれたあと、炊いておいたごはんを用意し、みんなでおにぎりを作ります。
参加者たちも各々の自宅で一緒に調理します。相田さんの呼びかけに従って秘密のアイテムを開けてみると、その中身はぬかサバや花塩など佐渡島のとっておきの素材でした。それらを使って作ったおにぎりは、まさに美味! みんなでおいしくいただいたら、旅の一体感が一気に生まれました。

さらに、海藻加工食品の店、早助屋を営む山内さんが登場し、“佐渡のソウルフード”といういごねりもいただきました。こちらも秘密のアイテムのひとつで、島の豊かな海を体感することができました。

山内さん(左)と相田さんご夫婦(右)が、島の南西、真野湾に面して建つ「on the 美一」のキッチンから中継。

14:30 佐渡島をぶらぶら巡る:その1

ここからは、島を巡るぶらぶらタイム。出会える島の人たちは、シーカヤックのアクティビティを行っているサンフロンティア佐渡の土屋さん、古民家宿「カラふる」のコンシェルジュとして旅人を迎えている武藤住職、佐渡島の伝統芸能である鬼太鼓のメンバー、佐渡無形文化財の無名異焼の窯元、北沢窯を営む其田さんです。
私たちは4グループに分かれて、みなさんの仕事場や工房を順番に訪れました。

それぞれの営みを通して、島の文化や風土について教えてくれる島の人たち。自由に会話でき、島の自然について詳しく聞いたり、「今の仕事に就こうと思ったきっかけはなんですか?」などパーソナルな問いかけにもフランクに答えてくれます。

其田さんの工房を訪れた際には、「以前佐渡に行ったとき、北沢窯の湯のみを買ったんです。使い込んでこんなに味わいが出てきました」という参加者も。参加者の多くがビデオをオンにしていたので、まさにみんなでワイワイ、にぎやかにおしゃべりを楽しみました。

島を巡るなかでは、旅のかけらの正体も明かされます。
たとえば素朴な貝がらは、サンフロンティア佐渡の土屋さんから贈られたもの。海岸で一つひとつ拾い集め、参加者ごとに異なる種類を選んでくれたそうです。参加者たちは各々の貝がらをパソコンのカメラに近づけて見せ合いながら、その名前や生態について語る土屋さんのお話に耳を傾けました。


15:50 佐渡島をぶらぶら巡る:その2

しばしの休憩を挟み、さらに島を巡ります。
次に登場したのは、塩工房 佐渡風塩釜の佐々木さん、佐渡名産のおけさ柿を生産しているfarmerおおばの大場さん、姫津漁協で働くお母さんたち、佐渡島へ移住してぶどう農家を始めるとともに、ワインを嗜める宿「Andante 葡萄農家の宿」を営んでいる下川さんご夫婦です。

佐渡島伝統の塩作りを守り続けている佐々木さんは、3種類の塩を紹介してくれました。最初のおにぎり作りで使った塩は、そのなかのひとつである「おけさ花塩」だったことも明かされます。佐渡弁のゆったりとした口調でそれぞれの塩の特徴を語り、参加者の質問に答えるかたちで、料理でのおすすめの使い方や、塩作りの極意も教えてくれました。

漁協のお母さんたちは、塩辛作りの真っ最中。作業をしながら、島のイカは刺身で食べるのがいちばんであること、島に嫁いできて50年以上漁協で働いていることなどを話してくれました。旅のかけらとして届けてくれたイカ釣りの道具の部品を手に取りながら、佐渡島の海の幸を知り尽くすお母さんたちが作った塩辛は絶品なんだろうな……と考えたのは、きっと私だけではないはずです。

旅のかけらを手に、島の人たちのもとを巡りました。登場した方はもちろん、現地のクルーはすべて島に暮らす人たちです。

17:10 みんなで乾杯! かつて学び舎だった酒造へ

グループでの島巡りを終え、再び合流して「学校蔵」へ。ここは、廃校になってしまった小学校を、佐渡島の酒蔵、尾畑酒造が仕込み蔵として再生した場所です。
趣あふれる木造校舎を巡りながら、尾畑酒造の平島社長と尾畑専務が、仕込み蔵の様子や夏に開催しているワークショップ「特別授業」について解説してくれました。

酒造りを学んだあとは、みんなで乾杯。秘密のアイテムの最後のひとつは、学校蔵でつくられた出来立ての純米大吟醸でした。

画面上での記念撮影もばっちり決まり、ここからはお酒をお供に旅を続けます。チャット欄にも「飲みやすくておいしいです!」「先ほどの花塩をアテに飲んでいます」とコメントが飛び交います。

さらに、太鼓芸能集団「鼓童」のメンバーが大迫力のパフォーマンスを披露。旅のかけらと一緒に入っていた手書きの楽譜を見ながら、私たちも手拍子で参加します。鼓童との共演は、旅の疲れを吹き飛ばしてくれました。

学校蔵の日本酒で乾杯! 気がつけば、みんなすっかり打ち解けていました。

18:00 旅のエンディングは、最高の景色とともに

楽しい時間はあっという間に過ぎ、旅の締めくくりとしてとっておきの風景を味わいます。

画面に映し出される、島の4カ所から見た美しい夕日。島の自然をまるごと体感できるようなおだやかで悠然とした眺めは、この旅ならではの特別な風景です。

両津港、新穂、佐和田、相川からの夕日。4カ所の景色を同時に見るという、この旅だからこその体験です。

こうして「おうち旅ルミネ meets 佐渡島」は終了。
パソコンを閉じ、心地よい余韻に浸りながら窓の外を見ると、佐渡島と同じように夜が訪れようとしていました。

島の魅力と人のあたたかさに触れた今回の旅は、まさに“旅じたくのための旅”。
今日出会った人に、今度は島で再会したい。美しい風景を実際に見てみたい。旅が終わってから、いちばんにそう感じました。


「おうち旅ルミネ」は今後も続き、2020年11月29日(日)に第2弾を開催予定。舞台は群馬県中之条町です。
開催に向け、「中之条は里山文化が根付く美しい町で知られていますが、ビエンナーレをはじめ、新たな芸術文化が作られ育まれている町なので、移住アーティストと触れ合える旅にしました。中之条の魅力を引き立てつつ、佐渡島と同じように、人と人をつなげてあたたかな交流を生み出したいですね」と旅ルミネの担当者。佐渡島とはまた違った旅になりそうです。

たくさんの出会いが生まれる、オンラインならではの旅。みなさんもぜひ参加してみてください。


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▶次回開催「おうち旅ルミネ meets 中之条」
中之条に移り住み、土地に根差しながらクリエイションをしている3組のアーティストが町をご案内。アーティストの目線から見た新しい中之条の魅力を感じられるだけでなく、2021年に開催される中之条ビエンナーレの作品づくりにも参加できます。

開催日時/11月29日(日)11:00〜14:30予定(10:40開場)
応募期間/10月28日(水)00:00〜11月10日(火)23:59
募集人数/150名
→詳細・応募はこちらから

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