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CLASS ROOM

フィルムカメラで撮った写真は、愛おしい日々がつまったタイムカプセル

2021.06.30

CLASS ROOMは、ルミネが運営する暮らしをもっと楽しむためのカルチャースクール。さまざまなジャンルで活躍するゲストを招いてお話を伺い、ルミネマガジンとYouTubeルミネ公式チャンネルで配信しています。
2021年6月講座のゲストは、“E-girls”の初代リーダーを務めたDream Ayaさん。ヴォーカル、パフォーマーを引退した現在は写真家として活動しています。「日常を切り取るフィルムカメラの魅力」をテーマに、カメラを始めたきっかけやシャッターを切りたくなる瞬間について語ってもらいました。

>> インタビューを動画で見る:前編後編

写真を学ぶために、生まれて初めて履歴書を書いた

―現在の活動について教えてください。

今はカメラのお仕事をメインにしつつ、絵を描いたりすることやものをつくったりすることも好きなので、ほかにもいろいろとクリエイティブなお仕事をさせていただいています。

(インタビューを受けている)この場所は、私が今働かせていただいている、自由が丘の「ポパイカメラ」というカメラ屋さん。フィルム写真を撮った方が現像をしに来たり、SNSに載せるためにデータ化しに来たりすることが多いですね。カメラ本体やカメラに関する雑貨、さまざまな種類のフィルムの販売もしています。


―写真家として活動しながら、ポパイカメラでも働かれているんですね。音楽の次に写真の道を選んだ理由はなんですか?

2017年にヴォーカル、パフォーマーを引退したあとは音楽の裏方、制作に携わっていたのですが、やっぱり自分を表現したいなと思い始めて。なにがしたいか考えたときに、音楽以外に唯一、ずっと続けていたのがカメラだったんです。
最初は写真の学校に行こうかなと思っていました。でも知り合いのカメラマンさんに相談したら、「学校に通うよりも、現場で学んだほうがいいと思うよ」というアドバイスをいただいて。以前からお客さんとして通っていたポパイカメラに親切に対応してもらったのがすごく印象に残っていたので、まずはここに履歴書を送ってみることから始めようと考えました。

14歳で上京してからずっと音楽だけしかやってこなかったので、アルバイトもしたことがなかったんですね。履歴書も書いたことがなかったので、知り合いに書き方を教えてもらいました。でも、自分の履歴ってなんだろうって考えると、音楽活動以外にないんですよ。所属していた会社の名前を書くことしかできなかったので、とにかく自分の気持ちを伝えようと思い、「熱意はあります!」みたいに書いた気がします(笑)。そうしたら快く受け入れてくださり、働かせていただけることになりました。

私はフィルムカメラが好きなのに、オートモードにしてボタンを押すだけ、という方法でずっと撮影をしていましたし、どんな種類のフィルムやカメラがあるのかということに対してもまったく無知で。選ぶカメラやフィルム、さらにはレンズひとつで全然違う表現ができたりすることなど、本当にいろんなことをポパイカメラで教わりました。

撮影:Dream Aya

切り取るのは、なにげない日常のシーン

―デジタルカメラが主流のなか、フィルムで撮り始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

もともとはデジタルで撮っていて、20歳のときにFUJIFILMの「ナチュラ クラシカ」というフィルムカメラ(現在は生産終了)をプレゼントでいただいたことがきっかけです。

フィルムの魅力のひとつは、撮ったときに仕上がりが見られないこと。どういうふうに写っているんだろうとすごくドキドキワクワクしました。初めてカメラ屋さんに行って現像に出し、できあがった写真を見て感動したことを今でも覚えています。その感じがもう、くせになっちゃって。当時はお金もなかったので、36枚撮りのフィルムを月に1本だけ買って、1枚1枚大切に撮っていきました。“第2の青春”ではありませんが、そういう感覚を大人になっても味わうことができたんです。


―写真を撮りたくなるのは、どんなときが多いですか?

ヴォーカル、パフォーマー時代は20人くらいの女の子のグループで音楽活動をしていたので、常に被写体が近くにいる環境でした。そんななかで、たとえばメンバーが楽しそうにしゃべっているシーンや、おいしそうになにかを食べている姿を見たとき、よくシャッターを切っていましたね。表情やポージングを決めた人を撮るよりも、そんなふうに誰かがナチュラルに楽しんでいたり、笑ったり泣いたりしているところを撮るのが好きなんです。そういう意味では、写真を撮る人としてすごく恵まれた環境にいたなと思います。


―Ayaさんの作品はつくり込まれた世界ではなく、日常を切り取っているという印象があります。そういう瞬間を見出すために、日ごろからいろいろなものをよく観察していたりするんですか?

「あっ今、めっちゃおもしろいな」と思ったらすぐにシャッターを切るので、じっくり見たり、考えたりするほうではないかもしれません。人に会うのがなかなか難しい今だからこそすごく感じるのですが、そうやって撮ってきた昔の写真を見返すと、なんていうか、撮り続けてきてよかったなと思うんですよ。写真はそのときの状況や自分の気持ちを思い出して過去に立ち返らせてくれる、タイムカプセルのようなものだと思います。


―デジタルではなくフィルムだからこそ、鮮明に思い出せるところもあるんでしょうか?

あるかもしれないですね。もちろんデジタルカメラならではのいいところはありますし、現像も楽しいのですが、私はやっぱりフィルムが好きです。

撮影:Dream Aya

好きな写真を撮りながら、仕事の幅も広げていきたい

―Ayaさんがこの夏に行ってみたい撮影スポットはありますか?

最近、山登りにはまりつつありまして、リュックから靴までアイテムを全部揃えたんです。この夏は長野の山、特に北アルプスのほうに行って写真を撮ってみたいですね。

山登りにはまったのは、埼玉県の秩父にある三峯神社に、友だちとたまたま行ったことがきっかけです。そこは山を登らないとお参りできない神社で、1時間ぐらいかけて登ったらすごい達成感を味わうことができて。あんまり外に出かけていなかったこともあり、日常でこの感覚を得ることはなかなかできないなと感じました。


―身近なシーンではどんな写真を撮っていますか?

近ごろはお仕事で撮ることが増えているのと、積極的に人に会えないので、以前のように日常を切り取る機会は減っています。でも、スタジオで照明を使って撮影することに挑戦したりと、好きな写真を撮りつつ、お仕事でもフィルムカメラでできることを増やしていこうとしている最中ですね。


―最近、ルミネのインスタグラムビジュアルの撮影もしていただきました。そのときはハウススタジオで撮影されたんですよね。

>> Ayaさん撮影のインスタグラム企画「READY FOR GOOD SUMMER!」の記事はこちら

私は自由に撮影させていただけることが多く、あまり「ここでポーズをして、こう撮ります」と決めて撮ることは少ないんですね。この企画ではテーマも自然でナチュラルにという感じだったので、モデルのおふたりと会話をしながらラフな雰囲気で撮らせていただき、私自身もすごく楽しんで撮影できました。


―先ほど、写真を見ると当時のことを思い出すとおっしゃっていましたが、音楽も同じように記憶のトリガーになることはありますか?

ありますね。懐かしい曲を聴くと、そのときすごく楽しかったことなど、いろいろなことを思い出します。最近はよく、10代だった2000年代初期に流行っていた曲のメドレーをドライブしながら聴いているんですよ。
ちなみに、私の青春の音楽であるTHE BLUE HEARTSは年中聴いています。特に私の人生のテーマソングだと思っているのは「歩く花」。歌詞がたまらなくかわいらしくて、私もこういう人でありたいなと思わせてくれる1曲です。

撮影:Dream Aya

いつか写真を眺めて、すばらしい人生だったと思いたい

―ご自身にとって、写真はどんな存在なのでしょうか。

音楽はやめてしまいましたが、カメラは一生続けていくものだと思っています。写真を撮ることは、自分の人生を残していくことなのかもしれません。もっと歳をとったとき、写真を眺めて、私の人生はすばらしかったなと思いたい。未来の自分がよかったと言えるような楽しい人生を送りたいと思って、日々シャッターを切っています。


―お話を伺って、どこかに出かけるといった特別なことをしなくても、写真を撮りたくなるシーンは日常にたくさんあるのだなと思いました。フィルムカメラ、おもしろいですね。

ポパイカメラで働き始めてから、SNSを見てくれる方や周りの友だちのなかにフィルムカメラに興味を持ってくれる人が増え、「この写真はなんのフィルムですか?」「フィルムカメラを始めたいんだけど、どのカメラがいい?」と聞かれることも多くて。そうやって広まっていってくれることがなによりも嬉しいですね。


―最後の質問です。Ayaさんにとって“よい暮らし”とはなんでしょう?

自分が楽しいと思うことを実行することです。私はとにかく“楽しい”が一番なので、楽しいことをしてないとおいしいものもおいしく感じなかったり、暮らしが豊かじゃないなと感じてしまいます。ポパイカメラで働き始めたこともそうですが、やってみたいと思ったことを怖がらずにやってみる。直感で生きているので、迷うことがほとんどない私ですが、ときどき迷ったときは、楽しそうだなと感じたほうを選んでいます。いろんなことに興味がありすぎるので、「できることは全部やっちゃおう!」という精神でどんなことにも挑戦していきたいですね。

Dream Ayaさんおすすめの、暮らしをもっと楽しくしてくれる一冊

『パンどろぼう』著:柴田ケイコ(KADOKAWA)

「ある日突然親友からおすすめされた一冊。絵本が大好きな私はドキドキワクワクしながら読みました。まさかの展開に大爆笑。子供も大人もみんなが笑顔になれる、ユーモアあるストーリーに感動すらさせられます。読んだすべての人がパンどろぼうに心を奪われるはずです!」


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<プロフィール>
Dream Aya(写真家)
2002年、dream(現Dream)に新加入しデビュー。2011年よりガールズエンタテイメントプロジェクト“E-girls”の中心メンバーとしても活動を開始し、後にE-girlsの初代リーダーを務める。2017年に音楽活動を引退後、写真や絵などのアートな才能を活かしクリエイターとして活動をスタート。2020年1月よりフリーランスの写真家に。東京・自由が丘の写真店「ポパイカメラ」で働きながら活動している。
https://www.photobyaya.com/photobyaya

撮影協力:ポパイカメラ(http://www.popeye.jp/


>> インタビューを動画で見る:前編後編

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