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2416MARKET

海街の個性豊かなコーヒー店が横浜に集う「逗子・葉山 海街珈琲祭2021」

2021.12.22

ニュウマン横浜の2416MARKETで、2021年12月7日(火)から2022年1月10日(月・祝)まで開催している「逗子・葉山 海街珈琲祭2021」。海辺の街、逗子・葉山の人気コーヒーロースターとカフェが一堂に会し、各店のコーヒー豆やドリップバッグ、オリジナルタンブラーなどのアイテムが並びます。
企画・運営を務めるのは、「アンドサタデー」の庄司賢吾さんと真帆さん夫妻。編集カンパニーであり、同名のコーヒー店のオーナーでもあります。イベントに込めた想いをおふたりに聞きました。

「アンドサタデー」の庄司賢吾さんと真帆さん。

編集の視点を大切にした自分たちだけの場づくり

―ふだんのお仕事について教えてください。

庄司真帆さん(以下「真帆さん」):逗子・葉山を拠点に、andsaturday inc.としてふたりで活動しています。わたしは神奈川の別のエリアで生まれ育ち、彼は東京出身。もともと都内に住んでいたのですが、5年ほど前に逗子に引っ越してきました。

活動の軸はふたつあり、ひとつは“編集”。書籍や雑誌の取材・執筆をしたり、クライアントのプロジェクトにコンセプトづくりから参加したり。彼がデザイナーとカメラマンでもあるので、企画からアウトプットまで一貫して携わることが多いですね。
もうひとつの軸は“場づくり”です。逗子で土曜日だけのコーヒー店「アンドサタデー」を営んでいるほか、海街珈琲祭のようなイベントの運営も場づくりのひとつと捉えて手がけています。

庄司賢吾さん(以下「賢吾さん」):編集と場づくりをまったく別のものとして考えているわけではなく、場づくりをするときにも編集的な視点を持っているんです。どんなコンテンツがいいか、どういう人を呼んだらより楽しい場になるか、どういう伝え方をするかなどを考える場づくりにはかなり編集の仕事に近いものがあると思っていて。見せ方や伝え方を大切にしながら、自分たちだからこそできる場づくりを意識しています。


―「逗子・葉山 海街珈琲祭2021」のポスターやフライヤーのデザインもすごく素敵ですよね。

賢吾さん:ありがとうございます。川上から川下まで一貫した思いのもとで、自分たちでつくりあげることは、ほかの仕事にも共通して大切にしています。海街珈琲祭も企画からデザイン、撮影など、全部自分たちで手がけました。

真帆さん:イベントをつくるうえでは、自分たちでお店も営んでいることも強みのひとつ。出店者サイドの気持ちをしっかりと汲み取り、アウトプットに乗せていけるので、一般的なイベント会社やクリエイティブ会社が手がけるイベントとくらべると、より体温のこもったものになるのかなと思っています。

会場には、逗子・葉山にある8つのコーヒー店のアイテムがずらり。

2416MARKETでの出会いをきっかけに、街に足を運んでほしい

―2019年の、海街珈琲祭の初開催時はどんな様子でしたか?

賢吾さん:前回は逗子・葉山駅前の亀岡八幡宮で開催したのですが、1日かぎりのイベントにもかかわらず2500名くらいの人が来てくれたんです。半分は地元の方、もう半分は神奈川の他エリアや都内などの方でした。

真帆さん:逗子と葉山は隣接していて生活圏も共通しているのですが、一つひとつのお店が山の上にあったり海の近くにあったりで、なかなか複数のお店をまわるのが難しいんです。それらのお店が一堂に集うというのは初めての試み。音楽ライブや地元のおばあちゃんに街を案内してもらう企画なども用意して、たくさんの新しい出会いが生まれました。


―開催後、人と人とのつながりや街に変化はありましたか?

賢吾さん:今年のコンセプトにもつながるのですが、開催をきっかけに知らなかったコーヒー店を知り、実際に足を運んでくれた人がすごくたくさんいて。たとえば「こういう気分のときはあそこに行ってみよう」といった楽しみ方をする人が増えたと感じています。

真帆さん:出店したお店からも「神社のイベントで知りました」というお客さんがイベント後にたくさん来てくれたと聞きました。一番うれしいことでしたね。コーヒー店といえば、行きつけの店だけに行きがちですし、たくさんあるとどこに行ったらいいかわからないこともあると思います。その最初の一歩を踏み出すハードルを下げられたかなと思っています。

賢吾さん:海街珈琲祭をきっかけに街を訪れる人も増えていて。なかにはすごく街のことを好きになって移住した人もいるくらいです。


―2回目の開催となる今回のコンセプトについて聞かせてください。

真帆さん:今回は「海街の珈琲店に、会いに行く。」というコピーを掲げています。これにはふたつの想いを込めていて、ひとつは2416MARKETに集ったコーヒー店に会いに来てほしいということ。もうひとつは、このイベントを通して知った逗子と葉山のコーヒー店に、実際に足を運んでほしいという想いです。

賢吾さん:会場を2416MARKETに移したのは、コロナの影響もまだまだあるなかで、前回と同じような形式で開催するのは難しいと思ったからです。短期間で1カ所に人を集めるのではなくある程度の期間を取って開催し、さらにそのあと実際に逗子・葉山の街とコーヒー店を巡ることにもつなげられる、新しいフェスの形を提案しようと思いました。

12月11(土)・12日(日)は出店ショップのオーナーやスタッフが来場(写真は「inuit coffee roaster」)。ほかにテーブルウェアブランドの作家によるワークショップなども行われました。

逗子・葉山にはコーヒー文化がマッチする風土がある

―もともと逗子・葉山のコーヒー文化は盛んだったのでしょうか?

真帆さん:5年前に引っ越してきたときは、街にはコーヒー店がほとんどなかったんです。都内に住んでいたときから気持ちのこもったコーヒーを飲んでくつろげる場所はすごく大事だと思っていて、そういう場を自分たちでも持ちたいと考えていたので、引っ越してから2、3カ月後にアンドサタデーをオープンしました。勢いに乗って「今だ!」と(笑)。

今回の出店者のなかで一番の老舗はTHE FIVE BEANSさん。20年近く地元で愛されていて、わたしたちも移住する前から遊びに行っていました。それ以外のお店は5年前にはなかったんですよ。ちょうどわたしたちがアンドサタデーを始めてから、ここ3、4年で一気に増えました。


―コーヒー店が増えていったのはどうしてだったのでしょうか?

賢吾さん:逗子・葉山の心地よさや余白のある雰囲気と、コーヒー店の在り方。そのふたつに実はすごく近しいものがあるのかもしれないですね。海外でも海辺の街にコーヒーカルチャーが根ざしている風景が見られますが、この街で店を開くことの可能性をみんなが感じたのではないでしょうか。

朝起きてまずコーヒー店に行くという人もいますし、仕事の合間にコーヒーを片手に海を散歩しているという人もいますよ。東京と比較すると、この街の人はコーヒー店との距離がすごく近いような気がしていますね。

真帆さん:逗子や葉山の人たちは家での時間を大事にしていて、コーヒーの豆を買いに来る人がすごく多いんです。きっと、自分で淹れてゆっくりとリラックスタイムを楽しんでいらっしゃるんでしょうね。そんなふうに、もともとコーヒーがマッチするライフスタイルが息づいていたのかもしれません。

海街珈琲祭を企画するうえでいろいろ調べて気づいたのですが、特に最近オープンした、こだわりを持つ個人オーナーさんのお店が、神奈川県のなかでも逗子・葉山は集中しているんです。清澄白河のように、逗子・葉山もコーヒータウンと謳ってもなんの遜色もないなって。今後、もっとちゃんと伝えていったら、この街の魅力がより広まっていくだろうと思います。

コーヒーとの組み合わせを楽しめる、陶芸家・前野達郎さんのマグカップも販売。

こだわりのある8店が集結

―今回出店している8店は、どのような視点でセレクトされたのでしょうか?

真帆さん:どこもオーナーさんが個性的で、自家焙煎のお店、そして横浜エリア初出店のお店が中心です。前回生まれたご縁を大切に、その後の各店のストーリーを伝えたかったので、8店のうち7店が前回も出てくれたお店なのです。そして、今回新たにお声がけさせていただいたのがPOOLSIDE COFFEEさんです。2021年6月にオープンされたばかりなのですが、すでにすごく街に愛されていて、ぜひご一緒したいと思いました。

賢吾さん:会場ではコーヒー豆の説明に終始せず、そのお店をどういう人が営んでいるかをテキストで紹介したり、顔が見えるようにこれから写真も置けたらいいなと思っています。逗子・葉山に行ってお店を巡ることがもっと楽しくなるように、スタンプラリーの企画も用意しました。

真帆さん:スタンプラリーというと、マスが書かれていてそれを埋めましょうという形が多いと思うんですが、今回は各店のオリジナリティを伝えたかったので、パスポートのようなフリー台紙にしました。かわいいスタンプを自由に押してもらって、自分だけのスタンプブックをつくっていただければ。4店舗以上のスタンプを集めた先着150名の方には、2416MARKETでノベルティをプレゼントします。

賢吾さん:実際に街を巡りながら、景色を眺めたり、コーヒー店の人と話していただくことを通して、もっと逗子・葉山を好きになってくれたらいいなと思っています。その拠点を人が集まる横浜駅の2416MARKETに設けることで、街の魅力をたくさんの人に知ってもらいたいですね。

各店を巡って集めるスタンプラリー。どれも個性的で、コンプリートしたくなります。

目指すは街の風物詩。新しいことにもチャレンジしたい

―海街珈琲祭の今後の展開について、考えていることはありますか?

真帆さん:街の風物詩にしていきたいという想いで始めたので、「今年もそろそろ海街珈琲祭の時期だ」と思ってもらえるように、まずはしっかりと継続していきたいです。コロナが落ち着いたら、フェスティバル的な街のイベントとして復活させて、5年後も10年後も続けていけたら。「逗子海岸映画祭」のように、海街珈琲祭も逗子・葉山を代表するカルチャーとして育っていったらいいなと思います。

賢吾さん:逗子・葉山には、コーヒー文化とつながる素敵なものづくりをされている人たちが多くいます。たとえばコーヒーを飲むためのマグカップの作家さんや、コーヒーを片手に街を散策するときのファッションのデザイナーさん。そういった、コーヒーとその周囲にあるものも含めたこの街のカルチャーをもっと発信していけたら、イベントもより盛り上がっていくのではないでしょうか。

海辺の街はもちろん逗子・葉山だけではないので、ひょっとしたらもっと大きな視点での“海街”とするかもしれないし、別の街にお邪魔するかもしれない。そういう新しい試みにもチャレンジしていけたら楽しいなと考えています。


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逗子・葉山 海街珈琲祭2021
期間/2021年12月7日(火)~2022年1月10日(月・祝)
会場/2416 MARKET(神奈川県横浜市西区南幸1-1-1 NEWoMan横浜6F)、参画店舗各店
時間/11:00〜20:00 ※土日祝日のみ10:00オープン
出店ショップ/BREATHER COFFEE、Dark Arts Coffee Japan、inuit coffee roaster、POOLSIDE COFFEE、THE FIVE BEANS、カフェテーロ葉山、三角屋根 パンとコーヒー、アンドサタデー
企画・運営/アンドサタデー(https://www.instagram.com/andsaturday

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