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歳を重ね、心に余裕が生まれた/余慶尚美さんインタビュー 後編

2024.02.10

美容家やヘアケアリストとして、メディアへの出演や講演会・セミナーの講師、商品開発など幅広く活躍している余慶尚美さん。漢方や薬膳、東洋医学をベースにしたメソッドで、たくさんの人の「美」をサポートしています。
そんな余慶さんの考え方やライフスタイルに迫るインタビュー。後編では、ルミネのシーズンテーマ「Romantic Mood 愛する世界を育む」を切り口に、自分を愛することや、ショッピングで好きなものを見極めるマイルールなどについて伺いました。

PROFILE
余慶尚美(よけい・なおみ)/美容家、ヘアケアリスト(毛髪診断士)
広告代理店や外資系企業にて広告宣伝の仕事に従事した後、2007年、美容家に転身。さまざまなメディアに出演するなど多岐にわたって活躍。近年はヘアケアリストとしても注目されている。著書に、髪の総合的な知見に加え、巡り、漢方美容、薬膳といった観点を取りいれた美髪メソッド本『髪トレ』があり、髪と共に生きていく女性のライフスタイルまでケアする活動に力を入れている。また、韓国ドラマ好きが高じ、韓国の俳優、女優の広告キャスティングコーデとしても仕事の場を広げている。
https://www.instagram.com/yokenao/

>> 前編を読む

たくさんの人に「美しくなるよろこび」を

―美容家として、自分だけではなくほかの誰かを美しくするというモチベーションはどこから来るのでしょうか?

シンプルに、楽しいんです。最近はウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に満たされた状態を表す概念)に外見の美しさも寄与するというエビデンスが出たらしいのですが、たしかに、肌や髪の状態がイマイチだと外に出たくないって思うときもありますよね。美しくなることに対して喜ばない人はきっといない。誰かが自分に自信を持ち、自分のことを好きになる、そのヒントを与えてあげられるのって、すごく楽しいと思いませんか?

講演やセミナーでみなさんがキラキラした目で話を聞いてくれたり、直接お声をかけていただけることが私の仕事の糧であり、パワーにもなります。メディカルはマイナスからゼロにする、ヘルスケアはゼロを維持する、ウェルビーイングはゼロからプラスにすることと言われていて。身体だけではなく心も満足していて、社会的にも満たされている状態。その要素はいくつかありますが、そのうちのひとつでも満足できれば、連鎖的にほかの要素も満たされていくらしいのです。

私は、それを美容で叶えてみたい。たとえば「きれいになったね」と誰かに褒められたらうれしくなって、次はこれもためしてみよう、ああしてみようと思いますよね。そのきっかけをつくるお手伝いができることがすごく光栄ですし、私ももっともっと知識をつけよう、勉強しようという気持ちになります。


―誰かのよろこびが、自分のよろこびにもつながるんですね。

歳を重ねてそういうシンプルなモチベーションになった気がします。以前は自分が表に出たい、売れたいと思っていて、それこそ美魔女コンテストに出たりもしていたんです。でも、いまはまったくそういう気がなくて。もちろん演者として出るお仕事も多くありますが、派手な出方ではなく、直接人と接することができる講演やセミナーに力を入れていきたいと考えています。

まわりの人のおかげで好きなことを仕事にできた

―ルミネの今期のシーズンテーマは「Romantic Mood 愛する世界を育む」ですが、余慶さんが愛しているもの、惹かれるものはありますか? 

ズバリ、韓国の俳優さんにどっぷりハマっています。韓国の俳優さん、女優さんのキャスティングのお仕事は、趣味が高じて始めたもの。2014年ごろ韓国ドラマに夢中になったとき、「10年以内に、絶対に韓流ビジネスを始める!」と決めたんです。そのために韓国に渡航して人脈をつくり、語学学校にも通ってまったくしゃべれなかった韓国語を習得しました。そうして仕事になったいまも変わらず、韓国のドラマや映画が大好き。2023年は1年間で100本以上観ました。


―漢方や薬膳もそうですが、まさに“愛する世界を育み”、お仕事にまで昇華されたのですね。

私は本当にラッキーだったし、周囲の人にすごく助けられました。好きなことを仕事にさせていただける環境だったこと自体が私にとっては財産ですし、本当に感謝すべきことだと思います。まだまだ勉強中ですが、好きなものを突き詰めていった結果、自分なりに仕事にできていることは、自信につながっています。

余慶さんによる「美髪」トレーニング本。『髪トレ』(主婦の友社)

自分を愛することができると、人にやさしくなれる

―毎日を心地よく過ごすために心がけていることはありますか?

絶対に7時間以上寝ることです。それから、運動。ボディメイクではなく、気血水を巡らせることが目的です。
あとはやっぱり、先ほど言ったように、身体のコンディションやそのときの気候を考えて食材を選ぶこと。さらに、身体の巡りが停滞するのを避けるために、食べ過ぎた次の日は夕方までなにも食べずにお腹を空っぽにするのが習慣になっています。


―そもそも自分の身体の状態を知るにはどうしたらよいのでしょうか。

私はPMSがひどかったこともあって、23歳から最近まで毎日体温を記録していました。データが蓄積されていくと、低温期や高温期といったバイオリズムがはっきりわかるようになります。もちろん面倒臭いんだけど、自分に興味を持つ方法としてすごくおもしろいの。「今日はメンタルが落ちているけど、ホルモンに振り回されてるだけだから気にしないほうがいいな」とか、自分を客観的に見ることもできます。


―“自分自身を愛する”とは、どういうことだと考えますか?

自分自身を愛することができていると、人にやさしくなれます。感謝を伝えることができるし、謙虚になれる。つまり、心に余裕がある状態というのが、自分を愛している状態なのかなと思います。そのために必要なものは、まずは深呼吸すること。東洋医学では、邪気がたまると病気になると考えられています。だから清い気を吸って、身体のなかの邪気を吐く。呼吸が浅いと邪気がたまるんですよね。呼吸は時間などに追われて余裕がないときに浅くなりがちです。ふと立ち止まって、深呼吸をして、下ばっかり見るんじゃなくてちょっと上を向いてみるといいと思います。

衝動買いはせず、1週間寝かせる

―ショッピングで物を選ぶときの基準はなんですか?

昔は衝動買いをしがちだったのですが、いまは本当に必要なものだけを吟味するようになりました。お店で見てほしいと思ってもその場では買わず、1週間してまだほしかったら買いに行くようにしています。洋服に限らず食品もそうですし、大きい買い物にしてもそう。昔はすべてトレンドのアイテムを買い集めていましたが、いまはすでに持っているワードローブにトレンドを取り入れるというスタイルに変わりました。このあたりも余裕が出てきたことの現れなのかな……50歳をすぎ、ようやく大人になれたのかもしれません(笑)。

実際、衝動買いしたのに着ていないアイテムがたくさんある一方で、吟味して選んだ洋服は飽きずに着ています。あとは、大人になってモード系のブランドも取り入れたくなってきました。思い切り個性を出してもいい歳になってきたというか、トレンドではないほうが似合うようになった気がします。
そんなふうに、なにか行動する前にひと呼吸おけるようになってきて、全体的に落ち着いているなと自分で感じます。

―今後、やってみたいことはありますか?

美容に関しては、直接参加者と触れ合える講座やセミナーを大切にしていきたいですね。これまではヘアケアに関する仕事が多かったのですが、たとえば「50代のスキンケア」など、もう少し幅を広げたテーマも取り扱ってみたいです。

それから、次のステップに進むために、通販番組で商品を紹介するような、結果が求められる仕事にも力を入れていきたいです。ほかにも韓流案件で準備を進めている大きなものがあり、それも成功させたい。いろんな活動ができて、いま本当に仕事が楽しいんです。たまらなく楽しい。この幸せな状況が続くように、これからも勉強を重ねていきたいですね。



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