SUSTAINABLE

「スミス・ティーメーカー」が提案する、ティーの新たな可能性
2025.05.25
アメリカ・ポートランド発の「スミス・ティーメーカー(SMITH TEAMAKER)」は、紅茶、緑茶、ハーブティーの新しい楽しみ方を探求するティーブランド。ショップやカフェでは、今までにありそうでなかった味わいや飲み方を提案。原材料がいつ、どこで収穫されたのかを誰でも確認できるトレーサビリティを徹底し、ティーバッグには再生可能な生分解性の素材しか使用しないなど、サステナビリティにもこだわっています。
世界中にチャイを広めた紅茶職人が立ち上げたブランド
「スミス・ティーメーカー」は2009年にアメリカ・オレゴン州のポートランドで創業したティーブランド。世界各地の厳選した茶葉や原料を生産者から直接調達し、こだわりの技法でブレンドした紅茶や緑茶、ハーブティーを提供している。
創業者のスティーブン・スミス氏は、今ではここ日本でもおなじみのチャイを世界中に広めた立役者であり、米国の大手コーヒーチェーンでチャイラテの開発を手がけたこともある人物。1970年代、オーガニック食品への興味が高じて、スペシャルティ・ティー・ブランド「Stash(スタッシュ)」を立ち上げた。その後、94年に新ブランド「TAZO(タゾ)」を発表したのをきっかけに、紅茶職人としてその名が知られるように。99年に「タゾ」を売却してからは、家族とともに南フランスに移り、引退生活を楽しんでいた。しかしそこへ、さらなる転機が訪れる。
「スミス氏は、近所のファーマーズマーケットで野菜の生産者やパン職人などが自らの思いを伝えながら販売する様子に心惹かれました。というのも、自分もかつては生産者の顔が見えるティーブランドを目指したものの、完全には実現できなかったという心残りがあったのです。今度こそ、という意欲に突き動かされた彼は、引退生活を切り上げて、アメリカに戻りました」(スミス・ティーメーカー ブランドマネージャー・近藤將太さん)
そうして立ち上げたのが、スミス・ティーメーカーだ。日本には2015年に初上陸。2020年に日本輸入総代理店が現在の東洋ベバレッジとなり、新たなスタートを切った。今年4月には渋谷の旗艦店に続く2号店「SMITH TEAMAKER YOKOHAMA(SHOP & CAFE)」をニュウマン横浜2階にオープン。また、全国のブルーボトルコーヒーのほか、ラグジュアリーホテルやミシュランの星つきレストランなどにも商品を卸している。
創業者のスティーブン・スミス氏は、今ではここ日本でもおなじみのチャイを世界中に広めた立役者であり、米国の大手コーヒーチェーンでチャイラテの開発を手がけたこともある人物。1970年代、オーガニック食品への興味が高じて、スペシャルティ・ティー・ブランド「Stash(スタッシュ)」を立ち上げた。その後、94年に新ブランド「TAZO(タゾ)」を発表したのをきっかけに、紅茶職人としてその名が知られるように。99年に「タゾ」を売却してからは、家族とともに南フランスに移り、引退生活を楽しんでいた。しかしそこへ、さらなる転機が訪れる。
「スミス氏は、近所のファーマーズマーケットで野菜の生産者やパン職人などが自らの思いを伝えながら販売する様子に心惹かれました。というのも、自分もかつては生産者の顔が見えるティーブランドを目指したものの、完全には実現できなかったという心残りがあったのです。今度こそ、という意欲に突き動かされた彼は、引退生活を切り上げて、アメリカに戻りました」(スミス・ティーメーカー ブランドマネージャー・近藤將太さん)
そうして立ち上げたのが、スミス・ティーメーカーだ。日本には2015年に初上陸。2020年に日本輸入総代理店が現在の東洋ベバレッジとなり、新たなスタートを切った。今年4月には渋谷の旗艦店に続く2号店「SMITH TEAMAKER YOKOHAMA(SHOP & CAFE)」をニュウマン横浜2階にオープン。また、全国のブルーボトルコーヒーのほか、ラグジュアリーホテルやミシュランの星つきレストランなどにも商品を卸している。

ティーは食事とあわせて楽しめるように、フードとの相性も大切にブレンドされている。手前の「アボカドトースト」はペパーミントの茶葉が隠し味。奥はニュウマン横浜店先行販売の「マサラ チャイ ラテ」
茶葉を生産者から直接購入し、トレーサビリティを徹底
スミス・ティーメーカーのポリシーは、「Garden to Cup」。農園から私たち消費者の口に届くまで責任をもって商品を提供する、という思いが込められた言葉だ。一般的なティーメーカーは世界各国の茶葉を仕入れて販売しているが、仲介業者から茶葉を購入しているメーカーも少なくなく、どんな生産者がその茶葉を栽培しているのか、メーカー側にもわからないというケースもある。一方、スミス・ティーメーカーの茶葉は、生産者から直接購入したものだけ。生産地から加工プロセスのすべてを追跡できるトレーサビリティを徹底している。
「世界中の生産者からフルリーフ(葉の形などがありのままで保たれている状態)で直接購入しているので、安心、安全にティーを楽しんでいただけます。商品の箱底面に記載されている番号をもとに、原材料がいつ、どこで収穫されたのかを検索していただけるシステムを導入しています」(近藤さん)
「世界中の生産者からフルリーフ(葉の形などがありのままで保たれている状態)で直接購入しているので、安心、安全にティーを楽しんでいただけます。商品の箱底面に記載されている番号をもとに、原材料がいつ、どこで収穫されたのかを検索していただけるシステムを導入しています」(近藤さん)

ブランドマネージャーの近藤將太さん。もともとはお酒の業界で働いていたが、スミス・ティーメーカーが提案するティーの新しい可能性に魅せられて現職に
人にも環境にも優しく、冷えてもちゃんとおいしい
スミス・ティーメーカーが目指しているのが、伝統に敬意を払いながら、新しい体験を提供すること。「オリジン」「クラフト」「クリエイティビティ」の三つの柱のもと、商品やサービスを探求し続けている。
一つ目の「オリジン」とは原産地のこと。先述したとおり、スミス・ティーメーカーでは生産者と直接取り引きをしているが、その背景には、自ら現地に何度も通い、彼らとの信頼関係を構築してきたスミス氏の情熱と努力がある。特にインドのダージリンの生産者たちとの絆は格別で、スミス氏は現地で結婚式を挙げたほど。
「私たちのブレンドにはナンバーがついているのですが、ナンバーはすべてそのブレンドと関わりのあるストーリーにちなんだものがつけられています。ダージリンのみずみずしいファーストフラッシュ(その年の最初に収穫される茶葉)とフルボディが特長のセカンドフラッシュを掛け合わせた『No.47 バンガロー』の『47』は、スミス氏がダージリンの農園で結婚式を挙げたときの年齢。アメリカらしいユーモアを感じます」(近藤さん)
二つ目の「クラフト」は、少量生産による徹底した品質管理を指す。原料はすべてポートランドに集めてミキシングを行うが、一般的なメーカーが500kg単位で混ぜるのに対し、スミス・ティーメーカーでは22kg単位で混ぜている。
「日射量や雨量などにより、茶葉の出来は変わります。一度に少量ずつをブレンドするのは手間のかかる作業ですが、その分、安定した味に調整しやすく、いつでもおいしいティーをお届けできるというわけです」(近藤さん)
また、原料だけでなく、ティーバッグの品質にもこだわっている。スミス・ティーメーカーのティーバッグはプラスチックを使用せず、生分解性の植物性デンプンで作られていて、のりやホチキスではなく超音波で糸を圧着。人にも環境にも優しい。
「ティーバッグ内の茶葉はフルリーフでご用意しています。細かくカットしたほうが、表面積が大きくなり、味も香りも短時間で出るのですが、酸化しやすいというデメリットがある。フルリーフは、抽出時間は少し長めになりますが、うまみも奥行きも増します。また、ホットティーは時間が経って冷えると香りが飛んでしまい、苦みやエグみが強調されることが多いのですが、私たちのティーは茶葉本来の味わいが十分に抽出されているので冷えてもおいしく、また違ったニュアンスを楽しんでいただけるのが特徴です」(近藤さん)
一つ目の「オリジン」とは原産地のこと。先述したとおり、スミス・ティーメーカーでは生産者と直接取り引きをしているが、その背景には、自ら現地に何度も通い、彼らとの信頼関係を構築してきたスミス氏の情熱と努力がある。特にインドのダージリンの生産者たちとの絆は格別で、スミス氏は現地で結婚式を挙げたほど。
「私たちのブレンドにはナンバーがついているのですが、ナンバーはすべてそのブレンドと関わりのあるストーリーにちなんだものがつけられています。ダージリンのみずみずしいファーストフラッシュ(その年の最初に収穫される茶葉)とフルボディが特長のセカンドフラッシュを掛け合わせた『No.47 バンガロー』の『47』は、スミス氏がダージリンの農園で結婚式を挙げたときの年齢。アメリカらしいユーモアを感じます」(近藤さん)
二つ目の「クラフト」は、少量生産による徹底した品質管理を指す。原料はすべてポートランドに集めてミキシングを行うが、一般的なメーカーが500kg単位で混ぜるのに対し、スミス・ティーメーカーでは22kg単位で混ぜている。
「日射量や雨量などにより、茶葉の出来は変わります。一度に少量ずつをブレンドするのは手間のかかる作業ですが、その分、安定した味に調整しやすく、いつでもおいしいティーをお届けできるというわけです」(近藤さん)
また、原料だけでなく、ティーバッグの品質にもこだわっている。スミス・ティーメーカーのティーバッグはプラスチックを使用せず、生分解性の植物性デンプンで作られていて、のりやホチキスではなく超音波で糸を圧着。人にも環境にも優しい。
「ティーバッグ内の茶葉はフルリーフでご用意しています。細かくカットしたほうが、表面積が大きくなり、味も香りも短時間で出るのですが、酸化しやすいというデメリットがある。フルリーフは、抽出時間は少し長めになりますが、うまみも奥行きも増します。また、ホットティーは時間が経って冷えると香りが飛んでしまい、苦みやエグみが強調されることが多いのですが、私たちのティーは茶葉本来の味わいが十分に抽出されているので冷えてもおいしく、また違ったニュアンスを楽しんでいただけるのが特徴です」(近藤さん)

ティーバッグはすべて再生可能な生分解性の素材から作られている
窒素や炭素ガスを用いた新しいスタイルのティーも
三つ目の「クリエイティビティ」は、常識にとらわれない自由なあり方を指す。例えば、カフェで提供している「TEAS ON TAP(ティーズ・オン・タップ)」は、クラフトビールのサーバーを使用し、ティーに窒素や炭酸ガスを注入するという新しいスタイルのドリンク。窒素を入れるとクリーミーな質感と味わいの「ナイトロティー」になり、炭酸ガスを入れると香りが引き立ち爽やかな「スパークリングティー」になり、ティーの新たな表情を楽しめる。
また、新店舗のSMITH TEAMAKER YOKOHAMA(SHOP & CAFE)では、かつてチャイ文化を世界中に広めたスミス氏にとって原点ともいえるチャイをフィーチャー。「マサラ チャイ ラテ」と「ナイトロ チャイ」を先行販売しているほか、「No.33 マサラ チャイ」の豊かな風味をクリームチーズに練り込んだニュウマン横浜店限定の「マサラ チャイ チーズケーキ」もある。
「なじみのあるものに少しひねりを加え、ありそうでなかったものを提供するのが私たちの目指すところであり、得意でもあるところです」(近藤さん)
また、新店舗のSMITH TEAMAKER YOKOHAMA(SHOP & CAFE)では、かつてチャイ文化を世界中に広めたスミス氏にとって原点ともいえるチャイをフィーチャー。「マサラ チャイ ラテ」と「ナイトロ チャイ」を先行販売しているほか、「No.33 マサラ チャイ」の豊かな風味をクリームチーズに練り込んだニュウマン横浜店限定の「マサラ チャイ チーズケーキ」もある。
「なじみのあるものに少しひねりを加え、ありそうでなかったものを提供するのが私たちの目指すところであり、得意でもあるところです」(近藤さん)

クラフトビール用のサーバーで作る「ナイトロ チャイ」はニュウマン横浜店先行販売
ショップではすべての商品の茶葉がそれぞれ「クロシェ」と呼ばれるガラスのカバーで覆われていて、まるで香水をテイスティングするように、香りを体験できる。また、自分の好みの系統と、朝や昼などどの時間帯にティーを味わいたいのかを掛け合わせて、ぴったりのブレンドを見つけられる診断表もある。
「専門のスタッフが『このブレンドが好きなら別の時間帯にはこれがおすすめです』『同じ系統だとこんなブレンドもあります』といったようにアドバイスも行っています。好みの幅が広がっていく楽しみを感じていただけたらうれしいです」(近藤さん)
ショップであれこれ迷いながらお気に入りを探したり、カフェで新感覚のティーにトライしたりしてみると、自分の意外な好みに気づくかもしれない。新たなティー体験に出合いに、足を運んでみてはいかがだろうか。
■スミス・ティーメーカー
https://smithtea.jp/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2025年5月13日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi
「専門のスタッフが『このブレンドが好きなら別の時間帯にはこれがおすすめです』『同じ系統だとこんなブレンドもあります』といったようにアドバイスも行っています。好みの幅が広がっていく楽しみを感じていただけたらうれしいです」(近藤さん)
ショップであれこれ迷いながらお気に入りを探したり、カフェで新感覚のティーにトライしたりしてみると、自分の意外な好みに気づくかもしれない。新たなティー体験に出合いに、足を運んでみてはいかがだろうか。
■スミス・ティーメーカー
https://smithtea.jp/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2025年5月13日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi