FASHION
WINDOW DISPLAY

二次元と三次元が交錯する、不思議で浮遊感のあるシーズンディスプレイ
2025.09.05
2025年8月28日(木)から、ルミネ各館で秋のシーズンディスプレイがはじまります。テーマは「Classic Eclectic -クラシックをミックスマッチ」。“自分という軸で、しなやかに未来を描く力”というメッセージが空間を通して伝えられています。
今回のディスプレイのコンセプトや制作の裏側について、ディレクターの作永 理那さん(株式会社Camp)、アートディレクターの野田 久美子さん(株式会社枘)、イラストレーターの永山 恵さんの3名に聞きました。
今回のディスプレイのコンセプトや制作の裏側について、ディレクターの作永 理那さん(株式会社Camp)、アートディレクターの野田 久美子さん(株式会社枘)、イラストレーターの永山 恵さんの3名に聞きました。
コンセプトのカギを握る「違和感」と「問い」
制作をスタートするにあたって、「色や柄でデザインする抽象的なものではなく、わかりやすく目を引くようにしていきたいリクエストをいただいた」と作永さん。テーマへの解釈を深め、コンセプトに落とし込んでいくために、チームのメンバーで何度もディスカッションを交わしたそうです。その際のキーワードとなったのが“問い”と“違和感”でした。
「『Classic Eclectic -クラシックをミックスマッチ』というテーマから想起されるクラシック、トラッド、フォークロア、ヴィンテージといった過去の文化的資産をノスタルジーとして消費するのではなく、いまの感性と視点で再編集し、未来へつなげたい。そして、混沌とした時代を前にしても、知性と想像力によって柔軟に未来を選び取り、『自分という軸で、しなやかに未来を描く力』をディスプレイデザインに落とし込みたいと思い「More Than One World Reality」というコンセプトを考えました。
そこで意識したのは、見る人に『これはなんだろう?』という違和感を抱かせることです。違和感から多様な問いが生まれ、それが未来を選ぶことにつながっていくはず。思わず立ち止まり、目を凝らし、自分自身の見方を少しずらしてみたくなるような、“世界の見え方”の変換装置としてのディスプレイを目指しました」
さらにもうひとつ、制作チームがキーワードに据えたのが“多次元世界”です。文化や民族、性別をはじめ、時間の概念さえも自身の感性でミックスし、新たな未来を紡ぎ出す。そんな世界観を表現するために「マネキンの一部に平面のイラストを組み合わせたり、上部から吊るされた多面体にホログラムペーパーを使って光の反射や映り込みを生かしたりしています」と作永さん。「二次元と三次元が交差する、世界線が曖昧な多次元世界をつくり出したいと考えました」と話しました。
「『Classic Eclectic -クラシックをミックスマッチ』というテーマから想起されるクラシック、トラッド、フォークロア、ヴィンテージといった過去の文化的資産をノスタルジーとして消費するのではなく、いまの感性と視点で再編集し、未来へつなげたい。そして、混沌とした時代を前にしても、知性と想像力によって柔軟に未来を選び取り、『自分という軸で、しなやかに未来を描く力』をディスプレイデザインに落とし込みたいと思い「More Than One World Reality」というコンセプトを考えました。
そこで意識したのは、見る人に『これはなんだろう?』という違和感を抱かせることです。違和感から多様な問いが生まれ、それが未来を選ぶことにつながっていくはず。思わず立ち止まり、目を凝らし、自分自身の見方を少しずらしてみたくなるような、“世界の見え方”の変換装置としてのディスプレイを目指しました」
さらにもうひとつ、制作チームがキーワードに据えたのが“多次元世界”です。文化や民族、性別をはじめ、時間の概念さえも自身の感性でミックスし、新たな未来を紡ぎ出す。そんな世界観を表現するために「マネキンの一部に平面のイラストを組み合わせたり、上部から吊るされた多面体にホログラムペーパーを使って光の反射や映り込みを生かしたりしています」と作永さん。「二次元と三次元が交差する、世界線が曖昧な多次元世界をつくり出したいと考えました」と話しました。

立体と平面の組み合わせが想像力をかき立てる
今回イラストを担当した永山さんは、ポップでありながら、どこか奇妙な世界観を感じさせる作風が印象的。アートディレクターを務めた野田さんは「恵さんが描く人物画は、人種や時代が曖昧なイメージなんですよね。それがとてもおもしろく、多様性も感じさせます」と話し、こう続けます。
「今回、立体物とイラストを“ミックスマッチ”させるという大胆な手法がとれたのは、恵さんのイラストの魅力があるからこそ。二次元と三次元を混ぜることで見る人の想像力をかき立て、『このファッションは似合わないからやめよう』ではなく『ちょっとチャレンジしてみようかな』と思ってもらえるようなものを目指しました」
また「こういった企画に、イラストレーターが企画段階から携われることは珍しい」と永山さん。イラストと立体が混在するという方向性に創作意欲が刺激されたそうです。
「1920年代のドイツの芸術運動に『ドイツ表現主義』というものがあり、それがパースやスケール感が狂っていたり、空間がちょっとねじれていたりする表現で。今回の人物イラストにも、そんな表現を取り入れたいと考えました。かわいらしく、人に寄り添う方向とは少し違う、しっかりと自分の足で立っているキャラクターというイメージでしょうか。それが『違和感』ともつながっておもしろいものになるんじゃないかと、アイデア出しの段階からどんどんイメージがふくらんでいきました」
「今回、立体物とイラストを“ミックスマッチ”させるという大胆な手法がとれたのは、恵さんのイラストの魅力があるからこそ。二次元と三次元を混ぜることで見る人の想像力をかき立て、『このファッションは似合わないからやめよう』ではなく『ちょっとチャレンジしてみようかな』と思ってもらえるようなものを目指しました」
また「こういった企画に、イラストレーターが企画段階から携われることは珍しい」と永山さん。イラストと立体が混在するという方向性に創作意欲が刺激されたそうです。
「1920年代のドイツの芸術運動に『ドイツ表現主義』というものがあり、それがパースやスケール感が狂っていたり、空間がちょっとねじれていたりする表現で。今回の人物イラストにも、そんな表現を取り入れたいと考えました。かわいらしく、人に寄り添う方向とは少し違う、しっかりと自分の足で立っているキャラクターというイメージでしょうか。それが『違和感』ともつながっておもしろいものになるんじゃないかと、アイデア出しの段階からどんどんイメージがふくらんでいきました」

ファッションとイラストのどちらもが主役
特に注目してほしい点について作永さんに聞くと、「ディスプレイされるファッションアイテムと空間を彩るイラストが対等に主役であるところ。二次元と三次元が混じり合っている世界線を、野田さんと永山さんが本当にうまく形にしてくださいました」と答えてくれました。
永山さんは、自身のイラストのこだわりについてこう話します。
「最終的な仕上げはデジタルツールを使っていますが、基本は手描きにこだわっていて、いつも絵の具をこねくり回しながら作品を制作しています。今回のディスプレイは遠くから見てもインパクトが感じられるものになった一方、近くで見るとアナログならではの筆跡だったり、色の濃淡のニュアンスを感じてもらえると思います」
ウィンドウの左上にある、大きな手のイラストも印象的。これを巡る裏話を作永さんが明かしてくれました。
「あまりに大きかったからか、施工会社さんから『この大きさで合っていますか?』と聞かれました(笑)。野田さんから、『不思議の国のアリス』の世界のように身体の一部が大きくなったイメージですと言われたとき、ものすごく腑に落ちましたね。ディスプレイの空間はステージで、アリスのような舞台作品を観客席から見ている。そんなイメージでつくると、ちょっとおもしろいなと感じました」
永山さんは、自身のイラストのこだわりについてこう話します。
「最終的な仕上げはデジタルツールを使っていますが、基本は手描きにこだわっていて、いつも絵の具をこねくり回しながら作品を制作しています。今回のディスプレイは遠くから見てもインパクトが感じられるものになった一方、近くで見るとアナログならではの筆跡だったり、色の濃淡のニュアンスを感じてもらえると思います」
ウィンドウの左上にある、大きな手のイラストも印象的。これを巡る裏話を作永さんが明かしてくれました。
「あまりに大きかったからか、施工会社さんから『この大きさで合っていますか?』と聞かれました(笑)。野田さんから、『不思議の国のアリス』の世界のように身体の一部が大きくなったイメージですと言われたとき、ものすごく腑に落ちましたね。ディスプレイの空間はステージで、アリスのような舞台作品を観客席から見ている。そんなイメージでつくると、ちょっとおもしろいなと感じました」

自由でポジティブな気持ちをもたらしたい
最後に、ディスプレイを通じて伝えたいことを聞きました。
「ポップで奇妙な世界観に、『なんだろう』と足を止めて楽しんでいただけたら。自分を縛っているものや、こうあるべきという考えにとらわれすぎず、少しでも自由な気持ちになってもらえたらうれしいです」(作永さん)
「現実と非現実、二次元と三次元が交錯するような空間。だからこそ見る人には、似合うかどうかは一度横に置いておいて『着たことないけど、この洋服にチャレンジしてみようかな』と、ファッションに対してポジティブな気持ちになっていただきたいです」(野田さん)
「ファッションは時代を映すものだと思います。現代のカオスな時代性と同じように、このディスプレイを見て、『ちょっと変』とか『見たことがない世界観だな』とか、いろんな気持ちを抱いてほしいですね。それで、変でもいい、みんなが正しくなくてもいいということを感じてもらえたらいいなと思います」(永山さん)
虚実が入り交じったような今回のウインドウディスプレイ。その不思議な世界観を、ぜひ体感してみてください。
「ポップで奇妙な世界観に、『なんだろう』と足を止めて楽しんでいただけたら。自分を縛っているものや、こうあるべきという考えにとらわれすぎず、少しでも自由な気持ちになってもらえたらうれしいです」(作永さん)
「現実と非現実、二次元と三次元が交錯するような空間。だからこそ見る人には、似合うかどうかは一度横に置いておいて『着たことないけど、この洋服にチャレンジしてみようかな』と、ファッションに対してポジティブな気持ちになっていただきたいです」(野田さん)
「ファッションは時代を映すものだと思います。現代のカオスな時代性と同じように、このディスプレイを見て、『ちょっと変』とか『見たことがない世界観だな』とか、いろんな気持ちを抱いてほしいですね。それで、変でもいい、みんなが正しくなくてもいいということを感じてもらえたらいいなと思います」(永山さん)
虚実が入り交じったような今回のウインドウディスプレイ。その不思議な世界観を、ぜひ体感してみてください。

期間/2025年8月28日(木)〜10月8日(水)予定
ディスプレイテーマ/Classic Eclectic -クラシックをミックスマッチ
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜
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Direction & Copywriting/作永 理那(Camp Inc.) @_campinc_
Art Direction & Design/野田 久美子 @nodakumi
Illustration/永山 恵 @kei_nagayama_
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■関連記事
>> 厳しい環境を生き抜く力強さを。サステナブルにも挑戦したシーズンディスプレイ
ディスプレイテーマ/Classic Eclectic -クラシックをミックスマッチ
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜
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Direction & Copywriting/作永 理那(Camp Inc.) @_campinc_
Art Direction & Design/野田 久美子 @nodakumi
Illustration/永山 恵 @kei_nagayama_
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