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不自由さを前向きに受け入れ、自分なりのルールで楽しむ

2023.08.24

開放的な季節を経て、動き出した社会。一方で、社会に生きる大変さを思い出したり、さまざまな壁にぶつかったりすることもあります。秋のはじまりを飾るニュウマンのシーズンビジュアルは、そんな状況を乗り越えるヒントを与えてくれるかもしれません。ビジュアルに込めたメッセージや撮影時のエピソードについて、2021年春からニュウマンのシーズンビジュアルを担当しているSIMONEのクリエイティブディレクター、渡辺琢磨さんにお話を聞きました。

“思い通り”にいくことは、本当にあたりまえ?

2023年のシーズンビジュアルでは、一貫して「ニュウ、○○」というキャッチコピーを掲げてきました。春は「ニュウ、エスケープ」、夏は「ニュウ、ナルシズム」。ネガティブなイメージを持つ言葉に「ニュウ」をつけることで、新しい解釈や価値を加え、伝えていこうというものです。

今回のビジュアルの制作は、秋冬の大きなテーマである「Re-design わたしを再構築する」を解釈することからはじまりました。
渡辺さんがヒントにしたのは、最近の私たちを取り巻く「自由の不自由」。たとえば、AIをはじめとした先端技術は暮らしを便利にしてくれる一方、私たちに人間が持つ価値を問いただしてきます。また、多様性を受け入れることは、時に他者との衝突を生むこともあります。

「便利さや自由とは裏腹に、僕たちには自分の存在意義はなにか?という問いがのしかかってきている。だからこそ、自分の世界を再構築することが実際に求められていると思います」と渡辺さん。「そのことをポジティブに伝えるためには、反対に状況を放っておいてみる、受け入れてみるということも大切ではないかと考えました」と続けます。

「世の中はスピーディかつ複雑になっていて、次から次へと課題が出てきます。それらをいかに早く、効率的に解決することに目がいきがちですが、あえて放っておくことで、解決策が生まれたりするかもしれないなと。課題に立ち向かうのではなく、一旦受け入れてじっくり待ってみようというスタンスです」

こうした議論を重ねて、今回の「ニュウ、○○」を検討していきました。

「思い通りにいかないことにはストレスを感じますが、でも、あらゆるものはそもそもコントロールなんてできないと思うほうが気は楽だし、むしろものごとにフラットに向き合えると思うんです。既成概念を振り払って素直な状態で世界を捉えたら、あとはどう在るかは自分の自由だということを掘り下げていきました。その結果生まれたのが、『ニュウ、(アン)コントロール』というコピーです。『コントロール』の新しい(=ニュウ)解釈、それはコントロールできないことを受け入れること、というような、ダブルミーニングになっています」

前後のストーリーを感じさせる、映画のような表現

目の前の課題や困難、不自由さを、自分なりにどう受け入れ、ポジティブに書き換えられるか。そんな場面の一例を菊地凛子さんが演じたのが、今回のビジュアルです。

「これを見て、わたしだったらこういう気持ちでいればラクになれそうとか、こんなふうに向き合えたら楽しめるかもと、各々の生活に置き換えて想像していただけたらうれしいです」と渡辺さんは語ります。

雨が降る田舎の小道。急いで車に乗り込み、びしょぬれのままで車をバックさせる女性。おぼつかない運転、ガラスを叩く雨、濡れた服、慣れない操作の車。たくさんのストレスにさらされているけれど、そんな不自由を、彼女は受け入れて楽しんでいる。

ムービーではそんなストーリーがシネマティックに描かれ、静止画であるメインビジュアルはそのワンシーンを切り取ったものになっています。

これまでよりもシネマティックな表現にしたのは、「女優である凛子さんに、しっかりとしたストーリーと設定のもとで演技してもらうことで、メッセージがより強く伝わるのではないか」と考えたから。加えて、これまでは15秒だった動画の長さを30秒にしたこともポイントです。

「前回までは短時間でワンメッセージを伝えることを重視していたので15秒だったのですが、今回は凛子さんのパフォーマンスを発揮してもらい、演技でメッセージを強化するために、ある程度の長さが必要でした。15秒に短縮してしまうと言いたいことが弱まってしまうと思ったので、あえて30秒を選択しました。ただ、長めの尺でも飽きさせず引きつけるための細かい調整は随所に施しているので、30秒よりも短く感じるような仕上がりになっていると思います」

みんなでつくりあげ、手応えを感じた撮影現場

屋外で行われた撮影について、「すごく空気がよかったんです」と振り返る渡辺さん。現場では、気さくでプロ意識の高い菊地さんが常に輪の中心になっていたといいます。

「スタッフと一緒になって密に話し合い、いちクリエイターとして作品づくりにコミットする姿勢にみんなが助けられました。だからこそいいものがつくれたと思っています。クリエイティブのスタッフも、現場で『いいものしかつくれる気がしない』と言っていましたね。凛子さんには設定に合わせて未舗装の道で運転してもらったのですが、思ったよりもガタガタしていて、『なにこれ(笑)』と、ちょっと笑ってしまう感じの表情が撮れたりもしました。そんなふうにライブ感を大切にしつつ、いいプランといい準備のもと、いい現場に臨めたなという印象です」

ものごとはコントロールできない。一度受け入れたら、あとは自由。ハッとするような気づきを与えてくれる今回のビジュアルを通して、少し心が軽くなりそうです。この秋、自分なりのルールで日々を自由に楽しんでみませんか?

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Creative Director:Takuma Watanabe(SIMONE INC.)
Movie Director:Takayuki Haga(UW INC.)
Art Director:Mayuko Ishida(SIMONE INC.)
Producer:Fumika Ochi(SIMONE INC.)
Production Manager:Marin Kanda(SIMONE INC.)

Actress:Rinko Kikuchi 
Photographer/DOP:Yusuke Miyazaki(SEPT)
Camera Chief:Akio Fujita
Stylist:Shotaro Yamaguchi(eightpeace)
Hair:Yusuke Morioka(eightpeace)
Make:Asami Taguchi(HOME AGENCY)
Retouch : VITA INC. 


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