SUSTAINABLE

サステナビリティをポジティブに。「スナイデル」の試み
2025.08.20
幅広い世代の女性たちから支持を集めるファッションブランド「スナイデル(SNIDEL)」は、サステナビリティに力を入れていることでも知られています。服や小物にリサイクル・再生素材を取り入れるほか、店舗の内装にも環境に配慮した素材を多用。今年はルミネなどと協業し、CO2排出量を可視化することで消費者の行動変容を検証する実証実験も行いました。その背景にある思いや反響について、ルミネ新宿・ルミネ2のスナイデルでショップマスターを務める城下知世さんに伺いました。
時代に先駆けてリアルファーの使用を廃止
今年で20周年を迎えた「スナイデル」は「ストリート×フォーマル」をコンセプトに掲げるファッションブランド。女性をより美しく見せるディテールやシルエットにこだわったスタイリング提案で、日本はもちろん、アジアを中心に店舗を展開し、海外の女性たちからも愛されている。
スナイデルを展開しているのは、「ジェラート ピケ(gelato pique)」「ミラ オーウェン(Mila Owen)」「コスメキッチン(Cosme Kitchen)」などのブランドを擁するマッシュグループ。同グループは世界に笑顔を届けたいという思いのもと、2015年に「ウェルネスデザイン」というスローガンを掲げた。それをきっかけに、サステナビリティへの取り組みをいちはやくスタート。2016年には「ファーフリー宣言」を打ち出し、全社的にリアルファーの使用を廃止した。
「その頃はまだ『リアルファーこそ価値がある』という考え方が浸透していた時代。特にスナイデルのリアルファーのアイテムは質が高くて比較的リーズナブルとあって、とても人気があり、年間数億という売り上げを記録していました」と語るのは、当時からスナイデルを担当する城下知世さん。
「そんな背景もあり、なかなか勇気のいる選択でしたが、社会課題の解決に取り組みたいという強い思いのもと、実施に踏み切りました。するとその後、ハイブランドも続々とリアルファーを撤廃。今ではエコファー(合成繊維でリアルファーに近い風合いを再現した素材)がスタンダードになったことを踏まえると、あのときの決断は正しかったのだとあらためて感じます」
スナイデルを展開しているのは、「ジェラート ピケ(gelato pique)」「ミラ オーウェン(Mila Owen)」「コスメキッチン(Cosme Kitchen)」などのブランドを擁するマッシュグループ。同グループは世界に笑顔を届けたいという思いのもと、2015年に「ウェルネスデザイン」というスローガンを掲げた。それをきっかけに、サステナビリティへの取り組みをいちはやくスタート。2016年には「ファーフリー宣言」を打ち出し、全社的にリアルファーの使用を廃止した。
「その頃はまだ『リアルファーこそ価値がある』という考え方が浸透していた時代。特にスナイデルのリアルファーのアイテムは質が高くて比較的リーズナブルとあって、とても人気があり、年間数億という売り上げを記録していました」と語るのは、当時からスナイデルを担当する城下知世さん。
「そんな背景もあり、なかなか勇気のいる選択でしたが、社会課題の解決に取り組みたいという強い思いのもと、実施に踏み切りました。するとその後、ハイブランドも続々とリアルファーを撤廃。今ではエコファー(合成繊維でリアルファーに近い風合いを再現した素材)がスタンダードになったことを踏まえると、あのときの決断は正しかったのだとあらためて感じます」

今回お話を伺った城下知世さん。10年ほど前からスナイデルの店舗スタッフとして働き、現在はルミネ新宿・ルミネ2の店舗でショップマスターを務める
「サステナブル」を商品名に取り入れる理由
その頃からスナイデルでは、人々に幸せを届けるには地球環境への配慮が不可欠との考えから、「#SNIDEL_FOR_SUSTAINABILITY」を提唱している。具体的なアクションとしては、例えば、店舗の内装の85%以上にエコ素材やリサイクル素材を使用。美しいグリーンのガラスは実は蛍光灯の廃材を用いたリサイクルガラスで、ルミネ新宿・ルミネ2のショップの内装だけでも約9千本もの蛍光灯をリサイクルできているというから驚く。さらに、ブラウン管から生まれたリサイクルガラスや、再生紙、木質廃棄物などがあちらこちらに用いられていて、大気汚染の防止や森林保全などに寄与している。
もちろん、ファッションアイテムにもリサイクル素材を積極的に使用。洗練されたデザインや着心地のよさはそのままに、再生されたコットンやナイロン、ポリエステル、シルバーといった地球にやさしい素材にこだわっている。さらに興味深いのが、例えば「Sustainableチュールスカート」など、商品名に「Sustainable」という単語が含まれているものが目立つことだ。今年、20周年を記念して発売した全20種の柄のワンピースも「Sustainable20周年プリントワンピース」という名称だった。
「私たちがサステナビリティという言葉を日常的に使うことで、お客さまにもサステナビリティに対して自然に親しみを感じていただけたらと思っています。こうした取り組みをスタートしてから、インスタライブを行うと、お客さまから色や着心地への質問だけでなく、『このアイテムはどのような点でサステナブルなんですか?』といった質問も寄せられるようになりました。私たちができることから少しずつアプローチすることによって、サステナビリティ=安心、素敵、楽しいといったポジティブなムードを醸成していきたいと考えています」
店頭での接客やインスタライブなどを通しての発信に加え、サステナブルな背景をもつ商品の下げ札に“サステナブルアイコン”を表示しているのも工夫のひとつ。アイコンは、リサイクル素材を使用したことを示す「RECYCLE(リサイクル)」、森林保全の観点で選定した生分解性のある原料を用いたことを指す「SAVE FOREST(森林の保護)」など全8種あり、ひと目で把握できるようになっている。
もちろん、ファッションアイテムにもリサイクル素材を積極的に使用。洗練されたデザインや着心地のよさはそのままに、再生されたコットンやナイロン、ポリエステル、シルバーといった地球にやさしい素材にこだわっている。さらに興味深いのが、例えば「Sustainableチュールスカート」など、商品名に「Sustainable」という単語が含まれているものが目立つことだ。今年、20周年を記念して発売した全20種の柄のワンピースも「Sustainable20周年プリントワンピース」という名称だった。
「私たちがサステナビリティという言葉を日常的に使うことで、お客さまにもサステナビリティに対して自然に親しみを感じていただけたらと思っています。こうした取り組みをスタートしてから、インスタライブを行うと、お客さまから色や着心地への質問だけでなく、『このアイテムはどのような点でサステナブルなんですか?』といった質問も寄せられるようになりました。私たちができることから少しずつアプローチすることによって、サステナビリティ=安心、素敵、楽しいといったポジティブなムードを醸成していきたいと考えています」
店頭での接客やインスタライブなどを通しての発信に加え、サステナブルな背景をもつ商品の下げ札に“サステナブルアイコン”を表示しているのも工夫のひとつ。アイコンは、リサイクル素材を使用したことを示す「RECYCLE(リサイクル)」、森林保全の観点で選定した生分解性のある原料を用いたことを指す「SAVE FOREST(森林の保護)」など全8種あり、ひと目で把握できるようになっている。

リサイクルされたコットンやナイロン、ポリエステルなど、サステナブルな素材を使用しているアイテムが目立つ。顧客の年齢層は幅広く、母と娘、または姉妹で服やバッグを共有しているというファンも少なくない
環境について考えるきっかけづくりに貢献
最近の取り組みとしては、今年の4月から5月にかけて、ルミネ、JCB、CO2排出量の可視化や削減支援を行うYour Arbor Inc.と協業して行った実証実験が挙げられる。こちらは、商品別また決済手段別にCO2排出量の削減にどれだけ貢献できているかを可視化することにより、消費者の行動がどう変わるかを検証するというもの。店頭で、対象となる商品のタグにある二次元コードをスマートフォンで読み取ると、専用ページからCO2排出量情報を確認でき、顧客はその後、アンケートに回答。「CO2排出量情報は購入判断に役に立ったか」「今後、CO2排出量の少ない決済手段を積極的に選択したいか」といった質問に答えていく。
「昨年もルミネ新宿・ルミネ2にあるマッシュグループの複数のブランドで実施したのですが、第2弾となる今回は、大宮、北千住、池袋、有楽町、新宿、立川、横浜、町田のルミネ内のスナイデルの全8店舗で行いました」
スナイデルはマッシュグループの中でも特に、サステナビリティに関するメッセージを継続的に発信することに力を入れているブランドとあって、顧客アンケートの回収数が昨年の7倍近くに伸びたそう。
「スナイデルのお客さまの中には、服や小物を購入された際にショッパー(手提げ袋)を断り、ご自身が持参したエコバッグにしまわれる方も少なくありません。今回の実験では多くの方から『こんなにCO2が抑えられているのはすごい』『スナイデルは環境に配慮しているところも好き』といったうれしい反応をいただきました。一方、サステナビリティについて日頃あまり意識していないという方々からも、『環境について考えるきっかけになった』という前向きな回答が寄せられました」
「昨年もルミネ新宿・ルミネ2にあるマッシュグループの複数のブランドで実施したのですが、第2弾となる今回は、大宮、北千住、池袋、有楽町、新宿、立川、横浜、町田のルミネ内のスナイデルの全8店舗で行いました」
スナイデルはマッシュグループの中でも特に、サステナビリティに関するメッセージを継続的に発信することに力を入れているブランドとあって、顧客アンケートの回収数が昨年の7倍近くに伸びたそう。
「スナイデルのお客さまの中には、服や小物を購入された際にショッパー(手提げ袋)を断り、ご自身が持参したエコバッグにしまわれる方も少なくありません。今回の実験では多くの方から『こんなにCO2が抑えられているのはすごい』『スナイデルは環境に配慮しているところも好き』といったうれしい反応をいただきました。一方、サステナビリティについて日頃あまり意識していないという方々からも、『環境について考えるきっかけになった』という前向きな回答が寄せられました」

二次元コードを読み取ると、その商品が完成するまでのプロセスでどのくらいCO2排出量を削減できたかが表示される。目安としてエアコンの使用時間が表示されるので、感覚的にわかりやすい
店舗スタッフにもポジティブな変化が
今回の実証実験は顧客だけでなく、スナイデルの店舗スタッフにとってもポジティブな効果があった、と城下さんは振り返る。
「お客さまに実験にご協力いただくようお願いするのは、スタッフにとって通常の接客よりもややハードルが高いのが正直なところです。ですが、スタッフ一同、『サステナビリティについて考えていただくきっかけになれば』という一心で積極的にお伝えしたところ、みなさんとても興味をもってくださって。私たちとしても手ごたえを感じ、これからも情報を発信していきたいという思いが強まりました」
「お客さまに実験にご協力いただくようお願いするのは、スタッフにとって通常の接客よりもややハードルが高いのが正直なところです。ですが、スタッフ一同、『サステナビリティについて考えていただくきっかけになれば』という一心で積極的にお伝えしたところ、みなさんとても興味をもってくださって。私たちとしても手ごたえを感じ、これからも情報を発信していきたいという思いが強まりました」

今回の実証実験ではルミネ内のスナイデル全8店舗で人気の12商品にCO2排出量情報を確認できる二次元コードを記載した下げ札を使用。顧客はスマートフォンで二次元コードをスキャンし、専用ページにアクセスした
城下さん自身、実証実験が終了してからも、スナイデルのサステナビリティにまつわる取り組みについて、店頭での接客の際に今まで以上に積極的に伝えるようになったそう。
「私たちスタッフも、日頃からサステナブルなファッションを意識するだけでなく、職場や日常生活でもできることから自発的に取り組んでいます。例えば、マイボトルの持参、エコバッグの使用、お客さまにお渡しできない状態になってしまったショッパーの再利用など。これからもお客さまやルミネさんとともに、社会課題の解決に向けてポジティブに行動していけたらと考えています」
■スナイデル
https://snidel.com/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2025年8月12日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi
「私たちスタッフも、日頃からサステナブルなファッションを意識するだけでなく、職場や日常生活でもできることから自発的に取り組んでいます。例えば、マイボトルの持参、エコバッグの使用、お客さまにお渡しできない状態になってしまったショッパーの再利用など。これからもお客さまやルミネさんとともに、社会課題の解決に向けてポジティブに行動していけたらと考えています」
■スナイデル
https://snidel.com/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2025年8月12日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi