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日本の農産物の豊かさを新宿駅前から発信。「ルミネアグリマルシェ」

2026.04.02

毎月第4木曜日から日曜日の4日間、JR新宿駅前で開催されている「ルミネアグリマルシェ」。全国から直送される新鮮な旬の野菜や果物、加工品が並び、生産者と直接交流できる場として親しまれています。もともとファッションビルとしてスタートしたルミネがなぜ農産物の直売に力を入れるのか、その背景にある思いをルミネ 営業本部 事業推進部の石川杏里沙さんに伺いました。

旬の農産物で、都会の女性の暮らしを豊かに

2018年にルミネが立ち上げた農業プロジェクト「ルミネアグリプロジェクト」の一環として、同じタイミングでスタートした都心型マルシェ「ルミネアグリマルシェ」。「首都圏で暮らす女性が食の奥深さや多様性、自身の健康と向き合うことで、日々の暮らしを心豊かに過ごせるように」という願いのもと、全国から直送される新鮮な旬の野菜や果物、加工品を販売。地域の生産者と気軽に交流できる場として、人気を集めている。

開催されるのは、毎月第4木曜日から日曜日の4日間(月によって変動あり)、JR新宿駅直結のニュウマン新宿2Fエントランス前。コロナ禍の頃に何度か実施できないことはあったものの、基本的には毎月開催を目指して継続し、今年で9年目を迎える。注目度は年々高まりを見せていて、特にこの1年は区画の拡大に伴い、出店者数も増加した。曜日や季節によって異なるが、1日あたり平均で10~15店舗がずらりと並ぶ。

顧客にはリピーターも多い。毎回出店しているお店のお気に入りアイテムを買いにくる人、旬の時期だけ出店するお店を目がけてやってくる人、あるいは、ルミネアグリマルシェ自体のファンなどさまざまだ。

ルミネアグリマルシェは黄色いひさしの屋台が目印。開催場所は屋根があり、雨の日でもゆっくりと買い物を楽しめる

生産者の思いに触れることで価値観が変化

ルミネアグリマルシェが目指しているのは、都市で生活している人たちと全国の生産者をつなぎ、日本の食文化を伝えていくこと。そのため、単に農産物を販売するだけでなく、食にまつわるストーリーを生活者に届けることを大切にしている。

「出店にあたっての条件はいくつか設けているのですが、ストーリーをしっかりと語れる方に店頭に立っていただき、接客をお願いする、ということには特にこだわっています」(石川さん)

買う側からすれば、生産者の思いも含めて食材のことをきちんと説明してもらえるほうが安心感があり、納得したうえで購入できる。実際、ストーリーに共感したから購入したというケースが目立つという。

「ときには、おいしさにはまったく問題がなくても、見た目に小さな傷がついているなどの理由で正規には出荷できない野菜や果物が並ぶことも。そういった訳アリの農産物を、生産者への支援やフードロス削減につながるという意図をもって購入される方もたくさんいます」

全国から直送された農産物に触れ、生産者の話を聞き、買って帰って食べてみた結果、いろいろな発見や気づきがあった、という声も多いそう。具体的には、「旬の農産物のおいしさ、日本の農産物の豊かさを感じた」「ただなんとなく消費するのではなく、食べるものをきちんと選ぶことの大切さがわかった」「生産の背景を知って、産地に興味が湧いた」など。

「生産者の顔が見える食材を選ぶと、食材への感謝の思いが増しますし、日々の食生活のなかでも、目の前の食材がどこでどんなふうに生まれたのかにおのずと関心が向くようになっていくと思います。こうしたことが日本の食に興味をもつきっかけとなり、食のサステナビリティにもつながると考えています」

ルミネ 営業本部 事業推進部の石川杏里沙さん

体調と向き合い、何を食べるかが大事だと実感

「実は私自身、恥ずかしながら、以前は食の大切さにそこまでフォーカスしてはいませんでした。ただ、あることをきっかけに、食が生まれる背景に興味をもつようになったんです」

そう語る石川さんは東京出身。2014年にルミネに新卒入社したが、2017年に夫の仕事の事情で、福岡の商業施設に勤務することになった。そこで担当したのが、日本酒をはじめとするお酒のイベントの仕事。九州の7県の日本酒、焼酎、ワイン、ビールなどの酒造りの現場を訪ね、風土による酒造りの違いや生産者の思いに触れ、地域とつながることの豊かさを実感したという。また、妊娠、出産、育児を経験し、心と身体の変化と向き合うなかで、助けられたのが、地のものだったそう。

「体調が悪く、産直のトマトしか食べられない時期があって。食事と向き合うなかで『食べるものが自分自身を作る。だから、何を食べるかが大事』ということを身をもって知りました。それからは、プライベートでも生産地に出かけて、地のものを楽しめるありがたみを満喫するようになりました」

やがて家族とともに東京に戻ってからは、福岡時代に学んだことを生かしたいとルミネの事業推進部に所属。2025年から「ルミネアグリプロジェクト」に携わっている。

「都市生活者と生産者をつなぎ、日本の食を伝えるといっても、私たち自身もまだまだ学ばなくてはならないことがたくさんあります。お客さまと同じ目線で、自分の興味のあることから少しずつ広げていくようなイメージで、活動していけたらと思っています」

出店者のスタッフはみんな気さくで、会話が弾む。こちらは愛媛県宇和島市の自社工場で製造したオレンジジュースやジャムなどの柑橘類の加工品と旬の果物で人気の「めぐあすファーム」

都市生活者が産地を訪ねるきっかけづくりを

2018年の立ち上げから今まで、定例開催を目指して継続されてきたルミネアグリマルシェ。こだわりの野菜や果物、加工品はECサイトでも気軽に購入できるほか、2021年には新宿駅構内にセレクトショップ「ルミネアグリショップ」もオープン。最初に述べたとおり、マルシェの区画も去年から拡大されるなど、さまざまなかたちで広がりを見せている。来年度は、マルシェの利用者が産地を実際に訪ねるきっかけを創出していきたいと考えているそう。

「ルミネアグリマルシェの利用者が生産地を訪れることは、その地域の活性化につながります。それによって生産者に利益が生まれれば、ルミネアグリマルシェに出店しやすくなり、利用者がおいしい農産物を手に取りやすくなる。そんな循環が生まれるプラットフォームづくりを検討しています。生産者と利用者、また生産者同士の距離を縮めるイベントを企画しながら、日本の食に対する価値観をよい方向へと変えていく輪を広げていきたいと考えています」

新宿駅構内にあるルミネアグリショップもマルシェに出店

■ルミネアグリプロジェクト
https://www.lumine.ne.jp/agri/

※本記事は2026年3月30日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

Text: Kaori Shimura, Photograph: Hiromi Furusato, Edit: Sayuri Kobayashi

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