SUSTAINABLE

持続可能な働き方でみんなに愛されるお菓子を目指す「シヅカ洋菓子店 自然菓子研究所」
2026.06.02
三田本店をはじめ、東京都内に4店舗を構える「シヅカ洋菓子店 自然菓子研究所」。地球にも人にもやさしい素材をできるだけ使用したクッキー缶やビスケットが人気で、店頭に行列ができることも珍しくありません。自然の恵みを合わせた「しあわせのお菓子」を目指し、2021年に同店をスタートした栗原代奈(だいな)さんに、立ち上げの経緯とその背後にある思い、お菓子づくりへのこだわりについてうかがいました。
ロックダウンをきっかけにコンセプトが誕生
やさしい味わいとザクザクした食感のクッキーをはじめとするスイーツで人気の「シヅカ洋菓子店 自然菓子研究所(以下、シヅカ洋菓子店)」。その名前から「シヅカさんという方のお店?」と誤解されることも多いが、「シヅカ」は「自束」「自然の束」「自然を束ねる」という意味。使用する食材もパッケージもできるだけ環境への負荷が少ないものを選び、自然の恵みを束ねて形にする、という思いが込められている。
創業者の栗原代奈さんはもともと、チョコレートブランド「ピエール マルコリーニ」の出身。ブランディング戦略や新規事業開発などを長く担当していたが、新型コロナウイルス禍が大きな転機となった。
「世界中でロックダウンが実施された2020年春頃、その影響で経済が止まって空気や海がきれいになったというニュースを知り、衝撃を受けました。それまではどうしたら商品が売れるかということばかり考えていて、正直、環境についてはほとんど意識していなかったんです。地球にそんなにも負荷がかかっているならば、これからはお菓子屋を通じて、どれだけ環境にプラスになることができるかにチャレンジしたいと思いました」
創業者の栗原代奈さんはもともと、チョコレートブランド「ピエール マルコリーニ」の出身。ブランディング戦略や新規事業開発などを長く担当していたが、新型コロナウイルス禍が大きな転機となった。
「世界中でロックダウンが実施された2020年春頃、その影響で経済が止まって空気や海がきれいになったというニュースを知り、衝撃を受けました。それまではどうしたら商品が売れるかということばかり考えていて、正直、環境についてはほとんど意識していなかったんです。地球にそんなにも負荷がかかっているならば、これからはお菓子屋を通じて、どれだけ環境にプラスになることができるかにチャレンジしたいと思いました」

創業者で代表の栗原代奈さん
WWFジャパンとのコラボレーションも継続
栗原さんは2020年8月に独立し、翌年3月にシヅカ洋菓子店を立ち上げた。原料は農薬や化学肥料を使用していない国産のものや、環境への負荷が低い栽培方法で収穫されたものをできるだけ使用。スタッフとともに生産者を訪ね、原料が育つ現場を見て学ぶという視察の機会もたびたび設けている。
紙製のショッパーやボックスにはすべてFSC認証を取得した紙を採用している。FSC認証とは、環境、社会、経済の観点で適切に森林管理や加工・流通過程の管理を行っている組織に与えられる国際的な認証。世界の森林保全につながることから、近年、化粧品や食品、飲料などの外箱やショッパーに採用する企業が増えている。
「シヅカ洋菓子店では創業当初からFSC認証紙を採用していますが、その当時、私たちの規模の洋菓子店でそこまでこだわっているところは珍しかったようです。その点に着目したWWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)さんからコラボレーションのお声がけをいただいたときは、背筋が伸びる思いでした」
2021年11月に発売されたWWFジャパンとのコラボレーションによるサステナブルな焼き菓子ギフトボックスはあっという間に完売。以降もシリーズ化され、現在も引き続き人気のアイテムとなっている。またこの縁をきっかけに、シヅカ洋菓子店ではWWFジャパンの担当者を講師に招き、FSC認証紙について学ぶ社内研修を定期的に開催している。
紙製のショッパーやボックスにはすべてFSC認証を取得した紙を採用している。FSC認証とは、環境、社会、経済の観点で適切に森林管理や加工・流通過程の管理を行っている組織に与えられる国際的な認証。世界の森林保全につながることから、近年、化粧品や食品、飲料などの外箱やショッパーに採用する企業が増えている。
「シヅカ洋菓子店では創業当初からFSC認証紙を採用していますが、その当時、私たちの規模の洋菓子店でそこまでこだわっているところは珍しかったようです。その点に着目したWWFジャパン(公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン)さんからコラボレーションのお声がけをいただいたときは、背筋が伸びる思いでした」
2021年11月に発売されたWWFジャパンとのコラボレーションによるサステナブルな焼き菓子ギフトボックスはあっという間に完売。以降もシリーズ化され、現在も引き続き人気のアイテムとなっている。またこの縁をきっかけに、シヅカ洋菓子店ではWWFジャパンの担当者を講師に招き、FSC認証紙について学ぶ社内研修を定期的に開催している。

ニュウマン高輪店は焼き菓子のみのラインアップ
パティシエの労働環境を持続可能に
持続可能な未来に向けてさまざまな取り組みを行っているシヅカ洋菓子店だが、なかでも特に大切にしているのが、持続可能な労働環境をつくることだ。パティシエの仕事は過酷で、人気のパティスリーともなると、睡眠時間や休日が大幅に削られてしまうことも。その結果、体力の限界が来て、退職せざるを得なくなるケースも少なくないという。
「地球にやさしい農業を実践している生産者の原料を積極的に扱うことは、その生産者の仕事と暮らしを応援することにもつながります。環境とものづくりの両方を持続可能にしていくことが大切で、そのためにはパティシエの労働環境を改善していく必要がある、というのも創業時から考えていたことです」
仕組みを根本から変えていこうと考えた栗原さんは、商品の構成比を変えることを決断。一般的に生菓子が8割、焼き菓子が2割とするところ、反対に焼き菓子を8割、生菓子を2割にした。焼き菓子が主流であれば、夏の閑散期に商品を仕込み、冬の繁忙期に販売することが可能になり、労働時間を平均化できるという算段だ。
また、2025年9月にオープンしたニュウマン高輪店には、18時閉店、月曜定休(祝日の場合は営業)という営業形態を採用。商業施設内の店舗が独自の営業時間と定休日を設けるのは珍しく、もしも利益を最優先に考えるならば、なかなか難しい選択かもしれない。栗原さんが目指す持続可能な働き方は、こんなところにも体現されている。
さらに今後は、スタッフの出産や子育てといったライフステージの変化にあわせて柔軟に対応できる仕組みをつくっていきたいと考えているそう。
「弊社では私の妻が専務を務めていまして、いつも女性の目線から意見を述べてくれています。今後も労働環境の改善のために、日々模索していくつもりです」
「地球にやさしい農業を実践している生産者の原料を積極的に扱うことは、その生産者の仕事と暮らしを応援することにもつながります。環境とものづくりの両方を持続可能にしていくことが大切で、そのためにはパティシエの労働環境を改善していく必要がある、というのも創業時から考えていたことです」
仕組みを根本から変えていこうと考えた栗原さんは、商品の構成比を変えることを決断。一般的に生菓子が8割、焼き菓子が2割とするところ、反対に焼き菓子を8割、生菓子を2割にした。焼き菓子が主流であれば、夏の閑散期に商品を仕込み、冬の繁忙期に販売することが可能になり、労働時間を平均化できるという算段だ。
また、2025年9月にオープンしたニュウマン高輪店には、18時閉店、月曜定休(祝日の場合は営業)という営業形態を採用。商業施設内の店舗が独自の営業時間と定休日を設けるのは珍しく、もしも利益を最優先に考えるならば、なかなか難しい選択かもしれない。栗原さんが目指す持続可能な働き方は、こんなところにも体現されている。
さらに今後は、スタッフの出産や子育てといったライフステージの変化にあわせて柔軟に対応できる仕組みをつくっていきたいと考えているそう。
「弊社では私の妻が専務を務めていまして、いつも女性の目線から意見を述べてくれています。今後も労働環境の改善のために、日々模索していくつもりです」

ニュウマン高輪店限定のミニクッキー缶「No. 61 Shizuka Biscuit mini」。全6種のなかには、この缶でしか食べられないガレットブルトンヌも
妊婦や子どもも安心して食べられるお菓子を
老若男女問わず、誰もがおいしく食べられてハッピーになれる。それが、栗原さんが考える理想のお菓子のイメージだ。最初の店舗を東京・三田にオープンした理由は、町に子どもの姿が多く、子連れや子どもひとりでも気軽に立ち寄ってもらえるお店にできると感じたから。ショーケースは子どもが見やすい高さに設定してあるのだとか。
「妊婦や子どもが安心して食べられる、というのもひとつの基準になっています。また、これは想定外の反応だったのですが、病気で入院していて食欲のないお年寄りが唯一うちのお菓子だけは食べられた、といった声もたまに耳にします。そんなときは、お菓子屋さんをやっていてよかったな、と心から思いますね」
そう語る栗原さんの今後の目標は、引き続き持続可能なスイーツブランドを目指していくこと。この先もずっとシヅカ洋菓子店の味を継承していくには、時代の変化に合わせながら物事を柔軟に変えていく必要があると語る。
「例えば、お菓子を作る工程。現在はパティシエの手作業による部分がほとんどですが、将来的には機械を部分的に導入したいと考えています。本当はすぐにでも機械化できればいいのですが、今のところ機械だとまったく同じ材料を使っても味わいと食感を再現できないんです。今後、研究を重ねながら、人の手でなければ難しい部分は手作業で行い、それ以外の部分を機械が補えるようにしていきたいですね。それによって労働環境をさらに改善できれば、持続可能への道をまた一歩進めるかなと思っています」
「妊婦や子どもが安心して食べられる、というのもひとつの基準になっています。また、これは想定外の反応だったのですが、病気で入院していて食欲のないお年寄りが唯一うちのお菓子だけは食べられた、といった声もたまに耳にします。そんなときは、お菓子屋さんをやっていてよかったな、と心から思いますね」
そう語る栗原さんの今後の目標は、引き続き持続可能なスイーツブランドを目指していくこと。この先もずっとシヅカ洋菓子店の味を継承していくには、時代の変化に合わせながら物事を柔軟に変えていく必要があると語る。
「例えば、お菓子を作る工程。現在はパティシエの手作業による部分がほとんどですが、将来的には機械を部分的に導入したいと考えています。本当はすぐにでも機械化できればいいのですが、今のところ機械だとまったく同じ材料を使っても味わいと食感を再現できないんです。今後、研究を重ねながら、人の手でなければ難しい部分は手作業で行い、それ以外の部分を機械が補えるようにしていきたいですね。それによって労働環境をさらに改善できれば、持続可能への道をまた一歩進めるかなと思っています」

個包装でパッケージされたクッキーも人気。クッキー缶を手みやげに購入するついでに、自分用に個包装をいくつか買っていく人が多い
■シヅカ洋菓子店 自然菓子研究所
https://www.shizuka-labo.jp/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2026年5月29日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Hiromi Furusato, Edit: Sayuri Kobayashi
https://www.shizuka-labo.jp/
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※本記事は2026年5月29日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Hiromi Furusato, Edit: Sayuri Kobayashi