SUSTAINABLE

服だけではなく、ものづくりをデザインする。「CFCL」が考えるこれからのファッション
2026.09.16
構築的でモード感あふれるデザインと、機能性や着心地のよさを見事に両立したアイテムで人気のニットウエアブランド「CFCL(シーエフシーエル)」。立ち上げ当初から環境や労働環境に深く配慮し、日本のアパレル企業として初めて「B Corp(B Corporation)」を取得するなど、サステナビリティへの取り組みを徹底していることでも知られています。その背景にはどんな思いがあるのか、CFCL 代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介さんに伺いました。
糸から直接服を成形し、生産時のゴミを大幅に削減
3Dコンピューター・ニッティングの技術を用い、糸から直接服を成形することで、立体的なフォルムとシームレスな着心地を実現。ニットでありながらハリがあってカジュアルすぎず、洗濯機でまるごと洗えて乾きも早い。ブランド名に込められた「現代生活のための衣服(Clothing For Contemporary Life)」という意味のとおり、「CFCL」は私たちの日常を快適にアップデートしてくれるニットウエアブランドだ。
加えて注目すべきなのが、クリエイションとサステナビリティの両立を前提としたブランドであること。そもそも、コンピュータープログラミングニットは裁断を必要としないため、布の裁断クズなどのゴミがほとんど出ないというメリットがある。再生ポリエステルを中心とするリサイクル素材や、地球環境と生産者の労働環境に責任を果たしていることが認証されている素材を積極的に使用。さらに、エネルギーコストと環境負荷の同時削減、水資源の持続可能な利用に向けた仕組みづくり、産業廃棄物や副産物の再資源化や削減、森林資源やプラスチック類の使用量抑制などにも取り組む。
また、全従業員が安心して働き続けられる環境の実現を目指し、公正な報酬体系の整備や福利厚生、育児・介護といったライフステージに応じた制度設計を実施。こうしたいくつもの事実から、CFCLの本気度が伝わるだろう。
加えて注目すべきなのが、クリエイションとサステナビリティの両立を前提としたブランドであること。そもそも、コンピュータープログラミングニットは裁断を必要としないため、布の裁断クズなどのゴミがほとんど出ないというメリットがある。再生ポリエステルを中心とするリサイクル素材や、地球環境と生産者の労働環境に責任を果たしていることが認証されている素材を積極的に使用。さらに、エネルギーコストと環境負荷の同時削減、水資源の持続可能な利用に向けた仕組みづくり、産業廃棄物や副産物の再資源化や削減、森林資源やプラスチック類の使用量抑制などにも取り組む。
また、全従業員が安心して働き続けられる環境の実現を目指し、公正な報酬体系の整備や福利厚生、育児・介護といったライフステージに応じた制度設計を実施。こうしたいくつもの事実から、CFCLの本気度が伝わるだろう。

ニュウマン高輪 South 2階の「CFCL TAKANAWA」は都内最大級の広さを誇る直営店舗
服が生まれる背景まで設計するのがデザイナーの仕事
CFCL 代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介さんは2020年にCFCLを設立。2010年に三宅デザイン事務所に入社し、2013年に「ISSEY MIYAKE MEN」のデザイナーに就任してから、6年以上にわたって同職を務めた。クリエイションとサステナビリティを両立するという発想は、その頃からすでに頭の中にあったそう。ファッション業界では当時、大量生産・大量廃棄による環境負荷や大手サプライチェーンによる労働者搾取が世界的な課題として噴出。2019年には国連貿易開発会議(UNCTAD)による「石油産業に次いで世界で2番目に環境負荷が大きいのはファッション業界」との指摘もあった。
「そういった状況の中で、見た目がいくらカッコよくても、ものづくりの背景が担保されていないアイテムは、美しいとはいえないのではないかと思うようになりました。これからの時代、ファッションデザイナーの仕事は単に服をデザインするだけでなく、ものづくり全体の構造やスタッフの働き方を設計することも含むのではないか、と」
前職で故・三宅一生さんと身近な距離で仕事をし、得た学びの影響も大きいという。
「一生さんからは、自分が何かをデザインするたび、そこにどのような社会的意味があるのかを常に問われていました。それが着る人に喜びを与え世の中を幸せにするものなのか、あるいは、ただの自己満足なのか。いつしか私も、おのずとファッションの意義を考えるようになりました」
「そういった状況の中で、見た目がいくらカッコよくても、ものづくりの背景が担保されていないアイテムは、美しいとはいえないのではないかと思うようになりました。これからの時代、ファッションデザイナーの仕事は単に服をデザインするだけでなく、ものづくり全体の構造やスタッフの働き方を設計することも含むのではないか、と」
前職で故・三宅一生さんと身近な距離で仕事をし、得た学びの影響も大きいという。
「一生さんからは、自分が何かをデザインするたび、そこにどのような社会的意味があるのかを常に問われていました。それが着る人に喜びを与え世の中を幸せにするものなのか、あるいは、ただの自己満足なのか。いつしか私も、おのずとファッションの意義を考えるようになりました」

CFCL 代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介さん
「B Corp」の再認証で日本企業の最高得点を更新
2022年7月には日本のアパレルで初めてB Corp認証を取得した。これはアメリカの非営利団体が運営する、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際的な民間認証制度。CFCLでは創業直後からこの認証の取得を目指し、認証取得の条件となる200点満点中の80点を大きく上回る、128点をマークした。
「2020年は当時の菅義偉首相が2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロの脱炭素社会)を目指すと宣言したこともあり、サステナビリティへの注目度が一気に高まった年でした。それと同時に、環境に配慮したかのように見せかけながら実態が伴っていない『グリーンウォッシュ』もますます問題視されるように。CFCLがいちはやく環境への配慮や流通経路の透明性を証明すれば、社会にインパクトを与えられますし、自社のブランディングにもつながると考えました」
B Corpは3年ごとに再認証を受ける必要があるが、2026年の再認証では評価スコアをさらに伸ばし、日本企業として最高得点(当時)の143.5点を獲得した。もっとも高く評価された要素は、環境領域におけるインパクトビジネスモデルだ。生産工程におけるゴミの少なさに加えて、製品ごとの温暖化ガス排出量を測定し公表していること、それがアパレルの平均的な排出量と比較し少ないこと、また再生素材や認証素材の使用率が高いことが評価につながった。
コミュニティ領域におけるビジネスモデルも高く評価された。日本のニット産業を重要なコミュニティと定め、地場産業を支えるために、全ての商品を国内で生産し、取引工場をウェブサイトで公表している。さらに2026年1月には、ニットウエアの研究や開発、企画を行うラボを併設した自社工場の稼働を開始。これは、国内工場との取引をこれまでどおり維持しながら、アイテムの生産数をさらに増やしていくための対策だという。
「CFCLの販売先が国内外へと拡大していくにつれ、生産体制を強化する必要が出てきました。ですが、多くのアパレルブランドが選択してきたグローバルサプライチェーンのように、賃金が安い国での大量生産は、先進国だけが恩恵を受ける構図を生み出してしまいます。CFCLは、そうした貧富の差を利用したビジネスモデルとは距離を取り、日本国内での生産力増加に注力しています。しかし衰退し続ける地場産業の取引工場に生産増の投資を委ねるのではなく、自ら投資し、生産拠点を日本に作る、という道を選択しました」
自社工場では若手から70代の現役プログラマーまで、幅広い世代がそれぞれの知見や得意な技術を生かし、協力しながら働いているそう。今後はコンピュータープログラミングニット分野の人材育成にも励み、産業の発展を目指していく。
「2020年は当時の菅義偉首相が2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロの脱炭素社会)を目指すと宣言したこともあり、サステナビリティへの注目度が一気に高まった年でした。それと同時に、環境に配慮したかのように見せかけながら実態が伴っていない『グリーンウォッシュ』もますます問題視されるように。CFCLがいちはやく環境への配慮や流通経路の透明性を証明すれば、社会にインパクトを与えられますし、自社のブランディングにもつながると考えました」
B Corpは3年ごとに再認証を受ける必要があるが、2026年の再認証では評価スコアをさらに伸ばし、日本企業として最高得点(当時)の143.5点を獲得した。もっとも高く評価された要素は、環境領域におけるインパクトビジネスモデルだ。生産工程におけるゴミの少なさに加えて、製品ごとの温暖化ガス排出量を測定し公表していること、それがアパレルの平均的な排出量と比較し少ないこと、また再生素材や認証素材の使用率が高いことが評価につながった。
コミュニティ領域におけるビジネスモデルも高く評価された。日本のニット産業を重要なコミュニティと定め、地場産業を支えるために、全ての商品を国内で生産し、取引工場をウェブサイトで公表している。さらに2026年1月には、ニットウエアの研究や開発、企画を行うラボを併設した自社工場の稼働を開始。これは、国内工場との取引をこれまでどおり維持しながら、アイテムの生産数をさらに増やしていくための対策だという。
「CFCLの販売先が国内外へと拡大していくにつれ、生産体制を強化する必要が出てきました。ですが、多くのアパレルブランドが選択してきたグローバルサプライチェーンのように、賃金が安い国での大量生産は、先進国だけが恩恵を受ける構図を生み出してしまいます。CFCLは、そうした貧富の差を利用したビジネスモデルとは距離を取り、日本国内での生産力増加に注力しています。しかし衰退し続ける地場産業の取引工場に生産増の投資を委ねるのではなく、自ら投資し、生産拠点を日本に作る、という道を選択しました」
自社工場では若手から70代の現役プログラマーまで、幅広い世代がそれぞれの知見や得意な技術を生かし、協力しながら働いているそう。今後はコンピュータープログラミングニット分野の人材育成にも励み、産業の発展を目指していく。

衣服のほか、バッグやソックスなども展開。こちらは大福のようなフォルムが愛らしい、2026年秋冬の新作バッグ「DAYFUKU」。ハンドルの長さを調節でき、軽量かつ洗濯機で洗えるなど機能性も抜群
着用しなくなった自社の服を回収、修復して再流通
2025年には、着用されなくなったCFCLの衣服を回収し、修復して再流通させる取り組み「Next Loop」を始動。修復がかなわなかった衣服は原料に戻して糸へと再生させるなど、「クローズド・ループ」(使用済みの製品を回収し、再び同じ製品や原料に戻す仕組み)の実現を目指している。
「メーカーは製品をつくって販売するだけでなく、販売したものが最終的にどうなるのかというところまで責任をもたなくてはいけない時代になりつつある。製品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの環境負荷を算定するLCA(ライフサイクルアセスメント)の点からも、製品の最終的な出口をメーカー側が用意するのは社会的に意義のあることだと思います」
「Next Loop」は同年秋にニュウマン高輪で開催されたポップアップストアで初お披露目。現在は同館のCFCLの店舗にて常設で展開している。
「ニュウマン高輪という最新の商業施設のこけら落としのイベントとして二次流通のアイテムのポップアップを大々的に展開するというのは、ひと昔前では考えられなかったこと。時代がいい方向に変わってきているのを感じましたし、反響も大きく、社会に対してステートメントを発信するいい機会になりました」
ファッション業界におけるサステナビリティの面で先陣を切り続けている高橋さん。今後もCFCLのスタッフと一丸になって、課題に向き合い続けていきたいと語る。
「例えば、社内にサステナビリティ推進室を設けている企業は多いと思うのですが、うちではあえて置いていません。サステナビリティを実現するには、誰かがリーダーシップを発揮する必要はありますが、一方で、社内に温度差が生まれないようにすることも大事です。専門の部署にまかせるのではなく、スタッフ一人ひとりがそのつど倫理的な判断をしながら自分の仕事を進めていく。それが、会社全体としてサステナビリティに取り組むということだと思っています」
「メーカーは製品をつくって販売するだけでなく、販売したものが最終的にどうなるのかというところまで責任をもたなくてはいけない時代になりつつある。製品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの環境負荷を算定するLCA(ライフサイクルアセスメント)の点からも、製品の最終的な出口をメーカー側が用意するのは社会的に意義のあることだと思います」
「Next Loop」は同年秋にニュウマン高輪で開催されたポップアップストアで初お披露目。現在は同館のCFCLの店舗にて常設で展開している。
「ニュウマン高輪という最新の商業施設のこけら落としのイベントとして二次流通のアイテムのポップアップを大々的に展開するというのは、ひと昔前では考えられなかったこと。時代がいい方向に変わってきているのを感じましたし、反響も大きく、社会に対してステートメントを発信するいい機会になりました」
ファッション業界におけるサステナビリティの面で先陣を切り続けている高橋さん。今後もCFCLのスタッフと一丸になって、課題に向き合い続けていきたいと語る。
「例えば、社内にサステナビリティ推進室を設けている企業は多いと思うのですが、うちではあえて置いていません。サステナビリティを実現するには、誰かがリーダーシップを発揮する必要はありますが、一方で、社内に温度差が生まれないようにすることも大事です。専門の部署にまかせるのではなく、スタッフ一人ひとりがそのつど倫理的な判断をしながら自分の仕事を進めていく。それが、会社全体としてサステナビリティに取り組むということだと思っています」

ニュウマン高輪の「CFCL TAKANAWA」には「Next Loop」のラックが常設されている
■CFCL
https://cfcl.jp/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2026年9月15日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Manami Takahashi, Edit: Sayuri Kobayashi
https://cfcl.jp/
>> ルミネ・ニュウマンのショップはこちら
※本記事は2026年9月15日に『&Illuminate』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Manami Takahashi, Edit: Sayuri Kobayashi