LIFESTYLE

きょうは本屋に寄って帰ろう/Vol.26(選者:小谷実由さん)
2026.05.07
愛読家として知られ、自らもエッセイ集を刊行しているモデルの小谷実由さんが、ルミネのシーズンテーマを切り口におすすめの本を紹介する本企画。今回のテーマは「Patchwork District -都市を編む、文化を纏う」です。国や時代も飛び越えて多様な文化を取り入れた、都市に生きる私なりのミックスカルチャー。自由に、マイペースに選んだ選択肢の積み重ねが、前向きで満たされた日々をつくり出します。

『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』著:古舘佑太郎(幻冬舎)
毎日の選択の連続は、自分の希望する方向へ進むことが多いはず。もちろん、旅だって行きたい場所に行くものだと思っていた。でも、大小問わず自分の選択がこれでいいのか疑うことがある。いつも同じでいいのか、いつも同じがいいのか。「もしも、あちらを選んでいたとしたら」いつもの自分にいつもと違うものが掛け合わさる。そんなことを想像しては、好奇心と緊張感が芽生える。
ミュージシャン・俳優の古舘佑太郎さんによる旅日記。彼はとんでもなく潔癖症でせっかち、そして旅嫌い。そんな人生で一度も旅に興味が湧いたことがなかった人間が、アジア大陸を目指す。きっかけは自身のバンドの解散が決まった直後の恩師である先輩の「よし、カトマンズに行け!」という言葉。どうせ行くわけない、と適当に返事をして流したつもりが、気づけば彼はタイ・バンコク行きの飛行機に一人で搭乗していた。そこから彼はカトマンズ、そしてインドを目指す。これはただの楽しい観光旅行ではない。突然自分ではない者に運命のハンドルを切られ、変えられた進路をただひたすらに目指す混沌と達観の物語。たった一度のいつもと違う選択の中、また更なる選択を迫られる。そこで出会う未知なる文化や自分、それでも変わらない自分。「いつもの自分を変えてみたい」そんな気持ちを抱いた時に先人の勇気を追体験できる一冊。
ミュージシャン・俳優の古舘佑太郎さんによる旅日記。彼はとんでもなく潔癖症でせっかち、そして旅嫌い。そんな人生で一度も旅に興味が湧いたことがなかった人間が、アジア大陸を目指す。きっかけは自身のバンドの解散が決まった直後の恩師である先輩の「よし、カトマンズに行け!」という言葉。どうせ行くわけない、と適当に返事をして流したつもりが、気づけば彼はタイ・バンコク行きの飛行機に一人で搭乗していた。そこから彼はカトマンズ、そしてインドを目指す。これはただの楽しい観光旅行ではない。突然自分ではない者に運命のハンドルを切られ、変えられた進路をただひたすらに目指す混沌と達観の物語。たった一度のいつもと違う選択の中、また更なる選択を迫られる。そこで出会う未知なる文化や自分、それでも変わらない自分。「いつもの自分を変えてみたい」そんな気持ちを抱いた時に先人の勇気を追体験できる一冊。

『るきさん』著:高野文子(筑摩書房)
日々は無意識に通り過ぎる。あっという間に夏になり、今年の夏は長いねなんて口々に言っているうちに、気づけばきっと秋。たとえひとつの季節が伸びても、日にちは一日も伸びることはなく、刻々と時間を積み重ねるのに、息をふっと吹きかけるとあっという間に散り散りに飛んでいく花びらのよう。特別な何かが毎日起きて欲しい訳ではない。ただ、毎日過ぎていく生活に愛おしさや充実感を見出せることができたら、前を向いて過ごすことができる気がする。
時はおそらく80年代。30代の独身女性るきさん。在宅で医療保険の請求書処理の仕事をしている。ひと月分の仕事を一週間で終え、あとは図書館で本を借りて、談話室で昼寝をし、帰りに記念切手を買いに郵便局へ立ち寄る。初夏になるとサングラスがほしいわなんて言うけれど、家の鏡台はひと月ほど直していない。でも大丈夫、テレビのブラウン管が鏡代わりになるんだもの。のんびり屋さんでちょっぴり変わり者だけど、るきさんは自分の生活の楽しみや喜びをちゃんと知っている。飄々としながらも友達のえっちゃんにいつも世話を焼かれながら過ごすマイペースな日々。るきさんの生きる時代にはスマホもSNSもない。そんな中でのささやかな楽しみは、現代の私たちの生活を彩るヒントになるかもしれない。
時はおそらく80年代。30代の独身女性るきさん。在宅で医療保険の請求書処理の仕事をしている。ひと月分の仕事を一週間で終え、あとは図書館で本を借りて、談話室で昼寝をし、帰りに記念切手を買いに郵便局へ立ち寄る。初夏になるとサングラスがほしいわなんて言うけれど、家の鏡台はひと月ほど直していない。でも大丈夫、テレビのブラウン管が鏡代わりになるんだもの。のんびり屋さんでちょっぴり変わり者だけど、るきさんは自分の生活の楽しみや喜びをちゃんと知っている。飄々としながらも友達のえっちゃんにいつも世話を焼かれながら過ごすマイペースな日々。るきさんの生きる時代にはスマホもSNSもない。そんな中でのささやかな楽しみは、現代の私たちの生活を彩るヒントになるかもしれない。

小谷実由
ファッション誌やカタログ・広告を中心に、モデル業や執筆業で活躍。一方で、さまざまな作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。猫と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。著書にエッセイ集『隙間時間』『集めずにはいられない』(ループ舎)。J-WAVE original podcast「おみゆの好き蒐集倶楽部」のナビゲーターを務める。
https://www.instagram.com/omiyuno/
※該当書籍の取り扱いは各店舗へお問い合わせください
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■あわせて読みたい
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