FASHION

心と身体の矛盾を愛する。16mmフィルムのクラフト感がもたらす人間の温かみ
2026.08.20
秋冬を通したニュウマンのシーズンビジュアルは「Beautiful Contradiction -矛盾を抱きしめる人-」をテーマとしています。そして、2026年8月20日から展開されている秋のビジュアルコンセプトは「Still Summer, Ready for Fall」。カラフルな洋服をどんどん身につけていく一方、最後にアイスを手にする姿は、残暑の心と身体のちょっとした矛盾を表しています。そんなビジュアルに込めたメッセージや制作の裏側について、クリエイティブディレクターの軍司匡寛さん(NON-GRID)と、映像ディレクターの山口祐果さんに伺いました。
矛盾を楽しめる人への敬意
今回からクリエイティブディレクターを務めることになった軍司さん。まず考えたのは「新時代を生きる人とは、どういう人か」だったと言います。
「NEWoManという名前には、『新時代を生きる人』という意味が込められています。では、ファッションやカルチャーを通して描いてきた『未来を生きる新時代の人』とは、一体どんな人でしょうか?
辿り着いたのは、効率や合理性だけでは割り切れない『人間の矛盾』を楽しめる人でした。たとえば、『ヘルシーでスマートな暮らしがしたいけれど、おいしいものをお腹いっぱい食べたい』『ミニマルな生活に憧れるけれど、やっぱり大好きな服で思いきり着飾りたい』といった感情です。
どちらか一方だけを『正しい』とするのではなく、そんな心の葛藤さえも自分らしさとして愛すること。今回のテーマ『Beautiful Contradiction -矛盾を抱きしめる人-』には、そうやって人間らしく生きる人々への、最大の敬意と応援を込めています」
ビジュアルを制作するうえで、最も大事にしたのはスタッフィングだったと軍司さん。まず映像ディレクターである山口さんに声をかけ、そこからは二人三脚でディスカッションを重ねたといいます。
これについて山口さんは「軍司さんから初めて企画の話をいただいたとき、テーマに共感したと同時に、目指しているビジュアルのイメージ画があまりに魅力的で衝撃を受けました。今回のプロジェクトには終始ワクワクする気持ちで参加できたと思っていて、ある種のメディテーションのような体験でした」と話します。
「NEWoManという名前には、『新時代を生きる人』という意味が込められています。では、ファッションやカルチャーを通して描いてきた『未来を生きる新時代の人』とは、一体どんな人でしょうか?
辿り着いたのは、効率や合理性だけでは割り切れない『人間の矛盾』を楽しめる人でした。たとえば、『ヘルシーでスマートな暮らしがしたいけれど、おいしいものをお腹いっぱい食べたい』『ミニマルな生活に憧れるけれど、やっぱり大好きな服で思いきり着飾りたい』といった感情です。
どちらか一方だけを『正しい』とするのではなく、そんな心の葛藤さえも自分らしさとして愛すること。今回のテーマ『Beautiful Contradiction -矛盾を抱きしめる人-』には、そうやって人間らしく生きる人々への、最大の敬意と応援を込めています」
ビジュアルを制作するうえで、最も大事にしたのはスタッフィングだったと軍司さん。まず映像ディレクターである山口さんに声をかけ、そこからは二人三脚でディスカッションを重ねたといいます。
これについて山口さんは「軍司さんから初めて企画の話をいただいたとき、テーマに共感したと同時に、目指しているビジュアルのイメージ画があまりに魅力的で衝撃を受けました。今回のプロジェクトには終始ワクワクする気持ちで参加できたと思っていて、ある種のメディテーションのような体験でした」と話します。

そして迎えた撮影の日。軍司さんは、その場で“やっぱりこっちのほうがおもしろいよね”と直感的に判断する山口さんの姿に、チームでつくり上げていく心強さを感じたそうです。
また、今回はデジタル撮影ではなく、16mmフィルムで撮影したことも大きな特徴でした。デジタルの台頭で需要が減っているなか、あえて試みたフィルムでの撮影。山口さんは「フィルムは撮影後も人の手と目を通して完成します。手作業ゆえの“完璧ではない部分”こそが、デジタルでは決して表現できない人間らしさや温かみを生み出していて、今回のプロジェクトにはぴったりだと思いました」とそのこだわりを語りました。
また、今回はデジタル撮影ではなく、16mmフィルムで撮影したことも大きな特徴でした。デジタルの台頭で需要が減っているなか、あえて試みたフィルムでの撮影。山口さんは「フィルムは撮影後も人の手と目を通して完成します。手作業ゆえの“完璧ではない部分”こそが、デジタルでは決して表現できない人間らしさや温かみを生み出していて、今回のプロジェクトにはぴったりだと思いました」とそのこだわりを語りました。

16mmフィルムを用いたクラフト感のある仕上がり
秋のテーマは「Still Summer, Ready for Fall」。このテーマについて「昨今は、暦のうえでは夏を過ぎても、厳しい暑さが残ります。一方で、秋になったら重ね着をして思いっきり着飾りたいという気持ちもある。そのどちらもが愛おしいということを、“BOTH ME”、そして“LESS & MORE”というコピーで肯定的に表現できないかなと思いました。“LESS & MORE”は、まさに『ミニマルな自分も、カラフルに着飾った自分も、どちらも愛おしい私』というメッセージを表しています」と軍司さんは話します。
「ムービーでは、ミニマルな衣装で自信ありげに立っているモデルさんが、だんだんとマキシマルなスタイリングに変化していく様子を切り取っていく。でも最後には“やっぱ暑いな、まだ”という気持ちを、アイスクリームをかじることでチャーミングに表現しました」
撮影時には、山口さんからモデルのDariaさんへ直接演技指導する場面も。山口さんはこう振り返りました。
「普段は写真をメインに活動されているモデルさんでしたが、映像と写真では見せ方がまったく異なります。そのため、密にコミュニケーションを取りながら、テイクを重ねてベストな表情や演技のタイミングをモニターで一緒に確認しつつ進めました」
「ムービーでは、ミニマルな衣装で自信ありげに立っているモデルさんが、だんだんとマキシマルなスタイリングに変化していく様子を切り取っていく。でも最後には“やっぱ暑いな、まだ”という気持ちを、アイスクリームをかじることでチャーミングに表現しました」
撮影時には、山口さんからモデルのDariaさんへ直接演技指導する場面も。山口さんはこう振り返りました。
「普段は写真をメインに活動されているモデルさんでしたが、映像と写真では見せ方がまったく異なります。そのため、密にコミュニケーションを取りながら、テイクを重ねてベストな表情や演技のタイミングをモニターで一緒に確認しつつ進めました」

また、あえてつくり込んだ音楽ではなく、台座が回転する機械音など、現場の生の音が活かされていることも印象的です。全体的に手触り感のある仕上がりについて、山口さんは「16mmフィルムで撮影したことにもつながりますが、効率性やわかりやすさが重視されるいま、手づくりにこだわることができる作品は少なくなっています」と前置きしたうえで、次のように語りました。
「だからこそ、自分たちの頭でイメージし、考え、手でものをつくっていく楽しさや、その行為の尊さを今回あらためて実感しました。手づくりは時間もお金もかかるし、事前のイメージ共有も完璧にはできないもの。でも、やはりワクワクしますし、撮影現場でスタッフの様子を見ていると、みんななにかをつくりたくてこの仕事をしているんだなと、強く感じる場面が多々ありました」
「だからこそ、自分たちの頭でイメージし、考え、手でものをつくっていく楽しさや、その行為の尊さを今回あらためて実感しました。手づくりは時間もお金もかかるし、事前のイメージ共有も完璧にはできないもの。でも、やはりワクワクしますし、撮影現場でスタッフの様子を見ていると、みんななにかをつくりたくてこの仕事をしているんだなと、強く感じる場面が多々ありました」

やり直しのきかない、不可逆性がもたらす豊かさ
軍司さんは「デジタルの質感とはひと味違う、手づくり感があふれる映像になったと思います」と語り、こう続けます。
「フィルム特有の、やり直しのきかない、不可逆性がもたらすおもしろさみたいなものがちゃんと出ていましたね。特にブレ、ボケのような表現は個人的にも好きで、手応えを感じています。一人ひとりの人間が、戻ることができない時間をやりくりして、迷って、選んで……そういった、計算通りにいかない生々しさがうまく表れていると思います」
軍司さんは今回の映像を見て感じてほしいことについて「秋冬、どちらについても言えることですが、“人間讃歌”を裏テーマに据えていました」と明かしました。
「人間って本当に矛盾しているし、だからこそおもしろいと思うんです。AIが生み出すアウトプットには絶対に存在し得ない、『実際に関わった全員が悩み、手を動かして過ごした制作の時間』。その生々しいプロセスやストーリーを伝えることで、迷ったり遠回りしたりする時間や、一見無駄と思える時間を誰かと共有する豊かさを感じてもらえたらうれしいですね。もちろんそこまで考えなくても、まずはかわいいなとか、おしゃれだなというところに、人間の温かみみたいなものを感じていただけたらと思います」
完璧でなくていい。人は季節と同時に変わるのではなく、気分から先に変わっていく。
シーズンビジュアルを通して、秋ならではの“心身の不一致”がもたらす美しさを感じてみてください。
---------------
Creative Director/Art Director:Tadahiro Gunji(NON-GRID INC./POSTHYPHEN INC.)
Creative Producer:Hiroshi Koike(NON-GRID INC.)
Assistant Director:Ritsuki Kawamura(NON-GRID INC.)
Movie Director:Yuka Yamaguchi
Producer:Kyoichi Shibukawa/Daiju Yoshida(HOEDOWN INC.)
Production Manager:Suguru Sugiyama(HOEDOWN INC.)
Production Assistant:Kai Fouts(HOEDOWN INC.)
Cinematographer:Tetsuya Arimori(The End Tokyo)
Gaffer:Yasuhiro Uchino
Grip:Hiroki Kato(Fine Films)
Stylist:Koji Oyamada(LESEN inc.)
Costume:KANEHIRO
Hair Make:Yukari Clarke(NOBODCR)
Prop Stylist:Shizuka Aoki
Casting Director:Shimana(SMN CASTING)
Model:Daria Dan
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軍司さんは今回の映像を見て感じてほしいことについて「秋冬、どちらについても言えることですが、“人間讃歌”を裏テーマに据えていました」と明かしました。
「人間って本当に矛盾しているし、だからこそおもしろいと思うんです。AIが生み出すアウトプットには絶対に存在し得ない、『実際に関わった全員が悩み、手を動かして過ごした制作の時間』。その生々しいプロセスやストーリーを伝えることで、迷ったり遠回りしたりする時間や、一見無駄と思える時間を誰かと共有する豊かさを感じてもらえたらうれしいですね。もちろんそこまで考えなくても、まずはかわいいなとか、おしゃれだなというところに、人間の温かみみたいなものを感じていただけたらと思います」
完璧でなくていい。人は季節と同時に変わるのではなく、気分から先に変わっていく。
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Assistant Director:Ritsuki Kawamura(NON-GRID INC.)
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Production Assistant:Kai Fouts(HOEDOWN INC.)
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Grip:Hiroki Kato(Fine Films)
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