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物語を紡ぎ、心を映し出すコラージュアート/LUMINE ART FAIR アーティストインタビュー

2026.10.21

2026年10月30日(金)~11月1日(日)、ニュウマン新宿5F・ルミネゼロでアートフェア「LUMINE ART FAIR –My 1_st Collection Vol.5–」が開催されます。

ルミネがキュレーションした新進気鋭のアーティストや海外アーティストなど、約30名が参加。“アートと共に暮らすはじめの一歩”を応援するために、「部屋に飾りやすいサイズやイメージ」「手に取りやすい価格」という視点でセレクトした現代アート作品が並びます。
また、会場にはアートコンシェルジュが常駐し、作品の飾り方や保管方法についてアドバイスを受けることも可能。人気アーティストによるワークショップ(事前予約制・有料)やここでしか買えない限定グッズもあり、肩肘張らない雰囲気のなかでアートとの出会いを楽しめます。

今回は、参加アーティストのひとりである花梨さんにインタビュー。コラージュアーティスト兼モデルとして多彩な才能を発揮する彼女に、創作活動の原点や近作での変化、LUMINE ART FAIRへの出展に向けた想いを伺いました。

インタビューは花梨さんの個展「Where I Am」の会場で実施した(現在は会期終了)

「好き」を唯一無二の作品へと昇華させた原体験

―まずは、花梨さんの現在の活動について教えてください。

コラージュアーティスト兼モデルとして、個人のアート作品の制作から、広告ビジュアルやアーティストビジュアル、雑誌のアートワークの制作、ファッション雑誌や広告のモデルまで幅広く活動しています。自分の世界観を表現するアーティストと、人間としての内面と外見の魅力を発信するモデル──このふたつの融合によって、いまの“私”が形づくられています。


―コラージュアートはどのようなきっかけで始めたのですか?

もともとファッション誌をスクラップするのが好きだったのですが、本格的につくりはじめたのは美大受験のために通った予備校の授業がきっかけでした。というのも、予備校の平面構成の授業が大の苦手で……。苦肉の策として、いわゆる“絵”ではなく素材を切り貼りするコラージュ手法で課題を制作して提出したところ、先生が「これはいいね」と褒めてくださって。予想以上のポジティブな反応に驚いたのを、いまでも鮮明に覚えています。

「自分の好き(=コラージュ)は評価してもらえるものなんだ」と自信を持つことができ、そこからの課題はどれもコラージュで制作していきました。もちろん、いまのような創作活動につながるとは思っていなかったですけどね。

美大を卒業後、コラージュ作品を投稿するSNSを開設したことを機に、少しずつアートワークのお仕事をいただけるように。最初はデジタルコラージュ作品が中心でしたが、徐々に現在のようなアナログスタイルに落ち着いていきました。

コラージュと一枚絵の違いは、“物理的な奥行き”の有無にあります。一見すると絵画的ですが、紙を何層にも重ねていくことで目に見える奥行きや質感の変化が生まれる。それこそが、この手法の醍醐味です。

素材を切り貼りしてつくられているコラージュ作品

物語を紡ぎ、描き、素材を重ねて「再編集」するおもしろさ

―既存の素材ではなく、「自分で描いた絵」を素材としてコラージュするのも花梨さんの作品の特徴ですね。

たしかに、一般的にイメージされるコラージュアートとは少し違うかもしれません。過去に行ったワークショップでも、参加者の方から「古い雑誌とかチラシを切って重ねていくのかと思っていました」と驚かれることも多いです。自ら描いた絵をベースにコラージュしているので、私の場合は「絵の構築」が作品づくりの要。最初にラフをかっちりつくったうえで、絵で描く部分や素材を細かく選んでいきます。

また、フィクションの物語ありきで作品をつくるので、まずは主人公やモチーフを立て、それを軸に想像を膨らませていきます。思いついたストーリーを文字で書き留めて、それをラフに落とし込んでいくことも多いですね。物語を紡いで、ラフにおこして、素材を用意して──自分のなかで再編集しながら「やっぱりこっちのほうがいいかも」と試行錯誤を繰り返すプロセスが楽しいんです。

自由に作品を生む時間が「自己」を確立させる

―2026年10月には個展「Where I Am」を開催されました。精力的に活動されていますが、花梨さんを突き動かす原動力はなんでしょう。

長らく自分の主軸は「モデル」だと思っていましたが、最近は「本業はアーティストなのかもしれない」と思えるほどにいろいろなお仕事をさせていただいています。幸せを感じる反面、思考がいろんなところに散ってしまう瞬間も。そんな日々のなかで、今回の「Where I Am」をはじめとする作品展の開催は大きな意味を持ちます。

規模の大きいマスマーケット(大衆市場)向けの仕事は、クライアントのリクエストが起点になります。ほかの人の意見を取り入れながら新しい表現にチャレンジできることにやりがいを感じる一方で、そういう仕事が増えると、どうしても“私じゃない部分”が増えていく感覚があって。だからこそ、個展のように自由に描いたものを「いい」と思ってもらえる瞬間は貴重なんです。その時間で自己を確立して、バランスを取っているような気がします。


―作品づくりと向き合う日々は、ご自身にとってどんな時間ですか。

もともと作品制作は“モードに入れば速い”タイプなんです。入るまでもずっと脳内で考えているんですが、周囲からはそう見えないらしく、「そろそろ作らなくて大丈夫?」と心配されることもあります(笑)。コツコツできる人にも憧れますが、きっと私にはすべてをシャットアウトして、一気に「うわーっ」と制作していくほうが向いているんでしょうね。

この感覚って、きっと長距離走に似ているんです。最後は息を吸うのも辛いけれど、外野のことがなんにも気にならなくなるほど没頭し、夢中で前進している。この“楽ではないけど心地いい時間”に、自分を浄化するような作用があるのかもしれません。

「自分は何者?」を突き詰めた先に見つけた、新たな表現手法

―最近の制作スタイルや、表現方法の変化について教えてください。

30歳という節目を前にいろいろな挑戦をするなか、今回の個展もひとつの転機になりました。アーティスト活動を本格化させてから5年以上が経ち、ふと「自分の選択で“ここに立っていること”をしっかり認識したい」という気持ちが芽生えて。ちょうどこの間、制作拠点や自宅の転居など私生活の変化もあったので、今回の個展では自分の心境の変化を描くことにしたんです。

これまでのような空想上の情景ではなく、自分の内面に目を向け、心情や取り巻く環境を手がかりに物語を紡いでいきました。それを直接的に描き出したので、現実と空想のはざまのような印象になったと思います。また、それぞれ自分を投影したキャラクターが立っている作品になったと自負しています。


―これまでとは違った表現方法に挑戦するなかで、“糧”になったものはなんですか?

もともと、感じたことを外に出すのは得意なタイプかもしれません。見たものをそのまま受け取るのではなく、自分のなかで咀嚼して、もう一度アウトプットする。この力は、幼少期に培われたものだと思います。

たくさんの経験と機会を与えてくれた両親にはすごく感謝していますし、いまでもふたりの「いい」という感覚をすごく信頼しています。実は、今回の個展でも設営チェックに来てくれたんですよ。

ときには幼馴染に作品を見てもらって、「これいいじゃん」「こっちはなんか怖い」なんて率直な感想をもらうこともありますね。絵の影響力を知っているからこそ、アートを専門としていない人が作品を見たときの第一印象はすごく大事にしていて。そういう意味でも、私は周りの人たちに支えられています。
 

―近作では、使用される画材や支持体にも変化があったそうですね。

はい、個展で初披露した、額装していない「キャンバス作品」も大きな挑戦のひとつです。これまでは紙に素材を貼っていたのですが、保存の面では脆弱性もあって。そういう面を解消しつつ、キャンバス作品らしく、存在感のある絵のような作品になるよう意識しました。

また、今回はすべてを油絵具で描いた作品も発表したんです。油絵具はこれまでに使っていた水彩絵具と違って色を際限なく塗り重ねられるので、そのぶん選択肢が広がり、「どこで終わりにするのかが難しい」という部分も。でも裏を返せば、素材を何層にも重ねていくコラージュとの相性は抜群です。それに、額装されていないキャンバス作品は、より“生”の状態に近い。一枚隔てるものがない分、作品との距離感も近く感じられるかもしれません。

はじめて描いたという自画像作品《Self-Portrait『対話』》

アートを身近に感じられるイベントで、“特別な一枚”と出会ってほしい

―今回のLUMINE ART FAIRでは、どのような作品を出展する予定ですか?

個展に出した作品も一部出展するほか、厳選した作品をプリントで複製し、エディションナンバーをつけて出すことも検討しています。これは、手に取りやすい価格帯で、より広く作品を届けるための新しい試みのひとつ。どこまで届くのだろうというドキドキ感はありますが、印刷技術にもとてもこだわっているので、自信を持って届けられる一枚になるはずです。

昨年はじめてアートフェアに参加しましたが、会場にはアート好きな方はもちろん、家族連れでふらっと来た方もいて、アートが身近になるイベントだなと感じました。作家の方と触れ合えたこともとても貴重な体験になり、作品づくりの良い刺激になりました。今年も、会場で来場者の方とお話しできることを楽しみにしています。


―最後に、今後の活動について教えてください。

最近は年相応の悩みが浮かんだり、「私は何者なんだろう」と考えたり。でも「次の個展が始まるころには楽になっているだろう」と信じて駆け抜けた日々でした。実際に作品を見ていただけて、ようやく「この出力(新しいスタイル)でいいんだ」と自分自身を肯定することができた気がします。

環境や気持ちの変化で唐突に変わる可能性もありますが、まずは“いまの自分”と向き合いながら、この方向性で創作活動を続けていきたいです。


PROFILE
花梨/コラージュアーティスト、モデル
1997年、東京都生まれ。広告、雑誌、音楽・映画関連のアートワーク提供に加え、アパレルブランドや店舗とのコラボレーションも展開。これまでに東京・京都・バンコクなど、国内外で個展・グループ展を開催。代表的な個展に「I swim inside of me. 私は私の中を泳ぐ。」(2022年)、海外初展示となった「TUTTI FRUTTI: Japanese Contemporary Art in Bangkok」(2024年)、「アステロナに夜が降る、それはピンクで青で淡い水色。」(2025年)などがある。
https://www.instagram.com/karin_works_/
https://www.karinworks.com/


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LUMINE ART FAIR –My 1_st Collection Vol.5–
〔日時〕2026年10月30日(金)・31日(土)11:00~19:00/11月1日(日)11:00~17:00
〔場所〕ルミネゼロ(東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-55 ニュウマン新宿 5F)
〔入場料〕無料
https://www.lumine.ne.jp/lmap/fair/


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