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LUMINE meets ART PROJECT

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2022.09.15LUMINE meets ART

meets ART story #2

  • #INTERVIEW

不特定多数の人の目に触れるアートはどうあるべきか?
ルミネのアワードの審査員・小山登美夫と受賞者・尾花賢一が語る

「アートのある毎日を。」をテーマに、2010年に「LUMINE meets ART PROJECT」を立ち上げたルミネ。2013年からは館内に作品を展示するアーティストを公募するアワード「LUMINE meets ART AWARD」(以下LMAA)を開催している。

初年度から審査員を務める小山登美夫ギャラリーの小山登美夫さんは、LMAAの最大の特徴を「服や雑貨のすぐ横にアートが並ぶこと」と語る。「美術館やギャラリーはアートを見る前提で行く場所だけど、ここは商業施設。アートを置くからには、ショッピングを楽しみにきた人たちの目を奪うほどのパワーが作品にないと成立しません。パッと見た瞬間、『いいな』と思うものじゃないと」

尾花賢一さんはまさにインパクトのある作品で注目を集めた作家。覆面の男が宝石やバッグをエサに獲物を待つというアイロニックな彫刻作品で、2014年に準グランプリを獲得した。覆面は実は当時の時代背景を匂わせるモチーフ。「LMAAには作品のテーマやジャンル、年齢などの縛りがない。だからこそ時代性が浮き彫りになりやすく、その点も興味深いところです」と小山さん。

尾花さんは「作品が不特定多数の人の目に触れるというのは、作家にとってチャレンジ。自分の作品を社会とどうつないでいくか、僕自身の作家性を更新するきっかけとなりました。大げさではなく、人生が変わりましたね」と振り返る。その後「VOCA展2021」で「VOCA賞」を受賞するなど、名実ともに飛躍。「発表の機会を多くいただくようになったおかげで、作風の幅が広がりました」

先日開催されたLMAAの10周年を記念したアーカイブ展では、ニュウマン新宿のウインドウでマンガ調の平面作品を披露。なぞの覆面の男が登場する点は2014年の受賞作品と重なるが、作風はまったく異なり、スケールもアップ。見る人がどんな年齢であっても作品の一部を切り取って「自分がもつ新宿のイメージ」と重ね合わせられるような仕掛けが、JR新宿駅横のショーウインドウという場にとてもマッチしていた。

会期中は小山さんも来訪。「どんな場で誰に見てもらうのかを意識して制作することは大事。今後も多くのアーティストにチャンスを提供できるよう、初志貫徹で続けていきたいですね」と語った。

作品イメージ

LMAAの10周年記念のアーカイブ展での尾花賢一さんの作品《交点》の前で、右から尾花さん、小山登美夫さん。

作品イメージ

《交点》は新宿今昔物語ともいうべきストーリーが目を引く作品。

作品イメージ

尾花さんは群馬県前橋市にあるアイウエアショップ「JINS前橋小島田店」の空間演出を担当するなど、幅広く活動。

Text: Kaori Shimura Photo: Ittetsu Matsuoka(上、下) Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi

※本記事は2022年07月25日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。