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LUMINE meets ART PROJECT

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2023.03.06LUMINE meets ART

meets ART story #5

  • #INTERVIEW

アートの制作過程で出てくる廃材を、新たな作品に再生。
京都発のユニット「副産物産店」が未来の可能性を拓く

アートを制作する過程で出てくるさまざまな廃材を「副産物」と捉え、アーティストのアトリエや芸術大学から回収。それらを加工し、新たな作品やインテリアへと生まれ変わらせて販売する。京都を拠点にそんなプロジェクトを展開しているのが「副産物産店」。もともと美術家である矢津吉隆さん、山田毅さんが2017年にスタートし、2022年からは足立夏子さんがメンバーに加わった。
「僕と山田さんの母校である京都市立芸術大学が移転するにあたり、どういう建築プランにするべきなのか、僕らを含めた数名でリサーチして議論する機会があったんです。そこで、制作の現場で出てくる廃材を再利用できる『資材循環センター』があったらいいという案があって」(矢津さん)
「そもそも芸術大学の学生にとって、ゴミ捨て場は宝の山でもあるんです。誰かにとって不要なものが、ほかの誰かにとっては使えるというのはよくあること。しかも、資源をリサイクルするというアイデアは今の時代にとても合っている。ただ、大学でそのセンターを直ちに立ち上げるのは予算と人材の関係で難しく、だったら、まずは自分たちでプロジェクト化してみようと」(山田さん)

陶器のかけらや木材、アクリル板、画材、毛糸など、回収された「副産物」から生まれるものはさまざま。オーダー制のテーブルやペンダントライトもあれば、カラフルで面白い形の副産物そのものをパッケージに閉じ込め、自動販売機やクレーンゲームで販売するというユニークな企画も。
「インテリアとして、オブジェとしても、幅広い世代の方に人気です。副産物でブローチやTシャツを作るワークショップはお子さんにも好評でした」(足立さん)。

昨年秋にはニュウマン横浜1階のアートウインドウで、副産物を組み合わせたアート作品を披露。立ち止まって興味深そうに眺める人の姿も数多く見られた。今後はこのプラットフォームを全国の芸術大学に広げていきたいと語る3人。まずは、今年秋に移転する京都市立芸術大学の新校舎内に「芸術資源循環センター」を設置することを目指している。「アーティストがより楽しく快適に制作できる環境を提供したいというのが僕たちのいちばんの願い。それが結果的に、社会のニーズと合致するとしたらうれしいですね」(山田さん)

作品イメージ

左から山田毅さん、矢津吉隆さん、足立夏子さん。京都北山のアトリエで。

作品イメージ

東九条の劇場「THEATRE E9 KYOTO」の隣の駐車場に置かれている「副産物自動販売機」では、副産物とおみくじ入りの「福引き箱」を購入できる。

作品イメージ

昨秋ニュウマン横浜で展示された《When one door shuts, another opens.》。

Text: Kaori Shimura Photo: Ittetsu Matsuoka(上、中) Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi

※本記事は2023年1月30日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。