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LUMINE meets ART PROJECT

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2026.01.06LUMINE meets ART

meets ART story #22

  • #INTERVIEW

昆虫をモチーフにさまざまな作品を制作。
自然界の生き物たちの多様な美しさを人々に伝える媒介者、岩崎広大

昆虫をモチーフに作品を制作している岩崎広大さん。そのきっかけは中学時代に遡る。

「自然科学部という部活に入ったのですが、担当の理科の先生が昆虫マニアで。休日にみんなで山や川へ行ったり、連休は新潟や山梨に遠征したり。活動内容が東京の公立中学の部活の枠を超えてましたね」

自然界の生き物に夢中になる一方、美術の才覚を発揮。東京藝術大学在学中に写真で何かの痕跡を残すことに興味を抱き、昆虫と写真を結びつけた表現活動を開始。昆虫が穴を開けた樹皮を採取してピンホールカメラを制作し、穴のあった位置から風景を撮影する「LANDSCAPER」シリーズや、昆虫の身体にその昆虫がいた土地の風景写真をプリントする「かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする。」シリーズなど、人間以外の視点から環境にアプローチする作品を発表している。

「仲間と飲みながら作品のアイデアをアウトプットして、後日実際にトライしてみることが多いですね。実験に近い。仮に失敗しても、次に進む材料になるので楽しいです」

2022年には、欠損などの理由で昆虫館に眠っていた759体の行き場のない昆虫標本で昆虫図鑑を制作するという取り組みを行った。博物館や美術館の展示物をアーカイブするにはコストがかかる。特に昆虫標本の場合は温湿度の調整に加え、虫食いを防ぐためのケアも必要だ。しかし、館によってはきちんと保管するための予算を十分に取れないこともある。岩崎さんが譲り受けたのも、こうした事情が原因で傷んでしまった標本たちだった。

「昆虫館に勤務する友人から話を聞けば聞くほど、これは自分がやるべきだ、という気がして。実はこんな課題が隠れているということをみんなと共有できたらと思いました」

すべての制作の背景にあるのは、「昆虫を間近に見る機会を提供し、その模様や形の素晴らしさに気づいてほしい」という思い。

「例えば、山でキノコの裏側を見ると甲虫がいて、あまりの美しさに驚かされたりします。人間が作るアートも多種多様な表現があってすごいと思うけど、ずっと閉じこもって制作するくらいなら、自然界の生き物がもつ唯一無二の素晴らしさに触れてみてほしい、と感じることも。今後も天然の美の豊かさと人々とをつなぐ媒介であり続けたいですね」

作品イメージ

都内のアトリエで。

作品イメージ

「かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする。」より。インドネシアで採集。

作品イメージ

昆虫図鑑『NO-RECORD-FOUND CERTIFICATE – 759 Insects –』。掲載されている昆虫を原寸大でプリントしたメガネ拭きも、図鑑と同じく、行き場のない昆虫の“新たな居場所”。

INFORMATION
岩崎さんは2025年11月1日(土)〜3日(月・祝)、ルミネゼロ(ニュウマン新宿5F)で行われたLUMINE ART FAIRに出展したほか、ルミネのオフィスアートも手がけた。

Text: Kaori Shimura Photo: Ikuko Hirose Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi Planning: AERA AD section

※本記事は2025年11月25日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。